中国の宇宙ごみは全体の約40%を占め、特に多い状況だ
主な原因
- 2007年の対衛星兵器(ASAT)実験で気象衛星「風雲1C」を破壊し、直径10cm以上の破片約3000〜3400個が発生した。これにより高度800km以上の軌道に長期間残るデブリが増加した。 また、長征6Aロケットの上段爆発事故(2022〜2024年)で1277個の破片を生み、全体の2位規模となった。
最近の影響
- 2025年、中国の有人宇宙船「神舟20号」に微小デブリが衝突した疑いで帰還が延期され、宇宙飛行士の滞在記録が更新された。天宮宇宙ステーションのソーラーパネルも過去に被害を受けている。
全体状況
- 低軌道の中国由来デブリは1723個中4234個(40%)。総デブリ数は増加中で、ケスラーシンドロームのリスクが高まっている。 国際的な除去努力が進むが、宇宙条約の所有権規定が障害となっている。
宇宙望遠鏡に衝突するなど影響をもたらす宇宙ごみの増大、対処法を研究者らが発表
地球の低軌道上に存在する宇宙ごみ(デブリ)が急速に増加しており、ISSやハッブル宇宙望遠鏡などへの衝突リスクが深刻化している。2025年時点で直径10センチ以上のデブリは2万5000個以上、小さな破片を含めれば1億個を超え、総重量は1万トンを超える。
英サリー大学の研究者らは、宇宙ごみへの体系的な対処法をまとめた論文を発表した。基本理念は「リデュース・リユース・リサイクル」を宇宙にも適用することで、
- 打ち上げ機材を減らす、
- 軌道上で衛星を修理・再利用する、
- 回収不能な物体を再資源化する
といった方針を産業全体で共有することを提唱している。AIによる自動衝突回避システムや、宇宙ステーションのリサイクル工場化なども含まれる。
しかし、法的課題が大きい。宇宙条約によって「打ち上げた物体は永遠にその国の所有物」とされるため、他国がその破片を勝手に回収することは違法だ。したがって、実際にごみを除去するには各国の許可が必要となる。ただし、条約には「宇宙の汚染回避義務」もあり、各国が自国デブリの回収責任を負う可能性があると専門家は指摘する。
研究者らは、宇宙の持続可能性を進めるためには技術だけでなく、「資金」と「インセンティブ(経済的動機付け)」の整備が不可欠だと強調している。
地球近傍の宇宙空間を「共有環境」として捉え、国際協調のルール作りが今後の鍵になるという指摘がこの記事の核心です。
