2025年08月06日 「ラブブ」人気に赤信号が点灯? 偽造品が氾濫し転売価格も50%以上の下落
中国発の人気キャラクター「ラブブ」(LABUBU)に関して、上海警察が偽物の縫いぐるみを製造・販売していた犯罪組織を摘発し、5000体以上の偽造品を押収しています。売上高は約2億5000万円に及ぶと報告されています。偽造品は正規品の60~70%の価格で取引されていたことから、正規の市場価格に大きな影響を及ぼしています。また、この偽造の大量流通はラブブのブランド信頼性に疑問符を投げかける原因となり、転売価格も50%以上下落するなど人気に赤信号が点灯している状況です。
ラブブはもともと香港在住のアーティスト、カシン・ルンがデザインし、POP MARTが商品化したキャラクターで、レアモデルや限定販売による希少性戦略がファンの熱狂を生みました。しかし偽造品問題が拡大することで、ブランドの価値維持が難しくなっていることが指摘されています。
色々なニュースを見ないと騙されそう
2025年07月18日 まだ流行中と古い情報を拡散するForbes
- 止まらぬ中国「ラブブ」人気、フィギュアが2000万円超で落札のケースも
1. ラブブの基本情報と特徴
- ラブブ(Labubu)は、香港のアーティスト・カシン・ルンによって2015年に北欧神話からインスピレーションを受けて誕生したキャラクター。
- 2019年に中国のPOP MARTとライセンス契約し、本格的なコレクターズトイとして商品化された。
- 独特な外見(ウサギの耳、ギザギザの歯、不思議な表情)と「The Monsters」シリーズというブランドコンセプトが特徴。
2. 近年の価格高騰とオークション動向
- POP MARTとVansの限定コラボ:「Labubu x Vans Old Skool Vinyl Plush Doll」(2023年デザイン)が特に希少価値を持ち、eBay等のオークションで1万ドル(約147万円)近くの値をつけている。二次流通市場でも最も高額で取引されているラブブの一つ。
- オークションでの超高額落札:
- 2025年6月、中国・北京のオークションでラブブ等身大フィギュアが108万元(約2200万円)で落札されるなど、過熱ぶりが続く。
- 5月にサザビーズで「Three Wise Labubu」が2万8300ドル(約421万円)、6月に「Sacai x Seventeen x Labubu」が3万1250ドル(約464万円)で落札された。
3. 異例の社会現象
- 販売現場の過熱: ポップマートの店頭や自販機にはラブブ求めて早朝から列ができ、時にトラブルまで発生。海外店舗でも行列や争奪戦が話題に。
- 転売市場と規制: 上記のような人気を受け、密輸・転売業者も発生。中国税関当局が数百体を押収した例もある。
- 保険・盗難問題: 旅行時の持ち歩きや盗難被害がSNS等で話題になり、クラウドファンディングまで出る事例も。
4. コレクターズ市場・投資対象としての価値
- 市場の専門家・鑑定士によれば「ラブブは今後もコレクターズアイテムとして高い人気と価値を持ち続ける」、「ビーニーベイビーやキャベッジパッチキッズなど高額トイの伝統を受け継ぐ存在」と評価される。
- ラブブ人気を加速させている要素は以下の通り:
- SNSでの拡散(著名人やTikTokの開封動画など)。
- 「ブラインドボックス」形式による希少性とギャンブル性(高額「シークレット」モデルは数千ドルで流通)。
- 海外セレブによる支持。
5. POP MARTの成長と経済インパクト
- POP MARTの業績: 2025年上半期、前年同期比で利益350%増・売上高200%増を見込み。2024年は売上高18億ドル(約2680億円)と前年比100%超の成長。
- 創業者ワン・ニンの資産: 約210億ドル(約3兆1200億円)と推計される。
- 時価総額: POP MART社は430億ドル(約6兆3900億円)の時価総額を誇る。
- ただし業績発表翌日には株価6%下落し、一時的な投機熱も指摘される。
結論:
- ラブブ人気はアート、ファッション、コレクターズ市場、投資分野にまたがる「グローバル現象」に進化している。短期的な投機的加熱も見られるが、独特なキャラクター性と多方面の支持によってしばらくはその勢いが続くと見られる。
2025年07月10日 人気のピークアウトや転売市場の過熱・崩壊が中国本土で既に観測されている
- 今後の成長持続性に疑問を持つ投資家が増えている
ラブブの世界的ヒットでポップマートの業績が絶好調。それなのに大株主がイグジットする理由
- ラブブ(Labubu)の世界的ヒットによってポップマートの業績は絶好調となり、2024年の売上高は前年比106.9%増の130.4億元、純利益は185.9%増の34億元と記録的な成長を遂げました。株価も2.5倍以上に上昇し、時価総額は6兆円を突破するなど、かつてない好調ぶりが報じられています。
- それにもかかわらず、初期からの大株主である蜂巧資本(Borchid Capital)が全株式を売却し、ポップマートとの関係を清算したことが大きな話題となっています。Borchid Capitalは2020年の未上場時に1株17-20香港ドルで出資し、2025年には187-193香港ドルで売却。わずか5年で資金を9倍以上に増やし、約420億円を得て完全にエグジットしました。
大株主がイグジットした理由
この現象の背景には、ポップマートのビジネスモデルが抱える成長の不安定さやリスクが指摘されています。
- ポップマートは「ブラインドボックス(盲盒)」という、どのキャラクターが出るか分からない販売手法で急成長しましたが、この仕組みは一時的な熱狂やFOMO(取り残される恐怖)に依存しており、持続的な人気の保証が難しいと見られています。
- 株価や業績が急騰した一方で、「ラブブバブル」とも言われるように、人気のピークアウトや転売市場の過熱・崩壊が中国本土で既に観測されており、今後の成長持続性に疑問を持つ投資家が増えている。
- ポップマートはこれまで「Molly」などのヒットキャラクターを生み出してきたものの、ヒット作の再現性やIPの多様化、海外市場での安定成長には課題が残るとされ、特に大口投資家にとっては利益確定の好機と判断された可能性が高いです。
「多くの人が今後のポップマートの成長に疑問を持ち始めた」
— 中華IT最新事情
このように、短期的な爆発的成長と株価上昇の裏で、ヒット依存型ビジネスの不安定さや市場の過熱感を警戒し、リスク回避や利益確定のために大株主がエグジットするという判断がなされたと考えられます。
それ、なんで流行ってるの? 隠れたニーズを見つけるインサイト思考
- ヒット商品や流行現象の背後にある、まだ言語化されていない「隠れたニーズ(インサイト)」を見つけ出すための視点や思考法を解説する一冊です。
本書の主なポイントや内容は以下の通りです:
- インサイトとは何か
インサイトは、単なる「気付く・洞察する」だけでなく、消費者が「そうそう、それ!」と心の中で思っていたのに、自分でもはっきり言語化できていなかった深層心理的な欲求や悩みのことを指します。つまり、人々がまだ表に出していないが、確かに感じているニーズです。 - なぜインサイト思考が重要なのか
物やサービスがあふれ、消費者のニーズが多様化・複雑化する現代では、「売り手が伝えたいこと」より「買い手が求めていること」を理解することが、企画やマーケティングの成功に不可欠です。表層的な流行の「理由」だけでなく、その奥に隠れた心理を探ることで、「カープ女子」「インスタ映え」「君の名は。」などのヒットの正体を解き明かします。 - インサイトの見つけ方
流行事象やヒット商品を観察・分解し、「なぜそれがヒットしたのか」を深掘りします。たとえば、「なぜその人はそう言ったのか?」という理由や背景に注目すること。さらに日常的な「気づき」や「あるある」を書き留め、トレーニングとして売れているモノの背後にどんなインサイトがあるかを考えることも大切です。 - アウトプットと活用
書籍では、見つけたインサイトを活かすための「クリエイティブ・ブリーフの書き方」や、会話から相手のインサイトを引き出す方法も紹介されています。 - 著者について
原田曜平は、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーとして、「さとり世代」や「マイルドヤンキー」など消費トレンドをとらえる言葉を生んだマーケティングの専門家です。
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