リトアニア、中国外交官「全員追放」 中国大使館は「空き家」に
経緯と背景
概要
- 2024年末から2025年にかけて、リトアニア政府は国内に駐在していた中国外交官全員を国外退去処分とし、ビリニュスの中国大使館は事実上「空き家」となりました。この措置は、外交官によるウィーン条約やリトアニア国内法違反、そして台湾問題などをめぐる両国の対立が背景にあります。
主な経緯
2021年:台湾代表処設置問題
- リトアニア政府が台湾の「台湾代表処(Taiwanese Representative Office)」設置を認可。他国が「台北代表処」と呼ぶのに対し、「台湾」の名称を使用したことで中国が強く反発。中国はリトアニアとの外交関係を格下げし、大使館を「臨時代表部」に変更しました。
2024年11月:外交官追放の決定
- リトアニア外務省は中国代表事務所の職員3人を「ウィーン条約とリトアニア法に違反する活動」があったとして国外追放処分に。詳細な違反内容は公表されていませんが、外交官の地位や行動規範に関する違反があったとされています。
中国側の反応
- 中国政府は「乱暴な挑発行為」「無謀で挑発的な措置」と強く反発し、対抗措置を取る可能性を警告しました。
バルト海海底ケーブル断線疑惑
- 同時期、バルト海の通信ケーブル断線に中国船の関与が疑われており、これも関係悪化の一因とみられています。
2025年5月:最後の中国外交官も退去
- 最後の中国外交官がヴィリニュス空港で入国を拒否され、第三国(トルコ)に送還されました。外交資格失効や滞在期間超過が理由とされています。
背景と影響
台湾問題が最大の火種
- リトアニアは台湾との関係強化を進めており、中国は「一つの中国」原則に反するとして強く非難。両国関係は2021年以降、急速に冷却化しています。
外交官の違法行為・事故も影響
- 一部外交官による交通事故や外交慣例違反も追放の理由となりました。
現在の外交関係
- 両国の外交関係は完全に断絶しているわけではなく、中国の駐EU代表部を通じた間接的な連絡が続いています。
今後の見通し
- リトアニア政府は「法の支配に基づく外交関係の再構築」を条件とし、台湾代表処の名称変更など中国側の要求には応じない姿勢を明確にしています。今後の関係改善の主導権は中国側にあるとの立場です。
まとめ表
主要事項 | 内 容 |
追放理由 | ウィーン条約・国内法違反、 外交慣例違反、 台湾問題への対応 |
追放人数・時期 | 2024年11月に3人、 2025年5月に最後の1人が退去 |
中国側の反応 | 強く反発・対抗措置警告 |
両国関係の現状 | 公式外交官不在、 駐EU代表部経由での連絡のみ |
背景 | 台湾代表処設置、 バルト海ケーブル断線疑惑、 外交官の違法行為 |
- リトアニアによる中国外交官の「全員追放」は、台湾問題や安全保障上の懸念、外交官の行動規範違反など複数の要因が重なった結果であり、今後も両国関係の行方が注目されています。
フィンランド・ エストニア・リトアニア・ オーストリア・クロアチア編
世界のどこかでひとり旅した時のわっくわくな日常
中国やロシア偽情報で日本と協力 リトアニア国防相
概要
- リトアニアのシャカリエネ国防相は、ロシアや中国による偽情報やサイバー攻撃への対抗策として、リトアニアのサイバー防衛拠点が日本と共同で分析を進めることを明らかにしました。この取り組みは、2021年にウクライナや米国などと連携してリトアニア中部カウナスに設置された「地域サイバー防衛センター」を拠点としています。日本は2025年6月下旬から同センターに防衛省職員を派遣し、共同分析に参加します。
詳細
協力の背景と目的
- ロシアや中国による偽情報拡散やサイバー攻撃が国際的な脅威となっており、これに対抗するための国際連携が強化されています。
- シャカリエネ国防相は、日本を含むインド太平洋諸国と情報交換や共同分析を進める意向を示し、「世界は密接につながっており、インド太平洋と欧州の双方で安定と安全を確保することが共通の利益になる」と強調しました。
地域サイバー防衛センターの役割
- リトアニアは2021年にウクライナやアメリカなどと連携し、中部カウナスに「地域サイバー防衛センター」を設立。
- 日本は2025年6月下旬から同センターに防衛省職員を派遣し、実際の分析活動に加わる予定です。
防衛費の増額方針
- トランプ米大統領がNATO加盟国に対し防衛支出をGDP比5%に引き上げるよう求めていることを受け、リトアニアは2025年に4%、2026~2030年に5~6%に引き上げる方針を示しました。
まとめ
- リトアニアと日本は、ロシアや中国による偽情報やサイバー攻撃への対抗を目的に、サイバー防衛分野での協力を強化しています。これは、欧州とインド太平洋地域の安全保障が密接に関係しているという認識に基づくものであり、今後も両国の連携が進む見通しです。
欧州の小国リトアニア、台湾を巡り中国と渡り合う
リトアニアと中国の対立:台湾問題を巡る背景と経緯
リトアニアと中国の対立の発端
- リトアニアは2021年、東欧や中欧の17カ国が中国と関係を深める「17+1」グループから脱退し、他国にも脱退を呼びかけました。これは中国の「一帯一路」構想に対する欧州からの反発の象徴的な動きでした。
- さらに同年11月、リトアニアは欧州で初めて「台湾」の名称を冠した事実上の大使館(台湾代表処)の開設を認めました。従来、欧州や米国の同様の事務所は「台北」の名を使い、中国への配慮から「台湾」の名称を避けてきました。
中国側の反応と制裁
- 中国はこの動きに強く反発し、「一つの中国」原則を侮辱するものだと非難。リトアニアとの外交関係を格下げし、リトアニア製品の輸入を事実上停止するなど、経済的な圧力をかけました。
- 中国政府は「核心的利益」を損なったのはリトアニア側だと主張し、リトアニアの主張を否定しています。
リトアニア・台湾・EUの対応
- 台湾はリトアニア支援のため、中国に輸出されるはずだったリトアニア産ラム酒などを買い上げ、数億ドル規模の投資を約束しました。
- この問題はEU全体に波及し、EUはリトアニアを支持。中国によるリトアニアへの差別的な貿易慣行がEU単一市場全体に悪影響を及ぼしているとして、2022年1月に世界貿易機関(WTO)へ中国を提訴しました。
リトアニア側の葛藤と今後の展望
- リトアニアのナウセーダ大統領は、台湾代表処に「台湾」の名称を使ったことは「過ちだった」と後に発言し、国内でも意見の分かれる状況となっています。
- 一方で、リトアニアは新設事務所は公式な外交的地位を持たず、「一つの中国」原則には反しないと説明していますが、中国はこの説明を受け入れていません。
まとめ
- リトアニアは台湾との関係強化を通じて、中国の圧力に対抗する姿勢を示しましたが、中国は外交関係の格下げや経済制裁で応じ、問題はEU全体に波及しました。今後は中国との貿易摩擦やEUの対中政策の強硬化など、さらなる国際的な影響が予想されます。
「リトアニア ロシアに対抗するため中国を利用した」のか?
- 結論から述べると、リトアニアはロシアに対抗するために中国を利用したのではなく、むしろロシアと中国の両方に対して強硬な姿勢を取っています。
リトアニアの対ロシア・対中国政策
- リトアニアは歴史的背景からロシアに対して非常に警戒心が強く、ウクライナ侵攻以降はロシア産エネルギーの輸入停止など「脱ロシア」を急速に進めています。
- 一方で、中国に対しても強硬な立場を取っており、2021年には台湾の「駐リトアニア台湾代表処」設置を認めたことで中国から経済制裁や外交的圧力を受けています。
ロシアと中国、両国への対抗姿勢
- リトアニアはロシアや中国からの偽情報やサイバー攻撃に対抗するため、日本などと連携してサイバー防衛体制を強化しています。
- 中国を「国家安全保障上の脅威」と公式に認定し、中国の経済的・政治的影響力拡大に警戒感を示しています。
- ロシアと中国の両国を「脅威」と認識し、欧米や日本、台湾など民主主義陣営との連携を強めているのが特徴です。
「中国を利用した」という見方について
- 検索結果からは、リトアニアがロシアに対抗するために中国を戦略的に利用した、という事実は確認できません。
- むしろ、リトアニアは中国とも対立を深めており、両国に対して独立した強硬姿勢を貫いているのが現状です。
まとめ
- リトアニアは、ロシアに対抗するために中国を利用したのではなく、ロシアと中国のいずれにも強い警戒と対抗姿勢を示し、欧米や日本、台湾などと連携して安全保障や価値観外交を推進しています。
リトアニア
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