小型株指数(ラッセル2000)の史上最高値更新がその兆候
2025年の米国株を振り返り。S&P500は2026年7,700へ。
岡元兵八郎の米国株マスターへの道
- あなたからのご要望を踏まえ、岡元兵八郎氏のマネックス証券のコラム「2025年の米国株を振り返り。S&P500は2026年7,700へ。」の内容を、専門家としての分析と説明をもって要約します。
🇺🇸 2026年米国株の見通しと戦略:専門家分析
- 岡元兵八郎氏のコラムに基づき、2025年の振り返りと2026年の米国株市場の見通し、および投資戦略について要点を抽出・整理しました。
🎯 2026年のS&P500予測と根拠
- 2026年末S&P500予想
7,700ポイント 2025年末の7,000ポイント水準から約10%の上昇を見込む。これは4年連続の上昇となるが、統計的に十分に起こりうる展開(過去に5回事例あり)。 - 主な牽引要因
堅調な企業業績の拡大 S&P500のEPSは2026年に13.8%増、2027年に14.4%増と、3年連続の二桁成長を予想。利益率の改善(2026年18.9%へ)が成長を支える。 - バリュエーション
PER 22倍(2027年トップダウン予想EPS349.8ドルに対して) 割安とは言えない水準だが、二桁成長の企業利益と政策金利の低下が継続する環境下では十分に正当化されると分析。 - 上振れリスク
7,700ポイントを超え、8,000ポイント台に乗せる可能性。 アナリスト予想を上回るファンダメンタルズ展開や、政策効果(OBBBA)の織り込み不足などが要因。
📈 2026年を支える構造的トレンドと政策効果
1. AI関連の設備投資サイクル
- 内容:
1990年代後半のドットコム期以来となる最大級の技術投資サイクルであり、AIが経済全体に構造的な追い風をもたらす。 - 影響:
企業の生産性向上、実質経済成長率の押し上げ、そして利益率の改善に繋がり、今後数年にわたり市場を継続的に支える構造的トレンドと判断。 - 投資姿勢:
AIテーマの中核であるエヌビディア[NVDA]など、構造的広がりを長期的に享受する銘柄の保有継続が妥当。AIブームはバブル領域には入っておらず、持続性が高い。
2. ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法案(OBBBA)
- 内容:
トランプ米大統領主導の法案で、2026年に本格影響開始。- R&D費用の即時償却 $\implies$ 課税所得圧縮・実効税率低下
- 国外由来控除適格所得(FDDEI)の拡大 $\implies$ 海外収益に対する控除拡大
- 影響:
企業の税引き後利益およびキャッシュフローを改善させる潜在的な上振れ要因。特に海外売上比率の高い「マグニフィセント・セブン(MAG7)」が恩恵を受ける見込み。
🏦 2025年12月の利下げと金融環境
- 利下げ予想:
2025年12月FOMCでの利下げを確実視。2026年もさらに2回の利下げを想定。 - 市場への影響:
利下げ継続環境では、これまで大型株主導だった相場から、より幅広い銘柄への資金循環が進む(裾野の広がり)。- 小型株指数(ラッセル2000)の史上最高値更新がその兆候。
- 均等比率のS&P500(イコールウエイト)、S&P600(中型株)、ラッセル2000連動型への投資がS&P500を上回るリターンとなる可能性を指摘。
- 歴史的パターン:
S&P500が52週高値圏(1%以内)にある中での利下げ開始は、歴史的にその後の1年間の市場リターンが最も良好になる局面(過去9回全てでプラスリターン、平均14.86%)。今回の利下げは景気急減速対応ではなく、予防的・正常化的な性格であり、強気相場と相性が良いタイプと分析。
⚠️ 2026年のリスクと投資家としての心構え
- 主なリスク要因
- 消費の減速
- インフレ再燃に伴う金利上昇
- 雇用指標の悪化による景気後退懸念
- トランプ関税の再燃による米中関係の緊張化
- AI関連銘柄の収益期待の調整
- 中間選挙に伴う政策不確実性の高まり
- 投資家としての心構え
- S&P500は年1回程度の10%超の調整(ドローダウン)は普通に経験するため、2026年も下落局面が生じる可能性を念頭に置くべき。
- 調整局面では焦って売却せず、長期投資家としての心の耐性を持つことが重要。調整は成長過程の正常なプロセスであり、ポートフォリオ戦略の価値を再確認する契機と捉える。
🌎 新興国株投資のススメ
- 理由:
- 今後数十年にわたり、新興国経済は先進国を上回るスピードで成長し続けるという構造的な成長格差。
- ドル安局面では新興国株が先進国株をアウトパフォームしやすいという歴史的パターン(2025年もドル指数下落に伴いMSCI新興国株価指数が突出したリターン $+28.2\%$)。
- バリュエーション面の魅力(2027年予想PERは11.7倍と割安度が増す見通し)。
- 戦略: 米国株の長期投資を軸としつつ、「長期的に成長する場所」として新興国株への分散投資をポートフォリオの一部に組み込むことが大切。
