上海の消費崩壊と経済危機の現状

上海の消費崩壊 家計は借金の沼に

上海の消費崩壊と経済危機の現状

上海歴史ガイドマップ 増補改訂版
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企業の存続危機と消費者の節約志向

  • 上海は現在、深刻な経済不況に直面しており、現地の多くの労働者が「7割の人が満足に給料を受け取れていない」と証言しています。オフィスビルの長期空室化や中小企業の相次ぐ人員削減・閉業が続き、経営者はネットローンや小口融資に頼らざるを得ない状況です。実店舗の閉店率は70%に達し、営業を続ける店も利益がほとんど出ていません。住民の消費意欲は大きく落ち込み、格安の理髪店が急増するなど、節約志向が顕著です。

中間層の借金苦と住宅市場の停滞

  • かつて安定していた中間層も、住宅ローンや生活費の負担増で「右から借りて左に返す」自転車操業状態に陥っています。中古住宅の売り出し件数は過去最多となり、大幅な値引きをしても売れ残りが目立っています。中間層の最大の願いは「プレッシャーのない生活」であり、収入増よりも安定を求める傾向が強まっています。

雇用環境の悪化と都市の空洞化

  • 企業のリストラや賃下げが進み、就職市場も縮小。出前や運転代行など柔軟な働き方が増えていますが、収入は低く不安定です。飲食店や商業施設も客足が激減し、交通量や駅の利用者も大幅に減少しています。地方出身の賃貸住民が上海に戻らず、人口減少も進行中です。専門家は、賃金低下や失業、生活コスト高騰などが背景にあると指摘しています。

消費回復策の効果は限定的

  • 地方政府は消費クーポンや住宅購入補助金など様々な策を講じていますが、消費財小売総売上高は前年比14.1%減と過去最低水準。市場の反応は鈍く、特に中間層は住宅ローン・教育費・医療費の「三重苦」に苦しみ、消費余力がありません。

まとめ

  • かつて「成功の象徴」だった上海は、実体経済の停滞、雇用市場の悪化、不動産市場の行き詰まりなど複数の課題に直面し、都市の未来が不透明になっています。