「補償ゼロ、突然ブルドーザーが来た」村民が語った全真相
- 2023年の北京・天津・河北省を襲った特大豪雨の後、雄安新区を守るための放流措置によって河北省涿州市や邯鄲市などの村々が深刻な被害を受け、その後、各地で貯水池や堤防の大規模建設が始まりました。しかし、これらの工事に伴う土地収用や家屋の取り壊しでは、補償が支払われないまま強制的に進められるケースが相次ぎ、村民の強い反発と抗議活動が発生しています。
主な事例と問題点
- 河北省武安市婁里貯水池では、補償がないまま土地が強制収用され、抗議した村民が暴力的に排除される事件が発生。村民は「補償金が未支給」「移転先の住宅も未整備」のまま取り壊しが始まったことに強く反発しています。現場では100人以上の暴力団が雇われ、負傷者も出ました。補償案が未策定のまま着工していることを担当エンジニアも認めています。
- 涿州市観仙営村では、貯水池建設に伴う土地収用の補償金が村民に支払われず、村幹部や有力者が補償金を山分けしたとの証言が出ています。調査によると、国家からの補償金が本来より大幅に少ない額しか村民に伝えられていません。さらに、土地を持たない村幹部の親族にも補償金が配分されるなど、不正が横行しています。
- 山東省沂南県東師古村でも、当初約束された補償額が土地の性質変更によって大幅に減額され、実際には村民の手元にほとんど渡っていません。村の同意を得ずに幹部が勝手に契約を結び、村民は補償金の分配実態も知らされていません。
共通する特徴
- 補償の未払い・不透明な手続き
- 強制的な取り壊し・収用
- 村幹部や地方官僚による補償金の横領・不正分配
- 抗議活動への暴力的な弾圧
- 住民の訴えが無視される現状
専門家は、こうした土地収用をめぐる腐敗や強権的な手法は中国共産党体制の本質を示しており、農民や住民は生活基盤を奪われた上に正当な補償も得られず、抗議すれば弾圧されるという深刻な人権・社会問題となっていると指摘しています。
- 中国の本質を見抜くための視点を提示する書籍です。著者は南モンゴル出身で静岡大学教授、日本名は大野旭。文化人類学の専門家として、モンゴル人・中国人としての体験と日本での研究をもとに、中国社会や習近平政権の特徴を多角的に分析しています。
本書の主なテーマは以下の通りです。
- 歴史の書き換え
習近平政権下での歴史認識の操作、「中国5000年」の歴史観の虚構、漢族アイデンティティの形成過程などを批判的に検証します。 - 他民族弾圧の歴史と現在
モンゴル、チベット、新疆ウイグルなどへの抑圧政策や、中華思想の起源、遊牧民と農耕民の対立史、宗教弾圧の実態を論じています。 - 対外拡張の歴史と現在
朝貢体制の拡大、一帯一路構想、台湾問題、日本への影響など、中国の対外政策の根底にある発想を解説します。 - 逆転の視座
日本人が慣れ親しんだ「中国観」を相対化し、モンゴル人の視点や世界史的な観点から中国を見直すことの重要性を説いています。
著者自身の体験(文化大革命期の中国、モンゴル人としてのアイデンティティ、日本社会での生活)を交えながら、中国の「本質」を見破るための三つの視点を提示し、日本人読者に新たな中国理解を促しています。
書籍の構成は以下の通りです。
- 私の体験的中国論(自身の体験と中国観)
- 中国の本質を見破る視点① 歴史を書き換える習近平政権
- 中国の本質を見破る視点② 他民族弾圧の歴史と現在
- 中国の本質を見破る視点③ 対外拡張の歴史と現在
- 世界史的視野から中国の暴走を阻止せよ
本書は、中国の現代史・民族問題・対外政策に関心のある読者に向けて、既存の中国観を問い直す内容となっています。