世界の薬物使用者は3億3100万人に達し、世界人口の16人に1人が薬物を使用している

麻薬

国連報告:世界で16人に1人が薬物を使用、過去最高を記録

  • Record 1 In 16 People Worldwide Now Use Drugs, UN Report Says

2026年6月に発表された国連の報告書によると、世界の薬物使用者は3億3100万人に達し、世界人口の16人に1人が薬物を使用している状況です。これは人類史上最高の水準であり、大麻の普及に加えてコカインの生産量急増や、規制を逃れるための新しい合成薬物の登場が深刻な問題となっています。

世界の薬物使用の現状

国連薬物犯罪事務所が発表した2026年版の世界薬物報告書によると、2024年の世界の薬物使用者数は10年前と比べて34パーセント増加しました。

薬物の種類別の使用者数は以下の通りです。

  • 大麻:2億5600万人
  • オピオイド:6300万人
  • アンフェタミン:3200万人
  • コカイン:2500万人
  • エクスタシー:2100万人

特にコカインの市場は記録的なレベルに達しており、2014年から2024年の10年間で世界全体の生産量は370パーセント以上も急増しています。

治療の格差と健康への影響

薬物使用による障害を抱えている人は世界に約6300万人いますが、治療を受けられているのは12人に1人に過ぎません。

男女間で治療の機会に格差があり、男性は9人に1人が治療を受けているのに対し、女性は23人に1人にとどまっています。

また、注射による薬物使用者1400万人のうち、約700万人がC型肝炎、170万人がHIVに感染しており、150万人はその両方に感染しています。

北米におけるオピオイド危機の変化

アメリカとカナダでは、今世紀最初の20年間にオピオイド危機によって100万人近くが死亡しました。

2024年のデータではフェンタニルによる死亡者が減少傾向にあり、危機のピークは過ぎたとみられています。アメリカ疾病予防管理センターの報告でも、2023年から2024年の間に合成オピオイドによる過剰摂取死亡率が35.6パーセント減少しました。

一方で、フェンタニルより強力な合成オピオイドであるニタゼンによる死亡が新たに報告されています。密造業者が規制を回避するために新しい合成薬物を次々と作り出していることが警告されています。

アメリカの対策と今後の課題

アメリカ政府は国家薬物統制戦略を発表し、薬物の需要をなくすための取り組みを進めています。依存症の治療や回復への支援を、違法薬物を入手するよりも容易にすることを目指しています。

しかし、今後の予算案において薬物乱用防止やメンタルヘルス関連の予算が削減されたことに対する懸念の声も上がっています。

その一方で、法執行機関による国境での薬物押収量は前年比で大幅に増加しており、密輸の取り締まり自体は強化されています。

 

 

もともと薬物依存体質の人が一定の割合で存在する

医学や脳科学の研究において、遺伝的な要因や脳の仕組みの違いにより、生まれつき薬物などの物質に依存しやすい特性(脆弱性)を持つ人が一定の割合で存在することが分かっています。

遺伝と脳の仕組みによる依存への影響

薬物依存のなりやすさには、個人の意志の強さだけでなく、体質的な要素が大きく関係しています。

  • 遺伝的要因:
    双子を対象とした研究などから、依存症になりやすさの40〜60パーセントは遺伝的な要因が占めていると推測されています。特定の遺伝子が直接依存症を引き起こすわけではありませんが、複数の遺伝子の組み合わせがリスクを高めることが分かっています。
  • 報酬系の感受性:
    人間の脳には、心地よさや達成感を感じる「報酬系」という神経ネットワークがあります。生まれつきこの報酬系の働きが弱い、またはドーパミンという快楽物質の受容体が少ない人は、日常の出来事で満足感を得にくく、薬物などの強い刺激に対して過剰に反応して依存しやすい傾向があります。

環境要因との相互作用

依存しやすい体質(遺伝的脆弱性)を持っているからといって、必ずしも全員が依存症になるわけではありません。

体質的なリスクに加えて、幼少期のトラウマ、慢性的なストレス、周囲に薬物が存在する環境などの「環境要因」が重なることで、依存症を発症する確率が大きく高まります。

このように、現代の医学では、依存症は個人の道徳的な問題ではなく、先天的な体質と後天的な環境が複雑に影響し合って脳の機能が変化する「脳の病気」であると捉えられています。

 

 

「人類史上最高の水準」なのは所得が増えたという一面がある?

薬物の使用が人類史上最高の水準に達している背景には、世界的な経済発展にともなう所得の増加や、新興国における中間層の拡大という側面が確実に存在します。購買力が上がったことで薬物を入手しやすくなった層がいる一方で、密造技術の進化によって安価な薬物が大量に出回っていることも、使用者が増え続けている大きな要因です。

所得の増加と中間層の拡大

国連の分析などでも指摘されている通り、特にアジアやアフリカなどの新興国において経済発展が進み、新しく生まれた富裕層や中間層の間で薬物の需要が高まっているという側面があります。

所得が増えたことで、これまで高価で手が出せなかったコカインなどの薬物を購入する余裕(購買力)が生まれたことが、市場拡大の一因となっています。

一部の地域では、特定の薬物を摂取することが一種のステータスや富の象徴として扱われるケースもあり、経済的な豊かさが皮肉にも薬物の普及を後押ししている状況が見られます。

安価な合成薬物の台頭というもう一つの側面

所得が増えた層が高級な薬物を消費する一方で、全体の使用者数を爆発的に押し上げているのは、非常に安価に作られる合成薬物の存在です。

フェンタニルやメタンフェタミンなどの合成薬物は、従来の植物由来の薬物(アヘンやコカインなど)に比べて広大な農地を必要とせず、化学物質から短期間で大量に製造できます。

これにより製造コストが劇的に下がり、所得がそれほど高くない層や若者であっても、簡単に入手できるほど価格が低下したことが、史上最高の水準に至ったもう一つの要因です。

経済的格差と社会的な孤立

所得の増加という光の面がある一方で、経済的な格差の広がりや貧困、社会的な孤立といった影の面も薬物使用を加速させています。

生活の困窮や将来への不安、慢性的なストレスから逃れるために薬物に依存してしまう層も世界中に一定数存在しており、豊かになった層と、社会的に取り残された層の双方で異なる動機による薬物汚染が進んでいます。

 

 

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