「全部プーチンの投票箱」「投票者数を勝手に水増し」などロシアの不正選挙の実態を選挙管理人が解説
ロシアの選挙における不正の実態は、選挙管理人のヴァディム・マカロフ氏の証言によって明らかにされています。彼は量子エンジニアを本職としながらモスクワで選挙管理人も務め、2024年の大統領選など複数の選挙に関わってきました。
主要な不正の手口としては以下のものがあります。
- 投票用紙の改ざんや大量の不正投票の投入
ある投票所では自宅での投票を申請した人がせいぜい10人程度のところ、7時間で810票もの投票用紙を投票箱に入れた担当者がいました。その投票箱の中身はすべてプーチン大統領への投票で、筆跡も同一でした。 - 投票者数の水増し
選挙管理人がカウントした人数は273人だったのに対し、選挙管理委員会は750人と発表し、管理人の文書閲覧を拒否した例もあります。 - セキュリティバッグの偽装・改ざん
投票用紙を保管するセキュリティバッグに施されたセキュリティテープは、誰かが開封したかどうかを示す重要な封印。しかし製造工場で複製されたテープやバッグを使い、不正な投票用紙を混入させた後に元の封印のように見せかけ偽装していました。袋ごとすり替えられた例も確認されています。 - 統計的に明らかに異常な得票傾向
2024年のロシア大統領選挙では、投票率が高い投票所ほどプーチン大統領への得票率が異常に高くなる不自然な傾向が統計的に示されており、不正の兆候とされています。
これらの不正は法律的に加害者が完全に免責されており、選挙管理委員会に苦情を提出しても却下される状況にあるため、根絶が極めて困難な状態です。地方レベルにも政治的権利の劣化が深刻に及んでいることが示されています。
この証言や状況は独立系選挙監視団体などからも疑念が持たれており、国際的にもロシアの選挙の自由と公正性は強く疑問視されています。これにより、ロシアの選挙は実質的に民主的な選挙とは言えないと指摘されています。
アメリカ大統領選とロシア疑惑 新たな政府文書が明かすハッキング事件の裏側
2016年米国大統領選とロシア疑惑
- 新たに明らかとなったハッキング事件の裏側
概要
- 2016年米国大統領選挙を巡る「ロシア介入疑惑」について、2025年7月18日に公開された政府文書により、当時のFBI(連邦捜査局)とNSA(国家安全保障局)がロシアによる民主党全国委員会(DNC)へのハッキング疑惑に関して「低い確信」しか持っていなかった事実が明らかになった。
情報機関の分裂した評価
- 2016年9月12日のIC共同評価報告書
米国主要情報機関(IC)の評価書には、「FBIとNSAはDNCへのハッキングがロシアによるものという見解に低い確信しか持っていない」と記載されている。
ロシアの影響工作のパターンには合致しているものの、公開された情報をロシア政府と結びつける十分な技術的証拠が不足しているとされる。 - 民間サイバー企業Crowdstrikeの役割
FBIは2016年8月下旬、DNCが雇ったCrowdstrikeからハッキング報告を受けていたが、この報告は公開されていない。当時Crowdstrike社長は「DNCシステムからファイルが盗まれた証拠はない」と議会で証言している。
政権声明と公式発表
- 2016年10月7日:オバマ政権の対ロシア非難
FBIとNSAの懐疑的立場が残る中、米国政府は「ロシアがDNCをハッキングし、米国選挙に影響を与えようとした」と公式声明を発表した。
この時点でFBIはまだDNCサーバーの実データを入手しておらず、詳細な分析も進行中だった。
その後の展開
- 情報機関内の一致はなかった
2016年12月時点でもIC内ではDNCメール流出の犯人像で合意は得られておらず、FBIは評価書への署名を拒否するなど異議を継続していた。 - 証拠の技術的限界
12月29日の政府レポートでは、ハッキングに使われたIPアドレス等のデータ公開もあったが、それらがロシア活動員特定の決定打とはならなかった。
サイバーセキュリティ専門家によれば、「IPアドレスの多くは匿名通信ネットワーク『Tor』経由で、実行者特定にはならず、マルウェアも汎用的なものでロシアとの直接的関連は示されない」と指摘されている。
主要な政治的影響
- ミューラー特別検察官の捜査結果
「ロシアがトランプ候補と共謀した証拠はない」と結論付けられた。 - クロスファイア・ハリケーン捜査の問題点
FBIが当初根拠としていたスティール報告書は、のちの監察官調査等で「裏付けが取れなかった」とされている。
結論
- 2016年大統領選のロシア介入疑惑は、米情報機関内でも評価が分かれ、「断定的な証拠」は十分ではなかったとする新たな政府文書が公表された。
- 公的な非難声明や対ロシア制裁は出されたものの、証拠の技術的裏付けや情報機関の合意は終始不十分だったことが改めて示された。
ヒラリー氏、「残念だったわね」と皮肉 NATO拡大でプーチン氏に
ヒラリー・クリントン氏の発言とNATO拡大
概要
- 2023年9月26日、ヒラリー・クリントン元米国務長官は米国務省で行われた公式肖像画の除幕式に出席し、ロシアのプーチン大統領に対して「残念だったわね、ウラジーミル」と皮肉を込めて発言した。発言の背景にはウクライナ侵攻を受けた北大西洋条約機構(NATO)の拡大がある。
発言の主旨
- クリントン氏は、ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻して以来、フィンランドのNATO加盟、スウェーデンの加盟申請といったNATO拡大の動きを「プーチン氏自身が招いた結果」だと指摘し、皮肉を述べた。
- クリントン氏は「NATO加盟は強制ではなく、自ら望んで選択するものである」と強調し、NATOの拡大がプーチン政権の行動によるものだと論評した。
NATO拡大とプーチン政権の対応
- プーチン大統領は、ウクライナのNATO加盟志向を侵攻の主要な理由として挙げていた。
- しかし、ロシアによるウクライナ侵攻以降、西側諸国はウクライナ支援を強化し、フィンランドがNATOに加盟、スウェーデンも手続きを進めるなど、NATOの拡大が加速した。
米政権・外交に対するコメント
- クリントン氏は前トランプ政権の国際協調軽視を非難し、「同盟国や友人たちとの多くの橋を焼き払った」と指摘した。
- 一方で、現ブリンケン国務長官やバイデン政権による外交関係の立て直しについては肯定的に評価した。
補足情報
- クリントン氏による「皮肉」は、NATOの拡大を批判してきたロシアとプーチン大統領の姿勢を逆説的に強調するものであり、侵攻がむしろロシアの懸念と逆の結果をもたらしたことへの指摘でもある。
プーチンはヒラリー・クリントンが怖くて歴史を変えるような真似をした
プーチンがヒラリー・クリントンを最も恐れた理由
背景
- 2016年のアメリカ大統領選挙でロシアのプーチン大統領が介入し、ドナルド・トランプ候補に有利となる工作を行ったとされている背景には、ヒラリー・クリントン元国務長官への強い警戒感と怨念があったと、ナンシー・ペロシ元下院議長が証言している。
クリントンへの怨念と警戒
- プーチン政権は、クリントン氏がオバマ政権下で国務長官だった際、ロシアの2011年下院選挙について「自由でも公正でもなかった」と公然と批判したことを強く記憶していた。
- 2011年の選挙後にロシア国内で発生した大規模デモについて、プーチンはそれをクリントン氏やアメリカ国務省の介入によるものとみなしていた。
- このため、クリントン氏はプーチン体制にとって「民主主義を浸透させる脅威」と位置付けられていた。
ロシアの2016年米大統領選介入の動機
- アメリカ情報機関の調査で、ロシアは組織的に民主党やクリントン陣営へのサイバー攻撃、情報流出、評判を損なうキャンペーン等を行っていたことが判明している。
- FBIのジェイムズ・コミー長官(当時)も、「プーチン大統領はクリントン氏を激しく嫌い、選挙で打撃を与えるために動いた」と証言している。
評価と影響
- ペロシ氏は、「もしプーチンの介入がなければ、アメリカの歴史は今とは違っていただろう」と述べている。
- 2016年の選挙結果が変われば、アメリカだけではなく国際秩序にも影響を及ぼした可能性があるという指摘がなされている。
まとめ:なぜ歴史を変える行動に出たのか
- プーチンにとってヒラリー・クリントンは、最も恐れるべき存在だった
- その背景には、クリントンの強固な対ロシア姿勢と、ロシア国内への民主化運動への圧力があった
- このため、プーチンはトランプ勝利に向けて選挙介入という「歴史を変えるような行動」に出た
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