厚生労働省「軽度発達障害者の平均的な人生がこちらです」

厚生労働省「軽度発達障害者の平均的な人生がこちらです」

両親と仲の良いオサムさんは、両親と一緒に地域の行事に参加したり、お母さんの友人のカラオケグループなどに参加して、楽しく休日をすごしていました。 会社でも礼儀正しく、仕事もまじめで、上司から信頼されていました。

お父さんが急病で入院することになり、お母さんは看病のために、家にいないことが多くなりました。オサムさんは、一人でカラオケグループに参加しましたが、まわりがみんな年上の人ばかりで、以前のように楽しくありません。

自宅で一人ですごす時間が多くなり、 両親から注意されることもないので、寝る時間や食生活が乱れてきました。 家に引きこもっていることが多くなり、 仕事にも影響が出て きました。

お父さんは病気のために亡くなってしまいました。 悲しんだお 母さんも、体調が悪くなって入院し、 オサムさんは自宅で一人 で暮らすことになりました。 でも、 「お金を銀行からどのくら い下ろしたらいいか」「電気代や水道代をどうやって支払 らいいか」わからないことだらけです。 不安と生活の乱れで、職場でも失敗が続き、とうとう仕事をやめてしまいました。

アツコさんは、電気代や水道代をコンビニで支払っていましたが、 最近数か月は買い物をしすぎて、 電気代を支払うことを忘れていました。 ある日、 突然電気が止まり、アツコさんはびっくり。あわてて隣の市に住んでいるお兄さんに助けを求めました。 お兄さんはすぐにアツコさんのところに来て、電気代を支払ってくれましたが、 その暮らしぶりや家の中のごみの様子を見て、アツコさんを強く注意しました。 アツコさんにもいろいろ言い分があったので、口論となり、結局、お兄さんは怒って帰ってしまいました。

アツコさんはお兄さんを頼りにしていましたが、 自分の生活に口を出されることにはがまんできま せん。 自分はずっと働いてきて、母親からこの一軒屋を譲り受けた立派な大人なんだという自信があ りました。

近所からの苦情

物であふれたアツコさんの家は、家の庭や玄関先にもごみがたまってきました。 アツコさんは、生活が乱れ、仕事 にも行っていないので、 ごみ出しの白がわからなくなって いたのです。 近所の人たちは、お母さんが亡くなった頃は、いろいろ手助けをしてくれていました。 しかし、 アツコさんの生活が乱れ、服装も不潔になってくると、近所の人からは、手助けをしてもらうときに、 注意されることも多くなりました。 アツコさんは、自分の生活に口を出されるのがいやなので、近所の人たちと話をしなくなってしまいました。

自宅で引きこもり・どん底生活

ケンさんは、会社をやめたことで、自分に自信がなくなり、すべてのことがめんどうになってしまいました。会社をやめるときにすすめられた作業所にもなじめず、よく休むようになりました。 病院だけは月に2回通院し ていましたが、先生から出された薬を飲むと、とても体がだるくなり、家でごろごろしているうちに、長い昼寝になり、今度は夜眠れなくなってしまいました。

とうとう昼と夜が逆転してしまい、 夜中にテレビを見たりゲームをして過ごし、明け方に眠り始め るという習慣がついてしまいました。 いつもイライラしていて、家族からの注意に大きな声でどなっ てしまうこともありました。 また、夜中にコンビニへ行き、揚げ物をたくさん食べるようになったので、体調も悪く、体重は10キロも増えてしまいました。

いつの間にかストーカーになってしまったアツシさん

職場でいつも話しかけてくれる先輩。旅行のおみやげをもらったことから、先輩は自分のことが好きなのかもしれないと勘ちがいをして、 アツシさんは先輩を好きになってしまいました。

アツシさんは、先輩のことが気になって、 先輩がどこに住 んでいるのかを、とても知りたくなりました。 先輩の帰り 道、そっと後をつけて、 どこに住んでいるかを知ることが できました。

アツシさんは、先輩のことが気になって、夜、 何も用事がないのに先輩に電話をかけたり、休日に、先輩の家のまわりをうろうろするようになりました。

先輩は職場に苦情を言い、 アツシさんは上司から注意されました。 でもアツシさんは、自分が休日に何をしようと勝 手だと思い、先輩の家のまわりを散歩することをやめませ んでした。 すると、近所に住んでいる人が警察へ通報して、 アツシさんはパトカーに乗せられてしまいました。 この事件が原因で、 結局会社もやめることになりました。