- ドイツで中共スパイ事件審理開始 軍事・政治情報漏洩の全容 2025年08月5日、ドイツ・ドレスデン高等裁判所で中国共産党(中共)によるスパイ事件の公判が開始されました。被告はドイツ議員マキシミリアン・クラー氏(極右政党AfD所属)の元中国系アシスタントの郭建(43歳)と共犯者Yaqi X.(39歳)で、裁判は9月末までに13回実施予定です。起訴状によれば、郭建は2019年以降ヨーロッパ議会内部文書を500件以上収集し、そのうち11件以上が機密文書で、中共情報機関に提供していました。またドイツ政界の上層部の個人情報や反体制派の監視も行い、ドイツ軍の軍事データや部隊移動情報も入手し中共に流していました。これらの行為は最長10年の懲役が科される可能性があります。Yaqi X.は空港従業員として軍用機の写真や乗客情報を郭建に提供し、最長5年の懲役が見込まれています。ドイツの検察はまた議員クラー氏に対してマネーロンダリングや収賄の疑いで捜査を行っています。 この事件は、中共がドイツ及びEUの政治・軍事・経済に広範に浸透し、反体制派の動向を監視していたことを示し、ドイツ史上最も深刻なスパイ事件の一つとして注目されています。法廷は厳重な警備体制を敷き、証拠の詳細が明らかにされており、同時にドイツの情報安全保障の脆弱性も浮き彫りにしました。 加えて、ドイツ国内では2022年以前から中国国家安全省の指示でスパイ活動を行ったドイツ人男女3人も逮捕されており、軍需産業の機械部品や特殊レーザーの不正輸出なども関与しています。これらの事件は欧州全体で中国のスパイ活動が深刻化していることを反映しており、英国やベルギーでも同様の捜査・起訴が進んでいます。 このように、ドイツを舞台とした中共スパイ事件は政治・軍事情報の漏洩だけでなく、反体制派の監視や軍事関連技術の不正輸出も含む多面的な問題であり、今後の公判や調査が国際的にも大きな関心を集めています。 中国、2030年までに世界最大の半導体ファウンドリ拠点に
- 中国、「標高3600メートル」にAIセンター建設。高原AI拠点設置その真意
- オランダ国防大臣による中国スパイ活動への警鐘と半導体産業への影響
ドイツで中共スパイ事件審理開始 軍事・政治情報漏洩の全容 2025年08月5日、ドイツ・ドレスデン高等裁判所で中国共産党(中共)によるスパイ事件の公判が開始されました。被告はドイツ議員マキシミリアン・クラー氏(極右政党AfD所属)の元中国系アシスタントの郭建(43歳)と共犯者Yaqi X.(39歳)で、裁判は9月末までに13回実施予定です。起訴状によれば、郭建は2019年以降ヨーロッパ議会内部文書を500件以上収集し、そのうち11件以上が機密文書で、中共情報機関に提供していました。またドイツ政界の上層部の個人情報や反体制派の監視も行い、ドイツ軍の軍事データや部隊移動情報も入手し中共に流していました。これらの行為は最長10年の懲役が科される可能性があります。Yaqi X.は空港従業員として軍用機の写真や乗客情報を郭建に提供し、最長5年の懲役が見込まれています。ドイツの検察はまた議員クラー氏に対してマネーロンダリングや収賄の疑いで捜査を行っています。 この事件は、中共がドイツ及びEUの政治・軍事・経済に広範に浸透し、反体制派の動向を監視していたことを示し、ドイツ史上最も深刻なスパイ事件の一つとして注目されています。法廷は厳重な警備体制を敷き、証拠の詳細が明らかにされており、同時にドイツの情報安全保障の脆弱性も浮き彫りにしました。 加えて、ドイツ国内では2022年以前から中国国家安全省の指示でスパイ活動を行ったドイツ人男女3人も逮捕されており、軍需産業の機械部品や特殊レーザーの不正輸出なども関与しています。これらの事件は欧州全体で中国のスパイ活動が深刻化していることを反映しており、英国やベルギーでも同様の捜査・起訴が進んでいます。 このように、ドイツを舞台とした中共スパイ事件は政治・軍事情報の漏洩だけでなく、反体制派の監視や軍事関連技術の不正輸出も含む多面的な問題であり、今後の公判や調査が国際的にも大きな関心を集めています。 中国、2030年までに世界最大の半導体ファウンドリ拠点に
2025年07月30日付での市場調査会社Yole Groupの報告によると、中国は2030年までに世界最大の半導体ファウンドリ(受託製造)拠点になると予測されています。中国の半導体ファウンドリ生産能力は市場全体の30%を占め、現在首位の台湾(23%)や韓国(19%)を上回る見込みです。中国のシェアは現在の21%から大幅に増加します。
この成長の背景には、中国政府が主導する半導体製造分野への積極的な国内投資があり、自国でのチップ製造の自立という国家目標を支えています。2024年には月間半導体生産枚数が885万枚に達し、2025年には1010万枚に増加すると予測されます。華虹半導体の無錫12インチ新工場を含む18の新工場の建設がこの成長の要因です。
なお、アメリカは生産能力は10%にとどまる一方、世界のウエハー需要の約57%を消費しており、多くの供給を中国や台湾、韓国などに依存しています。ヨーロッパと日本は主に自国需要を自国生産で賄っており、ほぼ自給自足の状態です。また、アメリカにおけるTSMC、インテル、サムスンの工場新設も含めると、米国内生産シェアは増加の可能性があります。
ただし、中国の生産量が世界トップになることは見込まれているものの、技術面では依然として不透明な部分があります。アメリカは最先端半導体製造装置の輸出を制限して技術流出を防いでいますが、中国は国産技術開発に大規模投資をしており将来的に技術格差を縮める可能性もあります。
中国、「標高3600メートル」にAIセンター建設。高原AI拠点設置その真意
中国はチベット自治区の標高約3600メートルの高地に、スーパーコンピューティングセンター「Yajiang-1(ヤジアン・ワン)」を建設しました。これは国家戦略「東数西算(Eastern Data, Western Computing)」に基づく初の本格的な高原AI拠点です。
このAIセンターが注目される理由は、過酷な自然環境を活かしている点にあります。具体的には、日照時間の長さを活用した太陽光発電、サーバー冷却に適した低温環境、廃熱を再利用する熱回収システムを組み合わせており、これにより大量の電力を消費するAIのトレーニング時の環境負荷と運用コストを大幅に削減可能としています。
施設には256台以上の高性能サーバーが設置され、総計2000ペタフロップス(1秒間に2千京回の計算)という国内屈指の処理能力を持ち、中国のAI技術基盤の「西の柱」と位置付けられています。地元のチベットヤルンツァンポ計算技術会社と連携し、高原地域のデジタル経済の成長エンジンとしての役割を担います。
用途面では、自動運転、スマートヘルスケア、AIトレーニング、高原生態系のモニタリングなど多岐にわたる技術革新を目指しており、既に複数の企業や研究機関とパートナーシップも結ばれています。
「東数西算」戦略とは、東部の人口集中地域の逼迫する計算リソースを、西部の資源豊富な地域に分散させる国家データ戦略であり、西部の拠点はオフライン処理や非緊急のデータ分析を行い、東部のリアルタイム処理の負担軽減を狙っています。
この高原AIセンターは、自然環境とグリーンテクノロジーを組み合わせた、新世代の持続可能なスーパーコンピューティングセンターの試金石とされ、中国の次世代インフラ構想の象徴的存在です。
オランダ国防大臣による中国スパイ活動への警鐘と半導体産業への影響
要点まとめ
- オランダのルーベン・ブレケルマンス国防大臣は、2025年05月31日にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議「シャングリラ・ダイアローグ」にて、中国共産党(中共)によるオランダへのスパイ活動が激化しており、特に半導体産業が主要な標的になっていると警鐘を鳴らしました。
- ブレケルマンス大臣は、「オランダは半導体産業において技術的に先行しており、それが中国にとって知的財産の面で強い関心を引いている」と述べ、国家安全保障の観点からも重要な課題であると強調しました。
半導体産業が狙われる理由
- オランダのASML社は、世界で唯一、極端紫外線(EUV)露光装置を製造できる企業であり、EUV装置は最先端の半導体チップ製造に不可欠な設備です。これにより、オランダの半導体技術は中国にとって極めて魅力的な標的となっています。
- EUV露光技術は、電気自動車や軍事装備を含む幅広い先端産業に不可欠であり、米国を含む西側諸国も中国へのEUV装置の輸出制限を強化しています。
スパイ活動の実態と脅威
- オランダの情報機関(MIVD)は、2024年04月の年次報告書で、中国によるスパイ活動が半導体、航空宇宙、海事産業を標的としており、中国の軍事力強化に結びついていると警告しています。
- 実際に、ASMLの知的財産を狙ったサイバー攻撃が複数確認されており、2023年には中国支援のハッカーがオランダ軍のネットワークに侵入したことも明らかになっています。
- サイバー攻撃の多くが中国から発信されており、オランダに対する最大のサイバー脅威となっています。
オランダおよび欧州の対応
- オランダでは重要産業や国家の中核的利益を守るための制度が整備されており、中国への重要資源の依存度を引き下げる必要性が強調されています。また、EUレベルでもこの依存を減らす取り組みが求められています。
- サイバーセキュリティ対策の強化や、情報公開による国際的なレジリエンス向上も進められています。
「国家安全保障はオランダにとってかつてないほど重要な課題になっている。中共は経済的地位を地政学的な手段として利用し、我々に圧力をかけている」
— ルーベン・ブレケルマンス国防大臣
まとめ
- オランダの半導体産業は、ASML社の先端技術を背景に中国共産党によるスパイ活動の主要標的となっており、国家安全保障上の大きな懸念となっています。オランダおよび欧州は、重要技術や資源の保護と中国依存の低減、サイバーセキュリティ強化に向けた対応を進めています。
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