- 2025年11月07日 図でみる麻薬密輸ネットワーク 中南米から米国へ
- 2025年11月03日 トランプ政権の軍事圧力を受け、ベネズエラがロシア・中国・イランに「SOS」
- 2025年11月03日 米「裏庭」戦争のしわ寄せ トランプ政権、中国対応に遅れも
- 2025年10月21日 米、ベネズエラ大統領の追放もくろむ ルビオ氏が主導
- 2025年08月11日 米の懸賞金引き上げに反発―ベネズエラ 「政治的プロパガンダ」
- 2024年04月23日 ベネズエラ国営石油、仮想通貨での決済拡大 米制裁再開で
- 2023年12月05日 ベネズエラの背後にロシア=ブラジル北部侵略の可能性も?!
- 2013年03月07日 原油埋蔵量世界1位、ベネズエラの今後 原油埋蔵地の開発は停滞
2025年11月07日 図でみる麻薬密輸ネットワーク 中南米から米国へ

米国における中南米からの麻薬密輸ネットワークは極めて複雑で巧妙です。麻薬密輸業者は数十年の経験を持ち、米国や中南米、カリブ海の同盟国の法執行機関の一歩先を行っています。密輸に用いられる手法は多様で、高速のファイバーグラス製船舶、隠蔽型の「ナルコ潜水艦」、貨物船などが使われています。これらは麻薬を消費者へ届けるためのもので、法の目をかいくぐる仕組みが組まれています。
特にフェンタニルという強力な合成オピオイドは米国内で最も危険視されており、メキシコや米国の情報によると、フェンタニルは米国市民の「ミュール」(運び屋)が少量を身体に隠して運ぶケースが多いです。重要な密輸経路の一つがアリゾナ州ノガレスであり、ここでは乗用車やトラックなどを使って密輸が行われています。
このような密輸ネットワークの実態は、米麻薬取締局の情報に基づく図表やマップで視覚的に示されています。これにより、米国の当局がどのように対策を講じようとしても、密輸組織が経験と技術で先行していることが浮き彫りになります。特にトランプ政権下であった当時の戦略である麻薬運搬船の爆破などへの対策にも多くの困難があることが指摘されています。
まとめると、中南米から米国への麻薬密輸ネットワークは高度に組織化・多様化しており、米国の麻薬取締当局は長年の経験を持つ密輸業者とのいたちごっこを続けています。フェンタニルのような危険な薬物は特に多様なルートと方法で密輸されているのが現状です。
2025年11月03日 トランプ政権の軍事圧力を受け、ベネズエラがロシア・中国・イランに「SOS」
ベネズエラのマドゥロ大統領は、トランプ政権による軍事的圧力の激化を受け、ロシア・中国・イランに軍事支援を求めた。米国は9月から「麻薬取締作戦」を名目にカリブ海で艦船撃沈を含む軍事行動を展開しており、実際にはマドゥロ政権の打倒が狙いと見られている。
ロシアのザハロワ外務省報道官はこれに反発し、「米国の行為は国際法違反」と非難し、ベネズエラの主権を支持する声明を出した。マドゥロ大統領はプーチン大統領に防空レーダーやスホイ戦闘機の修理、ミサイル支援を要請。習近平国家主席にも書簡を送り、「ベネズエラへの攻撃は中国への攻撃に等しい」と訴え、軍事協力拡大を求めた。さらにイランへはドローン支援を依頼している。
現在、カリブ海には米軍の艦艇8隻、特殊作戦艦1隻、原子力潜水艦1隻が展開中で、来週にも空母1隻が追加される予定。ベネズエラは孤立を避けるため、米国と対立する諸国との連携強化で体制維持を図っている。
2025年11月03日 米「裏庭」戦争のしわ寄せ トランプ政権、中国対応に遅れも
概要と背景
- トランプ大統領は最近、日本と韓国を訪問し同盟関係を確認したが、その直後に「裏庭」とみなすカリブ海で麻薬組織を標的に軍事行動を開始。
- 米軍は10回以上の爆撃を実施し、さらにベネズエラのマドゥロ政権への地上攻撃の可能性も示唆している。
- 最新鋭空母「ジェラルド・フォード」までをカリブ海に移動させ、実質的に冷戦期以来最大の軍事展開となっている。
国際法と国内反応
- 米政府は違法薬物取り締まりが目的と説明するが、証拠が不明瞭で国際法上の疑義も浮上。
- CIAによる秘密作戦にも許可が出されており、軍事介入のエスカレーションが懸念されている。
同盟国への影響と懸念
- 米海軍の保有空母は11隻だが、同時展開可能なのは約3隻にすぎない。カリブ海での消耗はアジア防衛力を弱める可能性が高い。
- 中国はすでに370隻超の艦隊を持ち、隻数で米国を上回っている。
- 韓国ソウルでの非公開日韓対話でも、在韓米軍撤収や日本の核オプションの議論が持ち上がった。
政治的・戦略的評価
- トランプ大統領の「米本土ファースト」は通商のみならず軍事にも及び、モンロー主義を連想させるとの見方がある。
- ただし、体系的な「新モンロー主義」と言えるほどの戦略的一貫性は見られず、むしろ本人の政治的本能に従った行動が影響していると分析される。
米中関係への波及
- 米アメリカン・エンタープライズ研究所のクーパー氏によれば、トランプ政権は①勢力圏維持、②対中最優先、③米大陸回帰という3路線を同時進行しており、方針の不一致が米軍の関与を不安定化させている。
- 台湾防衛コストが増大する中、米国内に「リスクに見合うのか」という議論が生じており、オフショア・バランシング戦略(直接関与を避け抑止のみ行う政策)への傾斜が進む可能性が指摘されている。
結論
- カリブ海での「裏庭戦争」は、短期的には米本土防衛や麻薬対策を名目としたものだが、長期的には米国の対中抑止力低下とアジア安全保障の不安定化を招くおそれが大きい。
- トランプ政権の行動は、同盟国に「米国依存の危うさ」という戦略的教訓を突きつけている。
2025年10月21日 米、ベネズエラ大統領の追放もくろむ ルビオ氏が主導
アメリカの国務長官兼国家安全保障担当大統領補佐官のマルコ・ルビオ氏は、上院議員時代から10年以上にわたり、ベネズエラの独裁指導者ニコラス・マドゥロ大統領の追放を強く求めてきました。現在、ルビオ氏はトランプ大統領のもとで、マドゥロ政権に対する圧力キャンペーンの主導的な役割を果たしており、マドゥロ大統領の失脚を実現する好機を得ています。
トランプ政権は当初、ベネズエラからの違法薬物の流入阻止を名目に作戦を展開していましたが、現在はマドゥロ氏に対し、制裁や軍事力の行使もちらつかせるなど、多角的な圧力を強化しています。複数の関係者によると、ルビオ氏は積極的にこれらの政策の実行をリードしているとのことです。
さらに、トランプ政権はCIAにベネズエラでの秘密作戦実施を許可し、麻薬密輸船の攻撃や地上作戦の可能性も示しています。ベネズエラ政府側は亡命を含む権力移行案をカタールを通じて提示しましたが、米国はこれを却下しています。
このような中で、ベネズエラの野党指導者マリア・コリーナ・マチャド氏は2025年のノーベル平和賞を受賞し、米国にさらなる支援強化を求めています。マドゥロ政権の追放に向けた米国の圧力は今後も強まる見通しです。
2025年08月11日 米の懸賞金引き上げに反発―ベネズエラ 「政治的プロパガンダ」
アメリカ政府は2025年08月7日、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領に対する懸賞金を従来の2倍となる5,000万ドル(約74億円)に引き上げました。これはマドゥロ政権がコロンビアの反政府武装組織と協力し、米国向けの麻薬密輸を支援し、米社会の混乱・弱体化をもたらした「麻薬テロ」に関与したとの主張に基づくものです。米司法省は2020年にマドゥロ氏を麻薬テロ関与で刑事告発し、ニューヨーク連邦地裁で起訴しています。米司法長官ボンディ氏はSNSでマドゥロ氏を「麻薬密売の大物で安全保障上の脅威」と非難しました。
一方で、ベネズエラのヒル外相は、この懸賞金引き上げを「政治的プロパガンダでばかげている」と反発しています。
2024年04月23日 ベネズエラ国営石油、仮想通貨での決済拡大 米制裁再開で
ベネズエラ国営石油会社PDVSAは、米国による制裁再開に対応して、原油と燃料の輸出決済において暗号資産(仮想通貨)を増やす計画を進めています。特に、米ドルに連動したステーブルコイン「USDT(テザー)」への移行を加速させており、新規顧客にはデジタルウォレットにUSDTを保持するよう要請している状況です。これは、米財務省が制裁緩和措置として認めていた「一般ライセンス」の更新を停止し、5月31日までにこれに基づく取引を終了するよう求めたため、銀行口座凍結リスクを減らすための動きです。
ただし、USDTでの取引は多くの取引業者の法令順守部門が認めておらず、PDVSAと取引相手は仲介者を介して取引をせざるを得ないため、利益率の低下を招く可能性が指摘されています。米国の制裁対象者リストに基づき、テザー社自身も制裁対象者との取引を凍結するなど、制裁の影響は依然として大きい状況です。
この動きは、ベネズエラ政府が経済制裁に対抗し、石油輸出の資金回収や取引の継続を図るための戦略の一環とみられます。しかし、仮想通貨での決済導入には法的・運用面で難題も多く、完全な解決策とは言えない状況です。
2023年12月05日 ベネズエラの背後にロシア=ブラジル北部侵略の可能性も?!
ベネズエラで2023年12月3日に行われた国民投票では、隣国ガイアナのエセキボ地域の併合に関して、95%以上の賛成票が得られた。この地域はガイアナ国土の約70%を占め、石油資源や水資源が豊富である。投票の結果を受け、マドゥーロ大統領はエセキボ地域に新たな州を設立し、国営石油会社の子会社を設立するなどの戦略的行動計画を発表し併合の意思を示した。しかし、実際に領土としての実効支配を強める具体的な手順や国際的な承認は不透明である。
マドゥーロ政権はロシアと強い関係を築いており、ロシアからの武器供与や軍事支援を受けているとされる。これによりベネズエラは米国など西側諸国の経済制裁に対抗しつつ、エネルギー市場の安定化を狙った協力をロシアと進めている。ロシア外相のベネズエラ訪問やエネルギー協力の深化も報じられている。ジャーナリストのアレシャンドレ・ガルシア氏は、「ベネズエラの背後にはロシアがいる」と指摘し、北ブラジル領土への軍事的影響を懸念している。
国民投票の結果やロシアの後ろ盾を背景に、地域の緊張が高まっており、ガイアナ側は米国との防衛協力を進め、ブラジルも国境沿いの軍事態勢を強化している。ブラジル北部には小規模な防備隊しか置かれておらず、軍の増強措置もあるが、それだけでは十分ではないとの指摘もある。
また、ブラジル北部の電力インフラとエセキボ地域の水資源・水力発電の可能性も地域安全保障を左右する要素となっている。
・国民投票結果:95%以上賛成、エセキボ地域をベネズエラの州に組み込むことを問う
・マドゥーロ大統領は併合を宣言し、経済・軍事面での強化を示唆
・ロシアの軍事支援と経済協力が背景にあり、西側との対立軸に位置付け
・ガイアナは米国と連携し防衛強化、ブラジルも国境警備を強化中
・地域は石油や水資源が豊富で戦略的価値が極めて高い
この動きに対し、国際司法裁判所は紛争の現状維持を求めており、両国間の武力衝突を避けるための対話も進められているが、将来的な展開は依然として不透明な情勢にある。
2013年03月07日 原油埋蔵量世界1位、ベネズエラの今後 原油埋蔵地の開発は停滞
3月5日、ベネズエラのウゴ・チャベス大統領が癌(がん)のため58歳で亡くなった。原油大国ではあるが、住宅や食料、物資、電気が不足しており、国民は高いインフレ率と犯罪の横行に苦しんでいる。
チャベス氏が推し進めた孤立的な経済政策のため、広大な原油埋蔵地の開発は停滞しており、原油生産量は2001年以降25%減少している。昨年、北西部パラグアナ半島のアムアイ製油所で爆発事故が発生した際には、アメリカからのガソリン輸入に追い込まれた。
まもなく大統領選が行われるが、国民の選択に世界中が注目している。
