地方自治体の地域振興策に県外企業やコンサルタント企業が関与

地元の利益や主体性が損なわれている

自治体に巣くう企業の実態取り上げ安易な地域振興策諫める東洋経済

  • **「週刊東洋経済」2025年6月21日号の特集「告発 喰われる自治体」**は、地方自治体の地域振興策に県外企業やコンサルタント企業が深く関与し、地元の利益や主体性が損なわれている実態を詳しく報じています。

主なポイントは以下の通りです。

  1. 自治体の危機感と外部依存
    人口減少や自治体消滅の危機を背景に、多くの自治体が生き残りをかけて様々な地域振興策を模索しています。その過程で、県外企業やコンサルタントが「知恵や資金」を持ち込み、自治体の事業を受託するケースが増加しています。
  2. 具体事例の紹介
    特集では、三重県四日市市、千葉県流山市・浦安市、新潟県三条市、愛知県豊橋市、神奈川県茅ヶ崎市の6市を取り上げています。
    例えば茅ヶ崎市では、地元経済界が長年構想してきた「道の駅」設置案が、大阪のリース大手・大和リースの提案に取って代わられました。結果として、設計や運営も県外企業が中心となり、地元企業の関与が薄れたことに不満の声が上がっています。
  3. 安易な地域振興策のリスク
    新潟県三条市では、医療とは無関係のコンサル企業に中国富裕層向けヘルスツーリズム事業を委託しましたが、コロナ禍で事業が中止となり、委託費の返還訴訟に発展しています。こうした「安易な金儲け主義」は地域振興とはかけ離れていると批判されています。
  4. 過去の失敗例と警鐘
    北海道で1988年に実施された「世界・食の祭典」では、東京の広告会社の杜撰な運営により約90億円の赤字が発生し、「史上最悪の地方博」と呼ばれるなど、外部依存による失敗例も紹介されています。
  5. 東洋経済の提言
    東洋経済は、「外部コンサルに任せて補助金を得て箱物を建てても、維持費の負担で地獄を見ることになる。当事者の覚悟や地元企業・住民との意識共有が不可欠」と警告しています。

要点

  • 東洋経済は、自治体が外部企業に安易に依存することで、地元の主体性や持続可能な地域振興が損なわれるリスクを強く指摘し、地元企業・住民と一体となった街づくりの重要性を訴えています。

週刊東洋経済 2025年6/21号(喰われる自治体 ー告発ー)
B0F6C9XBDL

概要

  • 日本全国の自治体が直面する“外部勢力による支配”や“利権構造”の実態を告発する特集号です。

主な内容・ポイント

  1. 特集の背景
    前年の特集「喰われる自治体」に対し、全国から「うちも同じ被害に遭っている」という告発や資料が多数寄せられたことを受けて、さらなる取材を重ねた第2弾。
  2. NTTと自治体の固定電話契約問題
    全国1741自治体の多くが、NTTと随意契約(競争を経ずに特定業者と契約)を何十年も続けている現状を詳しく取り上げています。
    ある自治体がコスト削減のため競争入札に切り替えようとした際、NTTが非協力的な態度をとり、入札の障壁となった事例を紹介。最終的に改革を成し遂げたものの、多くの自治体では人材不足などで同様の改革が難しいと指摘。
  3. 地方創生コンサルの問題
    地方創生を掲げるコンサル会社が、自治体の行政機能を“ぶんどる”実態や、自治体側の脆弱さにつけ込む構造についても追及。
  4. 多数の内部告発・自治体の悲鳴
    特集では、自治体職員や関係者から寄せられた内部告発や資料をもとに、現場の“悲鳴”や実態を詳細にレポート。
  5. 明暗を分ける自治体の事例
    一方で、コンサルなどに頼らずに人口増に成功した自治体の秘訣や、前向きな取り組み例も紹介されています。
  6. 全47都道府県幸福度ランキング
    特集の一部として、都道府県ごとの幸福度ランキングも掲載。

「『喰われる』その様態は多岐にわたります。たとえば今回は、全国1741自治体の固定電話契約をほぼ独占状態で契約しているNTTを大きく取り上げました。旧電信電話公社の時代から何十年にわたって随意契約を結んでいる自治体ばかりです。」

総じて本号は、自治体が直面する“見えにくい搾取”や“構造的な問題”を多角的に検証し、現場の声とともに告発する内容となっています。

週刊東洋経済 2024/5/11号(喰われる自治体)
B0CZDLMSH6

概要

  • 地方創生政策の10年を総括し、「地方創生マネー」が本来の目的である地域活性化に十分寄与せず、むしろ都市部のコンサルタント会社などに吸い上げられている実態を詳しく報じた特集号です。

主な内容とポイント

  1. 特集タイトル:「溶ける地方創生マネー 喰われる自治体」
    地方創生予算が地方の自立や人口増加に結びつかず、都市部のコンサルや中間事業者に流出している現状を、実例とともに解説。
    特に、過疎地の自治体職員を軽視し、「行政機能をぶんどる」と語るコンサル会社社長の音声データを入手し、地方創生ビジネスの実態を明らかにしている。
  2. 実例紹介
    福島県国見町や福岡県吉富町など、コンサル主導で自治体のリスクが増大した事例を紹介。
    ふるさと納税の仕組みを利用し、寄付金が中間業者や大手企業に流れる構図も指摘。
  3. 地方創生の課題
    「企業版ふるさと納税」の見直しを訴える石破茂元地方創生担当相のインタビューや、人口減対策の失敗を認める増田寛也元総務相のコメントを掲載。
    福井県の「地方創生モデル」では、女性(特に嫁世代)への負担増加など、現場のリアルな課題にも言及。
  4. 自立した自治体の取り組み
    コンサルや補助金に頼らず、地元資源や中小企業、金融機関の力で地域再生を目指す自治体の事例も紹介し、解決策を模索。

目次・特集構成(抜粋)

Part1:地方創生の虚構

  • 喰われた自治体(福島県国見町、福岡県吉富町など)
  • ふるさと納税と中間事業者の問題
  • 財政力指数や人口増減率など自治体ランキング

Part2:喰われないまちづくり

  • コンサル主導から住民主体への転換(北海道むかわ町など)
  • 企業誘致や補助金に頼らない地域再生の実例
  • 地域金融機関の新たな役割。

「この10年、政府は膨大な地方創生予算を組んできましたが、『まちの人口が増えた』『創生できた』という話はほとんど聞こえてきません。地方創生マネーはどこに消えたのでしょう。」

総じて、「喰われる自治体」特集は、地方創生政策の“虚構”と“現場のリアル”、そして自立への道筋を多角的に検証した内容です。