インボイス制度の導入後、廃業が増加し、それが人手不足の深刻化に拍車をかけている

インボイス制度で廃業が増え、人手不足も増えた?

インボイス制度による廃業増加と人手不足の関係

廃業の増加

  • インボイス制度の導入後、廃業が増加したことは事実です。
  • 2023年の休業・廃業・解散件数は5万9105件で、前年から急増し前年比110.6%となりました。
  • 特に税理士事務所や社会保険労務士事務所など、制度対応の負担が大きい業種で廃業率が高くなっています。税理士事務所の廃業は前年比170%増(30件→81件)というデータもあります。
  • 建設業やタクシー業などでも、高齢の個人事業主がインボイス制度を機に廃業を選ぶケースが報告されています。

人手不足の増加

  • インボイス制度は人手不足の深刻化にも影響しています。
  • 経理部門では、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応による業務負担増が人手不足の主な要因となっています。
  • 建設業や運送業、タクシー業界など、もともと人手不足が深刻な業界では、インボイス制度をきっかけに廃業や引退が増え、さらに人手不足が悪化する懸念が指摘されています。
  • 建設業の一人親方を対象とした調査では、約1割がインボイス制度をきっかけに廃業を検討しているとの結果も出ています。

背景と複合要因

  • 廃業や人手不足の背景には、インボイス制度だけでなく、高齢化、物価高、人件費負担の増加、コロナ禍後の支援策縮小など、複数の要因が重なっています。
  • ただし、インボイス制度が「引き金」となり、特に小規模事業者や高齢の個人事業主の廃業を後押ししていることは多くの調査や報道で共通しています。

まとめ

  • インボイス制度の導入後、廃業が増加し、それが人手不足の深刻化に拍車をかけているという傾向は、複数の業界・調査で確認されています。
  • 特に小規模事業者や高齢の個人事業主、経理部門などで影響が大きく、今後も人手不足の問題は続くとみられます。

【個人事業主必見!】インボイス制度入門編: 個人事業主もフリーランスもインボイス制度の対応が迫られる!
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概要

  • インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、2023年10月から導入された新しい消費税制度で、個人事業主やフリーランスにも大きな影響があります。

インボイス制度とは

  • 「インボイス」とは、登録番号・氏名(名称)・税率ごとの税額など、一定の要件を満たした請求書のことです。
  • 仕入税額控除(売上時の消費税から仕入や経費で支払った消費税を差し引くこと)が、インボイスを保存している場合のみ認められるようになりました。
  • インボイスを発行できるのは「適格請求書発行事業者」だけで、この登録には税務署への申請が必要です。

個人事業主・フリーランスへの影響

立   場 インボイス登録しない場合 インボイス登録した場合
免税事業者
(売上1,000万円以下)
インボイス発行不可。取引先(課税事業者)は仕入税額控除できず、仕事が減る・値引き交渉される可能性。 課税事業者となり消費税納税義務が発生。取引先との取引継続がしやすくなる。
課税事業者 もともと消費税納税義務あり。インボイス登録しなければ取引先に不利益。 インボイス発行可能。従来通りの取引が可能。
  • 取引先が個人消費者や免税事業者の場合は、インボイス発行が求められないため影響は小さいですが、BtoB(事業者間取引)ではインボイス対応が強く求められます。
  • 免税事業者のままでは、取引先からの発注減少や値引き要求などのリスクがあります。

インボイス発行事業者になるには

  • 税務署への申請が必要です。方法はe-Tax(オンライン)、郵送、窓口提出の3つ。
  • 必要書類や本人確認書類を準備し、登録申請を行います。
  • インボイス登録後は、消費税の納税義務が発生し、インボイス対応の帳簿付けや確定申告が必要となります。

負担軽減策

  • 売上1,000万円以下の小規模事業者が課税事業者となった場合、「2割特例」などの納税額軽減措置や、一定期間インボイスがなくても一部控除が認められる経過措置があります。

まとめ

  • 個人事業主・フリーランスは、今後の取引先や事業方針を踏まえて「インボイス登録するかどうか」を判断する必要があります。
  • 登録しない場合は仕事減少リスク、登録すれば納税・事務負担増といったメリット・デメリットをよく比較し、早めの対応・取引先との相談が重要です。

crying cat(泣き顔の猫)…
小規模事業者やフリーランスにとっては、事務負担や実質的な増税感から「泣きたい」気持ちになる制度ですが、現状では避けて通れない対応となっています。