クライシスアクター
「クライシスアクター」という言葉は、陰謀論者によって、銃乱射事件やテロ事件などの被害者や関係者が「演技をしている」あるいは「事件は偽装されたものだ」という主張をする際にも使われています。しかし、この陰謀論は根拠がなく、事件の被害者や遺族に対して誹謗中傷や嫌がらせを引き起こしています。著名な例として、サンディフック小学校銃乱射事件に関する陰謀論があり、その主張を広めた人物は訴訟で多額の賠償を命じられています。
サンディフック小学校銃乱射事件
2012年12月14日にアメリカ合衆国コネチカット州ニュータウンのサンディフック小学校で発生した悲劇的な銃乱射事件です。20歳のアダム・ランザが母親の所有する複数の銃（主にAR-15型アサルトライフル）を持って学校に侵入し、6歳と7歳の児童20人と職員6人の合計26人を殺害しました。犯人は事件後、自らの頭を撃ち自殺し、その朝には自宅で母親も殺害していました。犠牲者は26人ですが、犯人も自殺しているため、事件に関連する死者は27人です。
事件はアメリカ史上、小中学校での銃乱射事件として最悪のものの一つとされ、子どもたちや遺族に深い悲しみとトラウマを残しました。事件後、銃規制を求める声や支援活動が活発になりましたが、動機は明確に解明されていません。翌日には警察が現場を封鎖し、被害者の救出と捜査が行われました。
また、この事件は銃乱射事件を否認し陰謀論を唱えた人物が訴訟を起こされるなど、その後の社会的な影響も大きく続いています。事件は米国での銃規制議論を再燃させるきっかけとなりました。
サンディフック小学校銃乱射事件の「クライシスアクター」とは
陰謀論者らが主張するもので、事件の被害者や遺族は実際には演技をしている俳優（クライシスアクター）であり、事件自体がでっち上げられた「やらせ」だとする虚偽の説です。特に陰謀論者ジェームズ・トレイシーやアレックス・ジョーンズがこの主張を行い、被害者遺族を俳優扱いして侮辱しました。これに対し、遺族は名誉毀損で訴訟を起こし、ジョーンズ氏には巨額の賠償命令が出ています。クライシスアクターは緊急訓練で被害者役を演じる俳優を指す本来の意味とは異なり、陰謀論の中で使われる造語として事件被害者を偽装だとする侮辱的な意味で使われています。
陰謀論・クライシスアクターは否定されている
サンディフック事件でもこの陰謀論がありましたが、事件の事実や犠牲者の声などから否定されています。事件後の遺族や関係者に対する誹謗中傷として問題視されています。
事件当日は911通報から警察到着までおよそ4分半、警察の学校突入は約10分後でした。犯人は校内で自殺しており、警察の発砲はありませんでした。事件の動機には精神疾患や社会的孤立など複数要因が絡んでいました。
まとめると、サンディフック事件はアメリカ史上最悪の学校銃乱射事件であり、クライシスアクターの主張は陰謀論に基づくもので根拠がないことが明らかとなっています。
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