海藻の総生産量の約97%が養殖

健康

 

シーベジタブルの迷いの謎を解け——本当の“悩み“や課題は見えにくいもの

シーベジタブルは、海藻の「すじ青のり」をはじめとした海藻のブランド化を通じて単価を上げ、市場に新たな価値を創造しようとしています。彼らは地下海水を使った陸上養殖技術や30種類以上の海藻種苗生産技術を確立し、安定供給と品質向上を実現しています。しかし、取引業者からは「海藻なのに高い」との指摘を受け、海藻が「自然に生えるもの」ではなく「つくるもの」という認知を広げるのに苦労しています。

ブランド化のポイントとしては、既存市場の価値観に囚われるのではなく、感度の高い新しい市場でブランド価値を認知させることが重要で、シーベジタブルもトップシェフや大手企業とコラボして海藻の魅力を広めているほか、エントリープロダクトを通じて消費者に受け入れられる市場づくりを目指しています。また、「単価アップ」だけでなく生産効率の向上によるコスト削減も重要な選択肢であり、量を増やして市場を拡大する戦略も検討されています。

さらに、シーベジタブルは「海を豊かにする」というビジョンを軸とし、量販向けとプレミアム販路の二軸戦略を取りつつ、消費促進や新しい海藻食文化の創造を目標としています。社会的意義と収益性の両立を図るために、産学官の連携やプロジェクトコミュニティも立ち上げ、持続可能な海藻産業の発展に挑んでいます。

要点としては:

  • ブランド化は「誰に向けたものか」を明確にし、新規市場開拓や既存市場の固定観念を変えることが必要。
  • 単価アップだけが目的ではなく、生産効率化や量産によるコスト削減戦略も並行して検討。
  • 「海藻=自然のもので安価」との固定観念の打破が課題。
  • 海洋生態系の回復や持続可能な産業発展の意義を伝え、共感を得るブランディングが重要。
  • 多様なステークホルダーと連携し、新たな海藻食文化や市場をつくる活動を積極的に推進。

以上のように、シーベジタブルのブランド化は単なる価格競争ではなく、技術開発、消費者啓蒙、市場創出、社会課題解決を含む複合的戦略として行われています。

 

 

海藻は養殖できる?

海藻は養殖可能であり、世界各地でさまざまな方法によって養殖が行われています。日本でもロープや網を使った海藻の養殖が盛んで、天然の海藻を含む総生産量の約97%が養殖によるものと報告されています。海藻は光合成を通じて成長し、肥料などは必要なく、人工の基質に付着して育てることができます。また、海藻養殖は炭素固定や環境保全にも寄与し、地域経済の活性化にもつながる新たな産業の可能性が期待されています。

特に日本では、海面に適した種類の海藻を選び、ロープや網に胞子を付着させて育てる方法が主流です。最近は洋上風力発電施設の活用など、新しい養殖方法の研究も進んでいます。陸上での海藻養殖の試みもあり、環境条件に合わせた多様な生産方法が模索されています。

つまり海藻は十分に養殖可能であり、持続可能な資源として注目されています。

 

 

海藻が健康に良い理由

海藻が健康に良い理由は多岐にわたります。主に以下の点が挙げられます。

  1. 食物繊維が豊富で、腸内環境を整え、便通を良くし、糖やコレステロールの吸収を抑えて生活習慣病予防に役立つ。
  2. ミネラルが多く含まれ、とくにカリウムは心臓や筋肉の機能調整、塩分排出、高血圧の予防に効果的。カルシウムやマグネシウムも豊富で骨の健康維持に役立つ。
  3. 良質なたんぱく質も含み、必須アミノ酸をバランス良く摂取できる。
  4. 血流や血管の健康を支える不飽和脂肪酸(EPAなど)が含まれ、心筋梗塞など心疾患リスクの低減にもつながる。
  5. 抗酸化成分(フコイダン、フコキサンチン、フロロタンニンなど)を含み、免疫力向上や老化防止、美肌効果も期待されている。
  6. ヨウ素を豊富に含み、甲状腺ホルモンの合成や免疫機能維持に重要。ただし過剰摂取は注意が必要。

これらの栄養素や機能性成分が複合的に作用し、生活習慣病予防、免疫力強化、美容促進、骨や心臓の健康維持に寄与するため、海藻は健康に良いとされています。

 

 

日本経済の死角 ――収奪的システムを解き明かす
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日本経済の長期停滞を収奪的な経済システムの観点から分析した書籍です。著者は、生産性は上がっているのに実質賃金が上がらないという現象の理由を労働法制、雇用慣行、企業統治、イノベーションなど7つの「死角」から解き明かし、日本の「収奪的システム」が経済や社会にどのような影響を与えているかを詳述しています。例えば、大企業が利益を内部留保として溜め込み、賃上げや人的投資を怠っていることや、社会保障制度の未整備が家計を直撃するなど、収益が労働者へ適切に分配されない構造を指摘しています。

この本は、失われた30年の背景となる政治・経済状況を分析し、ノーベル経済学賞受賞者アセモグルとロビンソンの収奪的社会理論も参照しながら、技術革新や自由競争が広く奨励されているにもかかわらず富が特定のエリートに集中しがちな現状を検討しています。日本の大企業は海外投資に注力し、国内の生産設備投資や人材育成がおろそかにされ、結果として実質賃金は低迷。中小企業は労働力不足と生産低迷の負のスパイラルに陥るとの分析です。

本書は日本の経済政策の見直しや、収奪的な構造から抜け出すための具体的な方策を提示し、経済の持続的成長や所得再分配の必要性を訴えています。日本経済の複雑な問題をわかりやすく解きほぐした必読の書として評価されています。

 

 

企業が社員から収奪するという表現は、『日本経済の死角――収奪的システムを解き明かす』で指摘されるように、日本の大企業が利益をため込み、賃上げや人的投資を抑制し、結果的に実質賃金が上がらない構造を指します。つまり、生産性は上がっているのに賃金が上がらず、富が一部の企業や経営層に集中し、労働者側には還元されにくい経済システムの問題です。

具体的には、大企業が内部留保を積み増し、国内の労働者に対する賃上げや投資を怠ることで、労働者の利益が搾取(収奪)されているといえます。加えて、企業間の下請け関係においても親企業が中小企業に対し無償労働を強いたり、代金の支払いを遅らせたりする「収奪問題」が存在し、中小企業やその従業員にも影響を及ぼしています。

こうした構造は企業が人件費を抑制することによって短期的な利益を守る一方で、雇用や賃金にはマイナスの影響を与え、結果として社員が収奪されていると批判される背景になっています。日本の賃金が上がらず格差が拡大している背景には、このような収奪的な経済システムがあると論じられています。

 

 

 

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