真面目な移民は日本に残ってもらう。不良外国人は母国に帰らせ、再入国できないようにする

不良外国人は母国に帰らせ、再入国できないようにする

  • 一方で、真面目な移民は日本に残ってもらう。

日本では、真面目に在留資格を守り適法に生活している移民は日本に残ることが認められています。一方で、不法滞在者や犯罪行為を行った外国人などは、退去強制手続き(強制送還)や出国命令制度により母国に帰され、再入国禁止措置がとられます。具体的には、犯罪歴がある者やオーバーステイ(不法残留)者は摘発されると強制送還の対象となり、送還後は原則5年間の上陸拒否期間が課されます。

ただし、自発的に出頭して出国命令に従う場合は、再入国禁止期間が1年に短縮されるなどの措置もあり、不良外国人に対しては厳格に対応しつつも、自主的な帰国を促す仕組みも存在します。

また、難民認定基準が厳しいため、難民申請が認められず在留資格を失う人もいますが、こうした人々を単に「不法」と呼ぶことには人権上の問題も指摘されており、個別の事情を考慮した在留特別許可やアムネスティの導入も議論されています。

まとめると、日本は「真面目な移民は残留を認める」一方で、「不法滞在や犯罪行為を行う不良外国人は強制送還し、再入国禁止措置をとる」制度を運用しています。これにより、日本の安全や社会秩序の維持を図っています。

クルド人難民を受け入れた国で起きている主な問題

  1. 差別・ヘイトスピーチの増加
    クルド人難民を受け入れた国や地域では、現地住民との生活習慣の違いや言語の壁などから摩擦が生じやすく、差別や偏見、さらにはヘイトスピーチの標的になるケースが増えています。日本でも埼玉県南部の川口市や蕨市など、クルド人コミュニティが形成される地域でヘイトデモやSNS上での誹謗中傷が発生しています。
  2. 難民認定・在留資格の問題
    多くの国で、クルド人難民の難民認定率は低く、仮放免という不安定な身分で生活せざるを得ない人が少なくありません。仮放免者は就労や保険加入が制限され、医療費の負担や移動の自由が制限されるなど、社会的・経済的に厳しい状況に置かれています。
  3. 地元住民との摩擦・治安不安の声
    言語や文化の違いから、地域社会との摩擦が生じやすく、事件やトラブルが起きると「クルド人全体が危険」という偏見が広がる場合があります。一部には犯罪に関与する人もいますが、その背景には難民申請却下による生活困窮や社会的孤立も指摘されています。
  4. 難民申請の信憑性や制度運用への疑念
    難民申請者の中には「本当に迫害を受けているのか」「経済目的ではないか」といった疑念を持たれることがあり、現地行政や住民から難民受け入れの正当性が問われることもあります。日本では川口市の難民申請者の多くが特定地域出身であることから、難民申請の実態に対する疑念が報じられています。
  5. 強制送還や人権問題
    難民認定されないまま強制送還されるケースがあり、国際的な人権基準との齟齬が指摘されています。日本ではUNHCRが難民と認めたクルド人親子が強制送還された事例もあり、国際社会から批判を受けたことがあります。

まとめ

  • クルド人難民を受け入れた国では、差別やヘイト、難民認定の厳格化、生活困窮、地元住民との摩擦、制度運用への不信、強制送還など、さまざまな社会的・制度的課題が生じています。これらの問題は受け入れ国の政策や社会状況によっても異なりますが、共通して「難民の人権」と「地域社会の安定」の両立が大きなテーマとなっています。

パレスチナ難民を受け入れた国では、どういう問題が起きているか?

1. 無国籍・市民権の問題

  • 多くのパレスチナ難民は受け入れ国で市民権を得られず、無国籍状態が続いています。
  • そのため、就業や移動、社会保障などに制限がかかり、社会的な差別や不平等に直面しています。

2. 難民キャンプの劣悪な生活環境

  • 難民キャンプは当初一時的な施設として作られたため、老朽化や無理な建て増しが進み、住環境は非常に悪化しています。
  • インフラ(電気・上下水道など)が不十分で、人口密度も高く、衛生状態も悪い状況が続いています。

3. 貧困と就業制限

  • 難民は多くの国で就業制限を受けており、安定した仕事に就くことが難しいため、慢性的な貧困状態に置かれています。
  • 教育や医療などの基本的なサービスも国連機関(UNRWA)などの支援に頼っているものの、予算縮小で十分な支援が行き届いていません。

4. 差別・社会的緊張

  • 受け入れ国の市民との間で差別や摩擦が生じることが多く、社会的な緊張の要因となっています。
  • 特にレバノンなどでは、パレスチナ難民の政治的・社会的な権利が大きく制限されており、地域社会との統合が進んでいません。

5. 政治的・軍事的脅威

  • パレスチナ難民は「国連難民条約」の適用外であるため、国際的な保護が限定的です。
  • 一部地域では軍事的な脅威や治安悪化の影響も受けやすい状況です。

6. 支援の限界と将来不安

  • UNRWAなどの国際機関による支援は続いているものの、資金不足や国際社会の関心低下により、支援の継続が危ぶまれています。

まとめ

  • パレスチナ難民を受け入れている国々では、無国籍や就業制限、劣悪な生活環境、差別、貧困、社会的緊張、支援の限界など、複合的な問題が長期化しています。これらの問題は、難民自身だけでなく、受け入れ国の社会全体にも深刻な影響を与えています。

難民に冷たい国? ニッポン 支援と審査の現場から
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著者と背景

  • 柳瀬房子は、長年にわたり認定NPO法人「難民を助ける会」で活動し、難民支援の第一線に立ってきた人物です。本書は、彼女の豊富な現場経験をもとに、日本の難民支援の歴史と現状、そして多文化共生社会への課題を若い世代に伝えることを目的としています。

主な内容と構成

序章 難民を助ける会と私
第1章 外国人とは誰のこと?
第2章 外国人労働者とは誰のこと?
第3章 難民とは誰のこと?
第4章 日本の難民受け入れ政策は?
第5章 難民に選ばれない国?ニッポン
第6章 「入管」とはどんなところ?

テーマと特徴

  • なぜ多くの外国人が日本を目指すのか、またなぜ日本を選ばない(選べない)のか、現場の視点から問い直しています。
  • 難民認定の厳しさや、審査・支援の現場で直面する課題、日本の難民受け入れ政策の変遷とその限界を具体的に解説します。
  • 多文化共生社会の実現に向けて、日本社会が抱える課題や、外国人と日本人が共に生きるためのヒントを提示しています。
  • 実際に難民として来日し、現在は企業経営者となった東川レバン氏の寄稿も収録され、当事者の声も紹介されています。

著者のメッセージ

  • 著者は、「共に働き、共に暮らし、共に支え合う社会」への転換を訴え、日本の難民制度や外国人政策を、より開かれたものにする必要性を説いています。

こんな人におすすめ

  • 難民問題や多文化共生、移民政策に関心がある人
  • 日本の外国人・難民政策の現状と課題を知りたい人
  • 支援現場のリアルな声や当事者の体験談を知りたい人

参考

「多様な文化的・政治的背景を持つ外国人と、多様化する日本人がこの日本という空間で、一緒にどのような社会を築き、どのように暮らしていくのか…その中に難民制度を当てはめて考えることが大切なのだと気付かされます。」(「はじめに」より)