「平均」に隠されたミスリードとは?——グラフや数字を読み解くコツ
- ビジネスやニュースでよく目にする「平均値」。一見すると客観的な事実に見えますが、実はこの「平均」には大きな落とし穴が潜んでいます。堀口智之氏の著書『仕事ができる人がやっている「ざっくり計算力」を身につける』から、そのポイントをわかりやすく解説します。
平均値は「真ん中」ではない
- 多くの人が「平均=真ん中」と思いがちですが、実際は違います。たとえば、年収の分布を考えてみましょう。
- 外れ値(極端に高い/低い値)があると、平均は実態からズレる
- 100人の村に1人だけ超高所得者がいると、その人の影響で平均年収が大きく跳ね上がります。
- でも、村人のほとんどはその平均に届かない年収で暮らしているかもしれません。
代表値には「中央値」「最頻値」もある
- 中央値(メジアン):データを小さい順に並べて真ん中の値。100人なら50番目と51番目の平均。
- 最頻値(モード):一番多く出現する値。年収で言えば、最も多い層の年収。
- たとえば日本の世帯年収では、平均は524万円ですが、最も多いのは「100万~200万円未満」(最頻値150万円)。この差が「平均」のミスリードを生みます。
グラフや数字を疑う習慣を持とう
- 「平均は〇〇万円」と聞いたら、「その分布はどうなっているの?」と疑うことが大切。
- 行政やマーケティングでは、都合の良い代表値だけを使って印象操作することもあります。
実践ポイント
- 平均値だけを鵜呑みにしない→ 中央値や最頻値もチェックしよう。
- グラフや分布図を確認する→ データの偏りや外れ値の有無を意識しよう。
- 「平均=真ん中」という思い込みを捨てる→ 平均より下の人がどれだけ多いかに注目しよう。
まとめ
- 「平均」は便利な指標ですが、必ずしも実態を表しているとは限りません。数字やグラフを見るときは、「その数字は何を意味しているのか?」と一歩踏み込んで考えるクセをつけましょう。これが、数字に強くなる第一歩です!
「ざっくり計算力」とは?
- 概算や暗算を活用し、短時間で「おおよその正解」を導き出すスキル。ビジネス現場では、正確な計算よりも、素早く大まかな数字を出せることが重視される場面が多く、その力を鍛えるための実践的なテクニックを紹介。
内容のポイント
- 四捨五入や簡単な掛け算・割り算の暗算テクニック
- 大きな数やゼロが多い数字を簡単に扱う方法
- 割合や比の理解と使い方
- データを見抜く力や、数字を使ったコミュニケーションのコツ
- 会話や日常生活で数字を効果的に使う工夫
- イラストを多用し、初心者にも分かりやすい構成
実用性
- ビジネスシーンでの「このプロジェクトの費用は?」「売上目標に必要な販売数は?」といった問いに、即座に大まかな答えを出せる力が身につく。数字を使った意思決定やプレゼン、会議での発言に自信が持てるようになる。