島津製作所は保障期間後に自動的に壊れるタイマーを仕込んで修理費用を不当に稼いでいた
島津製作所の「タイマー不正」問題の概要
島津製作所の子会社である島津メディカルシステムズにおいて、医療用X線装置の保守点検時に「外付けタイマー」を仕込み、一定期間経過後に意図的に故障を発生させることで、装置の部品交換を有償で行い不正に修理費用を得ていた事実が発覚しています。
具体的な手口
- サービス技術者が保守点検の際、X線装置の電力供給回路に市販の外付けタイマーを取り付ける。
- タイマーの設定期間(10~40日程度)が経過すると、電力供給が遮断され、X線装置が故障したように見せかける。
- 医療機関からの故障連絡を受け、技術者が訪問し、タイマーを回収・証拠隠滅した上で「部品の経年劣化による故障」と説明し、高額な部品交換(100万~300万円規模)を有償で実施。
不正の規模と経緯
- この不正は2009年ごろから始まり、2022年4月の内部通報で発覚。
- 九州地方(熊本・鹿児島・宮崎など)の5つの医療機関を中心に43件の不正が確認され、関与したのは九州支店のベテラン技術者ら7人(うち5人は営業所長クラス)。
- 不正により8300万円以上の修理費用が売り上げられていた。
会社の対応と調査
- 2022年5月に社内調査を開始し、9月には外部調査委員会も設置。
- 関係者へのヒアリングやデジタルフォレンジック調査により、証拠隠滅や組織的な隠蔽も一部で行われていたことが判明。
- 島津製作所および島津メディカルシステムズは、医療機関や自治体に謝罪と経緯説明を行っている。
「保障期間後に自動的に壊れるタイマー」の真相
- 今回の不正は「製品にあらかじめタイマーを内蔵して出荷した」というものではなく、保守点検などの際に技術者が外付けの市販タイマーを後付けしていたものです。
- いわゆる「ソニータイマー」のような都市伝説とは異なり、組織的な不正行為として実際にタイマーを用いた偽装が行われていたことが明らかになっています。
結論
島津製作所の子会社で、保守点検時に外付けタイマーを仕込むことで意図的に故障を装い、修理費用を不正に得ていた事実は確認されています。ただし、これは「保障期間後に自動的に壊れるタイマーを製品に内蔵していた」というものではなく、後付けによる不正行為です。