2025年11月07日 トランプ政権が敵視する「消費者保護の番人」、解体で深まる家計の危機
この問題の中心は、米国の金融消費者保護機関「消費者金融保護局（CFPB）」の権限縮小と機能停止にあります。CFPBは2008年のリーマンショックを受けて設立され、銀行の不当な手数料や金融商品を厳しく監視し、消費者の権利を守る役割を果たしてきました。
しかしトランプ政権下ではCFPBの権限が縮小され、例えばトヨタの金融子会社に対して違法行為が認められた際の消費者への返金命令が撤回されるなど、消費者救済の措置が取り消されるケースが増えました。この結果、消費者に支払われるはずだった数百億円規模の救済金が企業に残る事態となっています。
CFPB設立以来、1億9500万人の消費者に総額3.1兆円の救済金を支払い、7650億円の罰金を科す役割を果たしてきたことから、この機関の機能低下は家計のリスクを深めるものとされています。
以上の内容は、トランプ政権が消費者保護のための監督機関を敵視し、その解体が消費者の負担増加や経済的危機につながっていることを示しています。
2025年11月07日 米経済の「K字型」化に市場が警鐘 知っておくべきこと
米経済の「K字型」化とは、低所得層と高所得層の消費動向や経済回復に大きな差が生じ、二極化が進む現象です。最近の報告では、物価上昇やリセッションの懸念、労働市場の冷え込みなどにより、特に低所得層が苦境に立たされていると指摘されています。高所得層は消費を維持または増加させている一方、低・中所得層では経済的不安が根強く、支出を控える動きが続いています。
FRBのパウエル議長もこのK字型経済の二極化を示すデータに言及し、消費支出の増加は主に高所得層によって支えられている可能性を示唆しています。また、ファストフード大手マクドナルドのCEOは、低所得層の来店数が大きく減少し、高所得層の来店数は堅調であることからも二層経済の実態を表明しています。
低所得層は補助的栄養支援プログラム（フードスタンプ）などへの依存度が高く、これらの給付停止がこうした世帯に深刻な影響を与える可能性も懸念されています。このように、米国経済の回復が均等ではなく、所得層によって大きな格差が生じている状況が市場に警鐘を鳴らしています。
米経済の「K字型」化とは、[低所得層と高所得層の間で消費動向が二極化する現象]で、[米国の経済回復が平等でなく、所得層ごとに大きく分かれていること]を指します。これは[物価上昇]や[リセッションの可能性]、[労働市場の鈍化]、[政府閉鎖]などの状況のなかで、特に[低・中所得層が経済的不安に直面し、支出を抑制する一方、高所得層が消費を続けている]ためです。
FRBのジェローム・パウエル議長は[2025年10月末の記者会見で、K字型経済の二極化を示すデータがあることに言及]し、[レイオフや労働市場の鈍化がこの二極化を後押ししていると説明]しています。また、マクドナルドのCEOは[低所得層の顧客が大幅に減少する一方で、高所得層顧客は堅調に推移している]と述べ、企業の観点からも消費の二極化が鮮明であることを示しています。
この分断は[コロナ禍後の回復期にも見られ、低所得者はレイオフや労働時間減少の影響を受け、高所得者はテクノロジーや金融セクターで急成長していた]ことと類似しています。現在、[貧困世帯向けのフードスタンプの給付停止]が経済の下層層に深刻な影響を及ぼす懸念も指摘されています。
パウエル議長は、こうした二極化に加えて[AIや大規模インフラ投資が経済成長の主要因として存在するが、それが主に高所得層と大企業に恩恵をもたらしている]と述べ、K字型経済の構造的背景に触れています。
この状況は米国経済の不均衡を反映しており、今後の政策対応や社会的影響が注目されています。
2025年11月07日 年末商戦の消費額が1兆ドルを超える見込み、史上初 米国
米国の2025年年末商戦は、史上初めて消費額が1兆ドル（約153兆円）を突破する見込みです。これは前年比で3.7〜4.2％の増加となり、昨年の9760億ドル（約150兆円）からさらに拡大する予測です。消費者はインフレや価格上昇といった課題にもかかわらず、価格に敏感になりつつも積極的な消費行動を続けています。また、富裕層の消費が全体の消費を牽引しているとの見方もあります。とはいえ、小売業界では季節労働者の雇用水準が過去15年で最低となる可能性が指摘されています。これらの動向は、米国経済が「K字型回復」状態にあることや、消費層の二極化を反映しています。
世代別の支出傾向としては、若年層（特にZ世代）は支出削減傾向にあり、価格重視の購買行動が目立ちます。一方で、ミレニアル世代やそれ以上の世代が比較的安定した支出を維持しています。
このように、2025年の米国年末商戦は過去最高の消費額を見込む一方で、所得階層や世代による消費の二極化と価格感度の高さ、小売業界の人手不足という課題も浮き彫りになっています。
2025年の米国の年末商戦の消費額は、史上初めて1兆ドル（約153兆円）を突破する見込みです。全米小売業協会（NRF）の発表によると、2025年11月1日から12月31日までの年末商戦の消費額は前年比3.7～4.2％増加し、昨年の9760億ドル（約150兆円）からさらに拡大すると予測されています。消費者は経済の不透明感やインフレ、関税による価格上昇といった課題に直面しつつも、価格に非常に敏感になって慎重に価格を比較しながらも、全体的な消費行動は積極的です。特にブラックフライデーなどの年末セールを狙う消費者が増えています。
一方で、小売業者への圧力や経営費の上昇により、季節雇用の水準は過去15年間で最低水準となる見込みで、季節労働者の雇用数は26万5000～36万5000件と予想されています。これは過去10年間でも最低の規模です。
また、消費層の二極化も顕著で、富裕層が消費を牽引する一方で、低所得層は必需品に支出を絞り、圧力を感じている状況にあります。経済学者らは米国経済が「K字型回復」の局面にあると指摘しており、高所得層が経済にプラスの影響を与える一方、低所得層は苦境に立たされています。特に1990年半ばから2010年ごろに生まれたZ世代は支出を大きく減らす傾向にあり、他の世代との消費の二極化が進んでいます。
こうした中で、オンラインのホリデー支出は前年比5.3％増の約2534億ドルに達する見込みで、スマートフォンを利用したモバイル消費が56.1％を占めるなど、消費の形態にも変化が見られます。
まとめると、2025年の米国年末商戦は景気不透明感や物価上昇の中でも過去最高の消費額を記録し、消費者は価格に敏感になる中で賢く買い物をしていることが特徴です。一方で、人手不足や所得格差、世代間の消費格差という課題も浮上しています。
