ビットコイン生みの親は「スティーブ・ジョブズ」説が浮上
ビットコインの生みの親とされるサトシ・ナカモトの正体については、インターネット上で最も興味深い謎の1つとされている。2008年11月にビットコインのホワイトペーパーを発表した彼の活動は、2010年まで続いたとされるが、その後の消息は掴めていない。
そんな中、2018年以降に出荷されたすべてのアップルのMacの中に、ビットコインのホワイトペーパーが入っていることが判明し、彼の正体をめぐる荒唐無稽な憶測に火がついている。
ツイッターのフォロワー数が110万人の暗号資産投資家のラーク・デイビスは4月7日「ビットコインの創始者が、実はスティーブ・ジョブズだったと思うか?」と問いかける投票をツイッターで実施した。彼は、サトシ・ナカモトが消えたのが2010年の12月で、ジョブズの死去が翌年の10月だったことから「タイムライン的には合致する」と述べていた。
約1万2000票を集めたこの投票は、Yes(そうだったと思う)が28.3%、Noが37.9%で「ジョブズがサトシ・ナカモトだった」という見方が多数派ではないことが示された。しかし、一部のユーザーは、今もこの説を信じている模様だ。
今回の騒動は、ブロガーのアンディ・バイオ(Andy Baio)が、2018年のmacOS Mojave以降がインストールされたMacに「ビットコインのホワイトペーパーがデフォルトで入っている」とブログに投稿したことから始まった。
「世界中のあらゆる文書の中で、なぜビットコインのホワイトペーパーが選ばれたのか? アップルには秘密のビットコイン至上主義者がいるのだろうか」とバイオは問いかけた。
ジョブズの死後に、他のテクノロジー企業が暗号資産に前向きな姿勢を見せる中でも、アップルはビットコインと距離を置いていた。ジョブズといっしょに働いていたアップルの元App Storeの幹部のフィリップ・シューメーカーは暗号資産メディアDecryptに「彼らは暗号資産が詐欺だと考えていた」と語っている。
スティーブ・ジョブズの後継者であるティム・クックは、個人的にいくつかの暗号資産を所有していることを明かしたが、アップルがこの分野に参入することはないと述べていた。
一方、ジョブズとともにアップルを共同創業したスティーブ・ウォズニアックは、ビットコインを「純金の数学」と賞賛したが、誰がそれを作ったのかを知らないと述べていた。インタビューで彼は「ビットコインは、我々が知っている創造者すらいない」と話していた。
SBI北尾氏、ビットコインの考案者と議論
2017年10月28日
ビットコインの考案者であるサトシ・ナカモト氏
Satoshi Nakamoto 2ch / Twitter / Google / Youtube
発明したサトシ・ナカムラって誰なの?
日本人なの?
いまだに誰かわかっていないね
英語の書き込みの様子などから、どうも日本人ではない可能性のほうが高いように思う
正体をめぐる推測
- 一見すると日本人男性の名前のようであるが、偽名であると考えられてきた。
P2P財団(英語版)に掲載された略歴によれば、ナカモトとは(それがグループのペンネームなどではなく)個人の日系人男性であり、37歳であると主張している。ナカモトの使う英語は流暢なものであり、また彼のビットコインに関する論文には日本語が使われていないことから、日本人であるという主張には懐疑的な見方がなされている。- 彼のビットコインに関する最初のソフトウェアは共同作業によるものと推測されており、このためにサトシ・ナカモトとはあるグループが共有して使っている偽名であるという主張がある。
- ソースコード中のコメントやフォーラムへの投稿に時おり使用されるイギリス英語の綴りやイディオム(例えば”bloody hard”といった表現)の使い方がナカモト、もしくは少なくともナカモトであると主張するグループの一個人を推測させるヒントになるという見方もされ、その場合、イギリスに起源がある人物であると目された。
- スイスのプログラマーでコミュニティにおける活発なメンバーでもあるステファン・トーマスは、ナカモトがビットコインのフォーラムに投稿した時間帯をグラフ化した(その数は500件以上にものぼる)。その結果、グリニッジ標準時で午前5時から11時のあいだ、ほぼ投稿がないことが明らかとなった。土曜日や日曜日でもこのパターンは当てはまっており、つまりこの時間帯はナカモトの睡眠時間なのではないかと推測された。もしナカモトが個人であり普通の睡眠習慣の持ち主であるなら、彼が住んでいるのはUTC−05:00もしくはUTC−06:00の地域と推測される。これは北米の東部標準時や中部標準時、中央アメリカの西インド諸島や南米が当てはまる。
ナカモトの正体については様々な説が浮上した。ここでは有名なものを挙げる。
- 2011年、ジョシュア・デービス(英語版)は雑誌ザ・ニューヨーカーの記事の中で、ナカモトの正体について多くの可能性から、フィンランドの経済社会学者Vili Lehdonvirtaと、ダブリンのトリニティ・カレッジにて暗号理論を研究したアイルランドの学生Michael Clearに絞り込んだと主張した。両者ともにナカモトではないと強く主張している。
- 2011年10月、調査ジャーナリストのアダム・ペネンバーグ(英語版)はナカモトとはニール・キング、ウラジミール・オクスマン、そしてチャールズ・ブライのことであるとする間接証拠について言及。それには、2008年に彼らが出願した特許の出願書類が含まれていた。ペネンバーグが3人に接触した時、彼らは全員ナカモトであることを否定した。
- 2013年5月、テッド・ネルソンはナカモトが日本の数学者望月新一であるとした。後に、ジ・エイジ紙に望月がこれを否定したという記事が掲載された。
- ジェド・マケーレブはナカモトの正体ではないかと言われたことがある。マケーレブはファイル共有サービスOvernet(英語版)、eDonkey2000(英語版)の創始者であり、ビットコインの取引所マウントゴックス (Mt. Gox) の設立者でもある。かつてはビットコインを強力に支え、後に他のデジタル通貨・リップル (Ripple) を発展させるための会社リップル・ラボを共同設立した。
- テキサスのセキュリティー研究者であるダスティン・D・トランメルはナカモトであると推測されたが、公的に否定している。
- 2013年12月、ニック・サボー(英語版)は逆テキスト分析で関係があるとされた 。サボは非集中的な通貨システムに熱心で、「ビットゴールド」についての論文を出したこともある。これはビットコインの前身と考えられた。
- 2014年3月、ジャーナリストのリア・マグラース・グッドマン(英語版)は雑誌ニューズウィークの記事において、アメリカ合衆国カリフォルニア州のテンプルシティ(英語版)に住み、出生名がサトシ・ナカモトであった、現在64歳のドリアン・プレンティス・サトシ・ナカモトこそが話題のサトシ・ナカモトであると述べた。しかし、ドリアン・ナカモトはこれを否定。ニューズウィーク誌は間違って引用したとし、彼がかつて関わっていた国家機密の技術系の仕事について「私はもはや関係ないので議論できない」と語った部分を誤用しているとした。また同日、ナカモトがP2P財団に自身のアカウントで3年ぶりのメッセージを投稿したが、「私はドリアン・ナカモトではない」と述べている。
- 2016年5月2日に、オーストラリアの起業家クレイグ・スティーブン・ライト(英語版)が自らがサトシ・ナカモトであると報道機関に対し名乗り出た。その証拠として、本物のサトシ・ナカモトしか知り得ないはずの暗号キーを使って電子署名をしてみせたが、まだ本物とするには疑問も残っていると報じられている。