「女性の社会進出が少子化の原因である」という主張は誤解

女性

 

データを見るとわかる

女性の社会進出が少子化の原因であるという主張は、データを見ると実は誤解であることがわかります。

かつては女性の労働参加率と出生率には負の相関関係があるように見えていました。1971年時点では、OECD加盟国のほとんどの国で女性の労働力参加率が高いほど合計特殊出生率が下がるという傾向が確かに存在していました。日本でも、1968年からのデータを見ると、25〜34歳の女性の就業率が右肩上がりである一方、合計特殊出生率は右肩下がりという状況があります。

しかし、この関係性は時代とともに変化しました。1985年頃から徐々に変化が現れ、2000年代になると、多くの先進国では女性の社会進出が進むほど出生率が上昇するという「正の相関」に転じています。北欧諸国やアメリカ、イギリスなどでは、女性が働くことがむしろ出生率にプラスに働くようになりました。

少子化の真の原因はむしろ以下のような複合的な要因にあります:

  • 男性の家庭進出の不足(日本人男性は世界トップクラスで家事育児をしないグループに属している)
  • 非婚化・晩婚化の進行
  • 労働環境の問題(長時間労働など)
  • 子育て支援体制の不足
  • デフレによる低賃金・非正規雇用の増加

実際のデータによれば、共働き家庭の方が子どもを多く産む傾向があります。つまり、女性が働くことそのものが少子化を促進するのではなく、仕事と家庭の両立が難しい社会環境こそが問題なのです。

この誤解は現在も根強く残っており、参政党の神谷宗幣代表は最近の参院選街頭演説で「女性の社会進出は良いことだけど、子どもを産めるのは若い女性しかない」と述べ、働く若い女性が増えたことで少子化が進んだとし「男女共同参画は間違えていた」と主張しました。しかし、家族社会学が専門の筒井淳也・立命館大教授は「少子化は世界的な流れだ」と指摘しています。

少子化対策として効果的なのは、女性の社会進出を抑制することではなく、むしろ「男性の家庭進出」を促し、誰もが仕事と家庭を両立できる社会環境を整えることです。女性の再チャレンジ支援や男女共同参画社会の実現は、少子化対策としても有効なのです。

 

 

「女性の社会進出で少子化が進んだ」の的外れ=町野幸

概要

  • 「女性の社会進出が進むと少子化が加速する」「専業主婦世帯の方が子どもが多い」――。こうした誤解が日本社会に今なお根強く広がっていますが、データはその逆を示しています。

主なポイント

  1. 共働き世帯の方が子どもが多い傾向
    2020年国勢調査の分析によると、共働き世帯(1,321万世帯)の方が妻が専業主婦の世帯(582万世帯)よりも、子どものいる割合が高い。
    子どもがいない世帯の割合:共働き 34%、専業主婦 39%。
    18歳未満の子が1人の世帯は専業主婦世帯で39%と、共働き世帯より高いが、2人以上の子どもがいる世帯割合は共働き世帯の方が高い。
  2. 「女性の社会進出で少子化」という誤解の広がりの背景
    こうした認識は「女性活躍を妨げたい」悪意というより、時代背景や無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)によるものと指摘。
    90年代に専業主婦世帯と共働き世帯の逆転が起きたが、中高年世代の価値観の押しつけが、若い世代の望む生き方への妨げ、未婚化・少子化の一因になっているとされる。
  3. 今の若年層の希望と現実
    国立社会保障・人口問題研究所の2021年調査では、18~34歳未婚者で「妻が専業主婦」を望む男性は6.8%、女性は13.8%と少ない。
    東京在住の若者(18~34歳)対象の2024年調査では「妻が専業主婦コース」希望は男女とも5%以下で、全国平均よりさらに低い。
    女性だけでなく男性も、共働きや多様なライフコースを望む傾向。
  4. 「女性は働きたくない」という決めつけの否定
    経済的理由だけでなく、社会参加や自己実現、スキルアップなど多様なモチベーションがある。
    「働くことと子育ては二者択一ではない」と指摘。

提言・まとめ

  1. 個人の選択を尊重すべき
    結婚や子育て、働き方はすべて個人の自由であり、「国のための少子化解消」に強いられるものではない。
    本気で少子化を解決したいなら、若い世代の「本音」を理解し政策化する必要がある。
  2. 選挙や政策に求められるもの
    若い女性の進学・就職より出産を優先させる主張があるが、「誰のための声なのか」を考えるべき。
    子育ても仕事も両立できる社会・政策を積極的に目指すべきという主張で終わっています。

参考:関連データ・意識調査

調査年・対象 「妻が専業主婦」希望男性 女性
2021年 全国調査 6.8% 13.8%
2024年 東京 4.7% 4.9%

このコラムは、「女性の社会進出が少子化を招く」という固定観念を裏付ける統計的根拠はなく、むしろ事実は逆であること、そして現代の若者世代の多様な価値観・選択を尊重する必要性を強調しています。

 

 

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