オランダ・ハーグの仲裁裁判所「中国が自国の権利が及ぶと主張する九段線と呼ばれる独自の境界線」「歴史的な権利を主張する法的な根拠はない」と判決。国際法に基づく判断が下されたのは初めて。これに対し中国「判決は受け入れられない」と反発

中国は“判決後”の南シナ海でどう動く?

  • 南シナ海のほぼ全域を領海だとする中国の主張を否定した国際司法の判決。しかし、その後も中国は国際ルールに従わないという強硬な姿勢を示し続けています。今後、中国は南シナ海で何をしようとしているのか?軍事と中国の専門家とともに徹底分析します!

首相が改めてけん制 中国は強硬姿勢崩さず

  • 安倍首相が出席しているASEM(=アジア・ヨーロッパ首脳会議)は16日が最終日。安倍首相は南シナ海の問題をめぐり、海洋進出を続ける中国を改めてけん制した。
  • 安倍首相は今回、南シナ海の問題で中国をけん制し続けたが、中国は強硬姿勢を崩さなかった。最終日の会合でも安倍首相は、率先して2番目に発言し、南シナ海のほぼ全域に主権が及ぶという中国の主張を否定した仲裁裁判所の判決について触れた。
  • 「南シナ海問題は国際社会共通の懸念事項だ」とした上で、「仲裁裁判所の判断は最終的なものであり、紛争当事国を法的に拘束する」と述べ、判決に従わない姿勢を貫く中国をけん制した。しかし中国の李克強首相は、判決を受け入れない姿勢を崩しておらず、日本は介入すべきでないと反発している。
  • 安倍首相はASEMの議長声明に南シナ海問題が反映されるよう働きかけてきたが、中国が反対していて、ある参加国の関係者は「議長声明に直接的な表現で南シナ海問題に触れるのは難しい」と話している。また、安倍首相は16日の会合で北朝鮮情勢への懸念を示し、拉致問題解決に向けた各国の理解と協力を求めた。

南シナ海巡り中国反発強める 日中が事務次官協議へ

(16/07/17)

  • 南シナ海を巡る国際的な仲裁裁判で中国が主張する領有権が否定されたことを受け、中国側が反発を強めています。駆け引きが激しさを増しています。
  • 中国人民解放軍の孫建国副参謀長は「軍は国の主権と権益を守るため、最後の決定的な働きを果たす」と述べ、今後の状況次第では実効支配を進める可能性に言及しました。一方、日本政府は18日から外務省の杉山事務次官が中国を訪問し、カウンターパートとなる中国外交部の高官と会談します。15日に行われた日中首脳会談を踏まえて、「法に基づく解決が重要」だとする日本政府の立場を強調する考えです。また、日本政府は仲裁裁判所の詳しい判決内容について、現在、分析を進めていて、19日以降に政府としての考え方を表明する方針です。

China accuses Japan of ‘severe infringement’

China accuses Japan of 'severe infringement'

南シナ海「国際法違反」判決 中国は強く反発

(16/07/13)

  • 国際仲裁裁判所の判断について、中国は「受け入れられない」と強く反発しています。
  • 中国外務省は、判決が発表された直後に「判決は無効で拘束力はなく、中国は受け入れないし、認めない」などとした声明を出しました。そのうえで、「南シナ海における活動には2000年以上の歴史があり、中国は領土主権と海洋権益を有している」と猛反発し、一歩も譲らない考えを示しています。
  • フィリピンのヤサイ外相が会見に臨み、世界中のメディアが注目するなか、結果を受けてのフィリピン側の考えについて述べます。
  • ヤサイ外相「我が国は、今回の画期的な判決を尊重すると強く断言する」
  • フィリピンのヤサイ外相は「判決を歓迎する」と評価しつつも、中国を含む周辺国に冷静な対応を呼び掛けました。一方、先月に就任したばかりのドゥテルテ大統領は、中国との対話に含みを持たせる姿勢を示しています。

“中国の支配”認めず 南シナ海巡り初の判断

(16/07/12)

  • 南シナ海を巡る国際的な仲裁裁判で、中国が主張するほぼ全域での管轄権は認められないという判決が下されました。
  • オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、中国が自国の権利が及ぶと主張する九段線と呼ばれる独自の境界線について「歴史的な権利を主張する法的な根拠はない」という判決を下しました。この問題を巡り、国際法に基づく判断が下されたのは初めてです。一方、これに対して、中国側は「判決は受け入れられない」と反発を強めています。

中国機への緊急発進3カ月で199回 過去最多

(16/07/06)

  • 防衛省は、今年4月からの3カ月間で、中国の航空機に対する自衛隊機のスクランブル発進が199回と過去最多に上ったと発表しました。
  • 自衛隊機の領空侵犯の恐れがある航空機へのスクランブル発進は、3カ月間で281回でした。そのうち、中国機に対するものが199回で、約7割を占めています。これは、昨年度の同じ時期と比べて約1.7倍で、過去最多となりました。防衛省によりますと、中国機の活動は尖閣諸島周辺まで南下する傾向にあり、範囲も拡大しているということです。防衛省は今年1月、沖縄・那覇基地に新たなF15戦闘機部隊を設置し、中国機に対しての警戒監視をさらに強めています。

「仲裁に意味ない」 南シナ海巡り強気の中国

(16/07/06)

  • フィリピンが提訴した中国との南シナ海の領有権を巡る国際的な仲裁裁判の判断が迫るなか、中国の王毅外相は「仲裁には意味がない」と改めて主張しました。
  • 中国・王毅外相「仲裁案について、中国側の立場は非常に明確なので、私はここで繰り返し言いたくない。我々は当然(仲裁案に)関わらないし、結果は受け入れない。全く意味のないことだ」
  • 中国海軍は11日まで、南シナ海で島の奪還などを想定した軍事演習を行うと発表しています。オランダの常設仲裁裁判所の判断が12日に示される直前に軍事演習を強行することで、国際社会に対し、南シナ海全域での実効支配を譲らないという姿勢を改めて示す狙いもあるとみられます。