アメリカとイスラエルとの関係の方が重要だから
アラブ諸国はなぜパレスチナ(ガザ)を十分に助けないのか
- アラブ諸国はパレスチナ問題で表向きはイスラエルを非難し、パレスチナ国家樹立を支持しているが、実際の行動や支援は限定的であり、さまざまな事情が絡んでいる。
- サウジアラビアなど湾岸産油国は、アメリカとの関係や自国の利益を優先し、パレスチナ支援に消極的な面もある。
- エジプトやヨルダンなど隣接国は、すでに多くのパレスチナ難民を受け入れており、さらなる受け入れには消極的な事情がある。
アラブ諸国の表向きの姿勢と実態
- サウジアラビアをはじめとするアラブ諸国は、国際会議や公式声明でイスラエルのガザ攻撃を強く非難し、パレスチナ国家樹立を支持している。
- 2023年11月にはサウジアラビア主導でアラブ・イスラム諸国の首脳会議が開かれ、西側諸国の「ダブルスタンダード」を非難した。
しかし実際には…
- サウジアラビアやUAE、カタールなどの湾岸産油国は、アメリカとの経済・安全保障関係を重視し、イスラエルとの対立をエスカレートさせることを避けている。
- こうした国々は人道支援や資金援助(例:サウジアラビアがUNRWAに約60億円供与など)を行っているものの、軍事的・政治的な直接介入は控えている。
なぜ「立ち上がらない」のか?主な理由
1. アメリカとの関係と自国の利益
- サウジアラビアなどはアメリカが最大の石油取引相手であり、アメリカの意向を無視できない。
- アメリカは国連安保理でイスラエルを擁護し、アラブ諸国のイスラエル非難決議を拒否権で阻止してきた。
2. パレスチナ難民受け入れの限界と国内事情
- ヨルダンやレバノンはすでに多くのパレスチナ難民を受け入れており、これ以上の受け入れは社会的・経済的に困難。
- エジプトもガザからの難民流入を警戒し、国境検問所を厳しく管理している。
3. アラブ諸国間の温度差と分断
- 湾岸産油国と隣接諸国、さらにはイランなどシーア派諸国との間でパレスチナ問題へのスタンスに温度差がある。
- サウジアラビアは「アラブのリーダー」としての役割を演出したいが、実際は自国の安定と国益を最優先している。
アラブ諸国の支援の現状
- サウジアラビアはガザ支援のために多額の寄付や人道支援物資を提供しているが、イスラエルによる封鎖や国際的な物流制限で支援が十分に届かない現実がある。
- アラブ連盟はガザ復興計画を策定し、数十億ドル規模の復興支援を打ち出しているが、現地の安全保障や政治的障害が大きい。
結論
- アラブ諸国がパレスチナ・ガザの人々を十分に「助けない」と見える背景には、アメリカとの関係、自国の経済・安全保障、難民受け入れの限界、アラブ諸国内の分断など複雑な事情がある。表向きの非難や支援表明と、実際の行動にはギャップが存在する。
これまでにパレスチナ人を受け入れた国と人数
主要な受け入れ国と人数(2024年UNRWA統計)
国・地域 | 受け入れ人数(約) |
ヨルダン | 240万人 |
ガザ地区 | 159万人 |
ヨルダン川西岸 | 91万人 |
シリア | 59万人 |
レバノン | 49万人 |
合計:約597万人(2024年、UNRWA登録難民数)。
背景と詳細
- パレスチナ難民は、1948年のイスラエル建国と第一次中東戦争(ナクバ)以降、主に周辺のアラブ諸国に避難しました。
- ヨルダンは最大の受け入れ国で、約240万人が暮らしており、多くが市民権を得ています。
- レバノンやシリアでも多数が暮らしていますが、これらの国では市民権が得られず、難民キャンプで制限の多い生活を送っている場合が多いです。
- ガザ地区やヨルダン川西岸もパレスチナ難民の主要な居住地です。
その他の受け入れ国
- パレスチナ難民は主に上記の国々で生活していますが、他にも世界各地に分散している人々もいます。ただし、UNRWAの統計に含まれるのは主に中東の5地域(ヨルダン、レバノン、シリア、ガザ地区、ヨルダン川西岸)です。
まとめ
- パレスチナ難民は現在、主にヨルダン、レバノン、シリア、ガザ地区、ヨルダン川西岸の5地域で約597万人が暮らしています。
- ヨルダンが最大の受け入れ国です。
- これらの難民の多くは70年以上にわたり、帰還や安定した市民権の獲得を望みながら生活しています。
数万人
これまでにエジプトはパレスチナ人を何人くらい受け入れた?
エジプトがこれまでに受け入れたパレスチナ人の人数について、最新の報道や公的な統計によれば、エジプトには「すでに数万人のパレスチナ人が居住している」とされています。一方、隣国ヨルダンには数百万人規模のパレスチナ人がいるのに対し、エジプトの受け入れ規模は比較的小さいです。
また、ガザ地区からのパレスチナ人の大規模な流入については、過去にも何度か懸念が示されてきましたが、エジプト政府は国家安全保障上の理由からパレスチナ人の大量受け入れには消極的な立場を維持しています。最近のガザ危機でも、避難や一時的な通過を認めたケース(例:重傷者や外国籍保有者の退避)はありますが、恒久的な大量受け入れには至っていません。
要約すると、エジプトがこれまでに受け入れたパレスチナ人は「数万人規模」と推定されますが、ヨルダンなど他国と比べてその数はかなり限定的です。
本の特徴
- アラブ、ポーランド、ドイツを専門とする三人の対話を通じて、パレスチナ問題の本質や歴史的背景をわかりやすく解説しています。
- 世界史を「自分の生活に直結する歴史」として捉え、日本から遠く感じるパレスチナの問題を身近なものとして考えることを目指しています。
- 中学生を主な読者対象としていますが、「あらゆる人が戦争と自分を結びつけ、歴史に出会い直すために」書かれており、幅広い世代に向けた内容になっています。
内容の概要
- パレスチナ問題の歴史的経緯や現状、ガザ地区やヨルダン川西岸地区の状況、パレスチナ難民の実態などを、対話形式でやさしく解説しています。
- 「なぜパレスチナ問題が起きたのか」「パレスチナの人々はどんな暮らしをしているのか」「難民とは何か」といった疑問に答え、現代の世界情勢や日本とのつながりも考えさせる構成です。
こんな人におすすめ
- パレスチナ問題について基礎から知りたい中学生や高校生
- 世界のニュースや歴史に関心がある人
- 戦争や平和について自分ごととして考えたい人
まとめ
- パレスチナ問題を初めて学ぶ人にも理解しやすいよう、対話形式とやさしい言葉でまとめられた入門書です。パレスチナの歴史や現状を知ることで、世界の出来事と自分自身の生活がどのようにつながっているかを考えるきっかけを与えてくれる一冊です。