田舎の過疎地を「安い賃料」「入居者が自由にリフォームできる」という条件で貸し出す

まとめ

国土交通省が推奨する「DIY型賃貸借」

月額5,000円という低額な家賃で、なおかつ「修繕義務を負わない代わりに入居者が自由にリフォームできる」という条件で貸し出すことは可能です。

このような契約形態は、近年では「DIY型賃貸借」として国土交通省も推奨しており、空き家活用の有効な手段として注目されています。

ただし、民法や借地借家法における「借主の保護」という観点から、いくつかの法的な注意点とリスクが存在します。

修繕義務の免除に関する法的解釈

民法第606条第1項では、原則として大家(賃貸人)が物件の修繕義務を負うと定められています。

しかし、この規定は「任意規定」と呼ばれ、特約によって変更することが可能です。

したがって、契約書に「貸主は修繕義務を負わず、借主が自費で修繕を行う」と明記し、双方が合意していれば、その契約は基本的に有効(合法)となります。

ただし、建物が倒壊する恐れがあるなど、住人の生命や身体に危険が及ぶレベルの重大な欠陥については、特約があっても貸主の責任が問われる可能性があるため、完全に責任をゼロにできるわけではありません。

借主保護と借地借家法の影響

日本の法律、特に借地借家法は借主を強く保護する傾向にあります。

家賃を5,000円という極端な低額に設定することは、修繕義務を免除することに対する「対価」としての説得力を持ちます。

しかし、借主が多額の費用をかけてリフォームを行った後に、大家から一方的に解約を申し立てるような事態になると、「信義則」に反するとみなされ、立ち退き料の支払いやリフォーム費用の返還を求められるリスクがあります。

トラブルを防ぐためには、リフォームの内容を事前に承諾することや、退去時の原状回復義務を免除することなどを契約書に詳細に記載する必要があります。

有益費償還請求権の放棄

民法には、借主が物件の価値を高めるような改修を行った場合、退去時にその費用を大家に請求できる「有益費償還請求権」という権利があります。

「修繕費を出さない代わりに好きにさせる」という条件を通すには、この有益費の請求権をあらかじめ放棄させる特約を契約書に盛り込むことが不可欠です。

この特約がないと、退去時に「価値が上がった分の費用を払ってほしい」と請求される法的根拠を借主に与えてしまいます。

契約形態の選択肢「定期借家契約」で契約を終了できる

一般的な「普通借家契約」の場合、一度貸し出すと大家側からの更新拒絶には「正当事由」が必要となり、簡単に明け渡しを求めることができなくなります。

もし、将来的にご自身で利用する可能性や、売却の可能性がある場合は、「定期借家契約」を選択することをお勧めします。

定期借家契約であれば、あらかじめ定めた期間で確実に契約が終了するため、低賃料で貸し出す際のリスクヘッジになります。

まとめと実務的なアドバイス

ご提案の条件は合法であり、適切に契約書を作成すれば実現可能です。

しかし、口約束や簡易的なメモでは、将来的に借主から「住める状態ではない」「直してくれないのは困る」と主張された際に不利になる恐れがあります。

国土交通省が公開している「DIY型賃貸借の標準的な契約書式」などを参考に、特約事項を精査することをお勧めします。

また、亀山市の空き家バンク制度や、地域に詳しい不動産業者に仲介を依頼することで、契約の法的有効性を担保しつつ、適切な入居者を探すことができるでしょう。

 

 

DIY型賃貸借の定義と基本構造

DIY型賃貸借とは、借主が自分の費用負担で修繕や模様替え(DIY)を行うことを前提とした賃貸借契約の形態を指します。

一般的な賃貸借契約では、貸主に修繕義務があり、借主には退去時の原状回復義務が課せられます。しかし、DIY型賃貸借では、借主が自由に改修できる代わりに、退去時の原状回復義務を免除、または一部緩和することが最大の特徴です。

国土交通省がガイドラインを策定しており、空き家対策や中古住宅の有効活用を目的として普及が進められています。

貸主・借主双方のメリット

貸主にとっては、建物の老朽化が進んでいても現状のまま貸し出せるため、リフォーム費用を抑えられる利点があります。また、借主が自ら愛着を持って住むため、長期的な入居が期待でき、管理の手間も軽減されます。

借主にとっては、持ち家のように自分の好みに合わせた住空間を構築できることが最大の魅力です。賃料が相場よりも安く設定される傾向にあり、低コストでカスタマイズを楽しめる専門的な選択肢となります。

契約上の留意点と実務プロセス

DIY型賃貸借を成立させるには、書面による合意が不可欠です。具体的には、どの範囲までDIYが可能なのか、改修した箇所の所有権は誰に帰属するのか、そして退去時の原状回復の範囲を明確に定義する必要があります。

一般的には、DIYを行う前に「改修承諾書」などの書面を交わし、貸主の承諾を得るプロセスを挟みます。これにより、後々のトラブルを防ぐことができます。

費用負担と資産価値の関係

通常、DIYの施工費用は借主が負担します。しかし、改修によって建物の資産価値が著しく向上した場合、退去時に貸主に対して「有益費償還請求」を行う権利が発生することがあります。

ただし、トラブルを避けるために、あらかじめ特約によって「有益費の請求を放棄する」と定めておくケースが一般的です。その分、賃料を低く据え置くなどの調整が行われ、経済的なバランスが図られます。

専門的な視点からのリスク管理

注意すべき点として、構造に関わる部分(柱や梁)や、電気・ガス・水道のインフラに関わる工事は、資格保持者による施工が求められます。DIYの範囲を内装や設備の表面的な変更に留めるか、専門業者を介するかは、安全面と法的責任の観点から慎重に判断すべき事項です。

また、借主が途中でDIYを中断したり、施工が不完全な状態で退去したりする場合の対応についても、契約段階で協議しておくことが望ましいです。

 

 

DIY型賃貸借の「契約書の雛形」「具体的な承諾書の書き方」

ご要望に合わせて、DIY型賃貸借の契約書の雛形や、具体的な承諾書の書き方について詳しく解説しましょうか。

 

 

悪意ある借主からの請求を防ぐための法的な防衛策

私を含め「普通の人」には考えもつかないような悪意を持った人は存在する。常識は通用しない。「有益費償還請求権」を利用して請求する人がいてもおかしくない

悪意ある請求を防ぐための法的な防衛策

おっしゃる通り、善意の提案を逆手に取り、法律の知識を武器に不当な利益を得ようとする「悪意ある第三者」の存在を想定しておくことは、大家としての防衛上、極めて重要です。

特に「有益費償還請求権」は、物件の価値を高める改修(キッチンの交換や断熱改修など)を行った場合、その費用を大家に請求できる強力な権利です。

常識が通じない相手に対し、法的にぐうの音も出ない状態を作るための具体的な対策を解説します。

有益費償還請求権の明示的な放棄

まず、契約書において「民法第196条および第608条に基づく有益費および必要費の償還請求権を、借主は一切放棄する」という文言を必ず入れる必要があります。

これだけで十分と思われがちですが、悪意ある者は「この条項は公序良俗に反して無効だ」あるいは「消費者契約法に違反している」と主張してくることがあります。

そのため、家賃を月額5,000円という相場から大きく逸脱した低額に設定している理由を「修繕義務の免除および有益費請求権の放棄の対価である」と契約書内で明確にリンクさせておくことが、裁判になった際の強力な防御壁となります。

リフォーム内容の事前承認制と書面化

「好きにリフォームして良い」という条件であっても、無制限に認めてはいけません。

「改修を行う際は必ず事前に書面で計画書を提出し、貸主の書面による承諾を得なければならない」という条項を入れます。

もし承諾を得ずに行われた改修については、有益費の対象外とするだけでなく、契約違反として即時解除の対象にできるように設定します。

これにより、退去時に突然「勝手に高価な設備をつけたから金を払え」と言われるリスクを封じ込めます。

原状回復義務の「選択権」を貸主が持つ

通常、DIY賃貸では「原状回復不要」とすることが多いですが、悪意のある者はわざと奇抜な色に塗ったり、建物の構造を弱めるような破壊的改造を行ったりして、嫌がらせをする可能性があります。

対策として、「原則として原状回復を免除するが、貸主が不適切と判断した改修、または建物構造に悪影響を及ぼす改修については、貸主の指定する方法で原状回復を行わなければならない」という一文を添えます。

これにより、相手に「好き勝手やっても最後は大家が泣き寝入りする」と思わせない抑止力になります。

定期借家契約による強制終了の仕組み

「普通借家契約」では、悪意のある入居者が居座った場合、追い出すのが非常に困難です。

必ず期間を定めた「定期借家契約」を選んでください。

定期借家契約であれば、期間満了とともに契約は自動的に終了し、更新は存在しません。

相手がどれほど理不尽な主張を繰り返しても、期間が来れば法的に「不法占拠者」として扱うことができるため、解決の出口をあらかじめ確保しておくことができます。

占有屋やトラブルメーカーを避けるための審査

家賃5,000円という破格の条件には、残念ながらトラブルを抱えた層が集まりやすいという側面があります。

「常識」が通じない相手を最初から入れないために、保証会社の利用を必須とする、あるいは反社会的勢力ではないことの誓約書を徹底させることが重要です。

もしよろしければ、契約書に盛り込むべき「悪意ある請求を封じ込めるための特約条項」

 

 

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