大麻使用者の5人に1人は大麻依存症に
多くの人が、大麻はアルコールよりも安全だと考えているが、2020年に学術誌「Addictive Behaviors」に発表されたレビュー論文によれば、使用者の5人に1人は大麻依存症になる。
大麻使用者の2割が依存症に、精神症リスクは「コカイン以上」 続々判明する娯楽用大麻の害
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オタワ大学の精神科医「大麻使用は多くの問題を引き起こす可能性」
「多くの人が、大麻は大自然の恵みであり、何の害ももたらさないと考えています」と、カナダ、オタワ大学の精神科医マーコ・ソルミ氏は言う。しかし、ソルミ氏らが2023年8月に医学誌「BMJ」に発表したレビュー論文からは、大麻の使用には数多くの問題を引き起こす可能性があることがわかる。
大麻の使用が心臓病や脳卒中と関連
2024年2月に医学誌「Journal of the American Heart Association」に発表された研究では、大麻の使用が心臓病や脳卒中と関連していることが示された。
大麻を常用する人は心疾患や脳卒中のリスクが高くなる
大麻を常用する人は、心臓発作(心筋梗塞)などの心疾患や脳卒中のリスクが高くなるという。この研究の対象グループでは、心臓発作の発生率は25%、脳卒中は42%高くなった。その原因はおそらく、THCが動脈の血流にもたらす影響や、カンナビノイド(大麻に含まれる生理活性物質)の受容体が循環器系全体に存在するためだと考えられる。
妊娠中の女性、早産や、危険なほど小さな赤ん坊を出産するリスク
妊娠中の女性が大麻を常用していると、早産や、危険なほど小さな赤ん坊を出産するリスクが高くなる。これが大麻自体に原因があるのか、それとも、妊娠中に大麻の使用を選択する人々のライフスタイルによるものなのかを判断するには、さらなる研究が必要だとソルミ氏は言う。
大麻は身体的および精神的な健康に多くの影響を及ぼす可能性
大麻の危険性は、オピオイド(麻薬や鎮痛剤として働く薬物)のそれとは異なると、大麻の使用と乱用について研究している米コロンビア大学の疫学者デボラ・ハシン氏は言う。「大麻の過剰摂取で死亡する人はいません。しかし、大麻は身体的および精神的な健康に多くの影響を及ぼす可能性があるのです」
現在の大麻製品は以前よりもはるかに強力
問題の一因は、過去に比べてより効き目が強くなった品種や製品にある。米シカゴのルリー小児病院で薬物使用・予防プログラムの医療責任者を務めるマリア・ラーマンダー氏は、今の大麻製品は「祖母の世代が使っていたものとは異なる」と述べている。「現在の大麻製品は以前よりもはるかに強力で、とても多様な配合で提供されます。1960年代や70年代に出回っていたものはもちろん、90年代の製品とさえ大きく異なります」と氏は言う。
妄想、幻聴、一時的に現実感を失ったりといった症状
あまり知られてはいないが、大麻の常用によって生じる厄介なリスクのひとつに「物質誘発性精神症」があり、妄想を抱いたり、声などの幻聴を聞いたり、一時的に現実感を失ったりといった症状が起こる。一般的に数日で治るものの、場合によっては入院が必要になる。
大麻によるリスクはコカイン以上
こうした症状は、心理的な変化をもたらす物質なら何ででも起こり得るが、「大麻によるリスクはコカイン以上」とソルミ氏は言う。とりわけ懸念されるのは、物質誘発性精神症の患者のうち約3人に1人が、その後、より長く続く病気である統合失調症を発症することだと、ソルミ氏は言う。
うつ病、交際中のカップル間での暴力が増加
また、その他の精神疾患と、大麻の頻繁な使用との関連も観察研究で示されている。ソルミ氏らのレビュー論文によれば、うつ病のほか、交際中のカップル間での暴力が増加することがわかっている。
ドライバーによる交通事故
さらに、大麻は認知や視覚の障害を引き起こすため、その影響下にあるドライバーによる交通事故も増えている。
若年成年期までにうつ病発症確率が37%も高くなり、自殺率も上昇
青少年の場合、日常的に大麻を使用すると、若年成年期までにうつ病を発症する確率が非使用者よりも37%も高くなり、自殺率も上昇するという研究もある。