自動野菜工場。


2016年11月17日 「植物工場」岐路 設備・光熱費が圧迫 赤字経営 4割超に

次世代型農業“切り札”のはずが・・・

次世代型農業の象徴として、企業などから注目が集まる「植物工場」の4割以上が赤字に陥っている。設備や光熱費といったコスト高の影響で採算が見込めないことが一因だ。12月末に工場の閉鎖を決めた東芝(東京都港区)をはじめ、大手企業の撤退も相次ぐ。担い手不足解消の切り札として政府は企業の農業参入を促そうと設置を支援するが、実態はどうなのか。国内最大規模の植物工場の今を見た。

効率化で再生 先行「みらい」採算割れ譲渡

2015年6月、国内最大規模の植物工場を運営する「(株)みらい」が民事再生法の適用を申請した。負債総額は約11億円。同社は、千葉大学や企業との共同研究などを経て04年に創業。完全人工光による野菜生産と販売の他、植物工場の設計・販売を事業化した。11年にはリーフレタスなど葉物野菜を日量3000株(1株70グラム)出荷、経営は軌道に乗り、マスコミに紹介されるなど先駆的な存在となった。

だが14年、大型の植物工場を2カ所新設したことで状況は一変。稼働から4カ月で日量2万株の生産を実現したものの、経営は“火の車”だった。当初は2工場を従業員40人程度で運営する計画だったが、収穫や出荷、梱包(こんぽう)などに追われ、30人以上が深夜まで作業を続けることもあった。
しかも肝心な売り先を確保できず、収穫物の6割を廃棄する事態も発生。値下げを余儀なくされ、設備や光熱費、人件費がかさみ、赤字はどんどん膨れ上がっていった。

結果、「みらい」は破綻。農業資材メーカーのマサル工業(株)(東京都豊島区)に事業譲渡され、15年11月に「MIRAI(株)」として再スタートを切った。

作業工程の管理や人材育成、不具合の対処など、同社のノウハウを導入、抜本的な改革を進め、販売戦略も一新。栽培する野菜を14品種から5品種に絞り込み、出荷先の9割を業務需要に特化。スーパーや業務向けなど、出荷形態が多過ぎて効率が上がらなかった課題の解消を目指す。

運営部の関庄八部長は「野菜生産といっても、やはり工場。作業性やコスト管理の徹底など改善を重ねて収益を出したい」と展望する。現在は外食や食品加工などの業者から連日、引き合いがあるという。室田達男社長は「植物工場へのバイヤーの視線が変わってきた。露地ものを補完する需要はある」と手応えをつかむ。

参入増も撤退続々

MIRAIのように事業譲渡によって経営が持ち直した事例はそう多くないのが実態だ。

日本施設園芸協会の調査によると、植物工場は15年3月時点で「人工光利用型」「太陽光・人工光併用型」「太陽光利用型」で計400カ所を超え年々増えているが、関係者によると「近年は参入と同じぐらい撤退がある」との声は多い。

15年度調査では、回答した事業者の42%が赤字で、収支均衡は33%、黒字は25%にとどまった。

植物工場システムの開発と普及に取り組むNPO法人植物工場研究会の古在豊樹理事長は、「種まきの仕方も知らず、売り先も決めないまま参入する事業者もいる」とし、安易な参入に警鐘を鳴らす。黒字化の鍵を握るのは「栽培技術はもとより、販路の確立や生産性向上だ」と指摘する。

ログ速

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2ch / Twitter / Google / Youtube / gunbird / gnews 植物工場

2016年11月06日 東芝、野菜をそだてる「植物工場」閉鎖―事業化から2年で


東芝は2014年に事業を始めた「植物工場」を閉鎖すると発表した。レタスなどの野菜の生産、販売も終了する。
東芝の植物工場は、神奈川県横須賀市の建屋を生かし、雑菌の侵入を制限した「クリーンルーム」で野菜づくりに取り組んだ。雑菌による傷みが少ないため、無農薬でも長期保存ができるのが特徴だった。
工場のクリーンルームは、集積回路(IC)をはじめわずかなチリやホコリが命取りとなるような電子部品などを製造するために利用することが多かった。しかし国内では生産計画の変更などで使わなくなった「遊休施設」も増えている。
2014年には遊休施設の新たな使い道を探る試みとして、植物工場が次々と登場したが、残念ながら東芝は「選択と集中」の観点から、2016年12月末で閉鎖を決めた。
ただ東芝では、植物工場で獲得した、野菜栽培向けの照明技術、温度・湿度制御技術、遠隔監視システムの運用経験は役に立てたいと考えている。外部の植物工場向け機器やシステムの販売などは続けていくそう。

2016年02月20日 日本から世界初のロボットが農業を行う「自動野菜工場」が誕生へ

高齢化社会の日本で農業の労働力不足を補うアプローチとして、人間の代わりにロボットが農作業を行って野菜を育てる工場が、京都府亀岡に登場する予定です。

野菜工場 はじめまして

2015年08月19日 急成長のわな 植物工場で生育不良、資金が枯れる

景気回復が少しずつ進むといわれる中、企業の設備投資は回復基調にある。しかし、投資にはしっかりしたビジネスプランが必要で、行き過ぎた設備投資は企業の業績を悪化させる。このところ、久々に過剰投資型の経営破綻が目立ってきた。産学連携ベンチャーとして注目されながら、本格的稼動から短期間で破綻した植物工場運営会社、みらい(東京・中央)が陥ったわなを検証する。

■大型投資から1年後の破綻

2014年6月、千葉県柏市にみらいの「柏の葉第2グリーンルーム(GR)」が本格稼動したとき、多くの関係者はわずか1年後の破綻を予想していなかっただろう。

大手デベロッパーが総額6億円を投資して植物工場を設置。みらいが設備の賃貸借契約を結び、レタスやハーブなどを生産する計画だった。工場はレタス日産1万株を収穫する能力を持ち、国内最大級。出荷などはみらいのほか、デベロッパーやJAグループが出資するみらいトレーディングが行い、全国の小売店などに納入する形だった。

工場の技術は会長である嶋村茂治氏が研究・開発。嶋村氏は千葉大学大学院自然科学科出身のベンチャー経営者だ。農林水産省、経済産業省の「植物工場の事例集」に紹介されるなど、業界では知られた存在だった。

2004年に資本金わずか10万円で設立。その後、銀行、生保、ベンチャーキャピタルなどの出資を集め、資本金は最終的に約3億5000万円、総資産は16億円を超える規模となった。政府による農業の6次産業化政策、東日本大震災の復興支援、不動産事業の多角化、金融緩和など、様々な思惑があったとみられる。みらいは一気に拡大路線を走り、出資や金融機関からの借入金はあっという間に9億円を超えた。

急速な事業拡大のひずみはバランスシートに現れていた。支払いの安全性を示す流動比率は75.3%で、危険ラインの100%を大きく割っていた。支払い能力を示す買入債務回転期間は6.9カ月、有利子負債月商倍率は9.8倍など、財務面だけで言えば、「枯れた野菜」並みの実態だった。

柏の葉第2GR の本格稼働から1カ月後の14年7月。みらいは続いて宮城県多賀城市にLED照明を使った世界最大規模の植物工場「多賀城グリーンルーム(GR)」を稼動させた。4年前に稼動させた千葉大学環境健康フィールド科学センター内の「柏の葉第1グリーンルーム」(千葉県柏市)と合わせ、日産2万3000株の生産体制ができあがった。

しかし、一連の大型投資の綻びは生産が計画通り進まない点から生じた。

植物工場は光熱費などのランニングコストが大きく、ちょっとした計画変更が大きなコスト増につながる。しかも、植物の人工栽培では光の当て方や波長など、きめ細かなノウハウが必要とされ、簡単ではない。新設した2施設のうち、計画にずれが生じたのは蛍光灯による栽培の柏の葉第2GRだった。試作段階では問題なかったが、本格的に稼働し始めると、当初1株70グラム程度の大きさに育ったレタスが2毛作、3毛作を繰り返すうちにサイズが小さくなり、生産計画が下方修正となった。

一方、LED栽培の多賀城GRは工場単体で何とか採算ラインに乗った。このため、柏の葉第2GRのLED化を検討したが、2億円の追加投資が必要で実現できなかった。技術開発に「想定外」はつきものだとしても、自然の野菜が対象である以上、その可能性は工業品に比べれば高いはずだ。事業化が「見切り発車といわれても仕方がない」(ある債権者)との声が出ている。

収穫した野菜の販路開拓が不十分だったことも重なり、2015年3月期は売上高8億1100万円に対して、6億3500万円の経常損失となった。脆弱な財務基盤に大きな赤字が重なったことで、6月29日付で東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約10億9200万円。

みらいは再生に向けてスポンサー候補として8社と交渉中とみられる。柏の葉第2GRでは課題が出たものの、保持する技術に対する評価は高く「資金面での手当てがつけば、再建は十分可能」とある関係者は話す。特に、既に実績のあるロシア、モンゴル、中東などへのプラント輸出は需要が見込めるという。

植物工場では温度、湿度、光量などのバランスが重要とされている。みらいはそうした技術面の課題はクリアするために奮闘していた半面、企業経営におけるバランスに課題があったことが今回の破綻につながったといえるだろう。

2015年10月19日 独ボッシュ、18年に農業ロボット発売-試作機「ボニロボ」、育種・雑草除去を自動化

独ボッシュは2018年をめどに農業用ロボットを発売する。このための研究開発段階のロボットとして「ボニロボ(Bonirob)=写真」を開発、公開した。農地を自動で走行し、育種作業を自動化できる。18年に向けて、一般の農家でも使えるよう改良し安価にする。

ボニロボは画像センサーとレーダーによりセンチメートル単位の精度で位置を特定。衛星ナビゲーションシステムと併せて農地を自動走行する。アーム部分を取り換えることもできる。画像センサーで植物の品種を判別して育種作業を効率化できるほか、農薬の散布や雑草の除去など複雑な作業が可能になる。

現段階では研究機関向けという位置づけで、価格は25万ユーロ(約3400万円)。今後は6万ユーロ(約820万円)程度にコストダウンし、一般の農家向けにも販売する。ボッシュは、社内の技術を事業化するために「ロバート・ボッシュ・スタートアップ」と名付けた企業を14年に設立した。農業ロボットはその1事業として位置づけており、将来の人口増加に向けた対応策として実用化を急いでいる。

Bonirob 2ch / Yahoo / Google / Youtube

2015年07月29日 倒産続出、75%が赤字、植物工場でビジネスは無理?放射能汚染地や昭和基地が適地?

植物工場は、都市の限られた空間で効率良く野菜生産ができるという意味で、究極の都市農業なのかもしれない。しかし、高コストに加え、栽培方法が確立されず、普通の野菜との差別化も曖昧という三重苦に悩んでいる。今年1月の「起きるべくして起きた」、また6月末の「起きるはずがないのに起きた」2つの倒産劇から、植物工場の悩める姿が見えてくる。我々は、野菜の未来を植物工場に託すことができるのだろうか。

「起きるべくして起きた」倒産

1月初旬、東日本大震災の復興のシンボルと期待された、宮城県仙台市の被災農家3人による植物工場経営の「さんいちファーム」(2011年11月設立)が、約1億3200万円の負債を抱えて倒産した。同ファームでは、植物工場建設などの資金である約3億5000万円のうち、約7割が補助金(2億5200万円=国1億6800円+県8400万円)だった。しかし、農家3人には、通常の畑での野菜栽培の知識・経験はあっても、植物工場で行う水耕栽培のそれはない。同ファームは施設や設備などのハード面は豪華で、特に水耕栽培装置は根の水温を調整するだけの最新型だった。しかし、メーカーからの技術指導は不十分であり、経営に必要なソフト面が伴っていなかった。その結果、安定した温度調節ができずに発育不良障害が多発し、取引先の注文に応じきれず、赤字が累積して再建を断念したという。これは、大きい花火を打ち上げて復興への希望を燃え上がらせただけの「補助金蕩尽型の瞬間芸」である。現場に植物工場経営に関するノウハウが皆無で、「起きるべくして起きた倒産」の典型例といっていいだろう。

「起きるはずがないのに起きた」倒産

一方、以下の倒産については「まさか」と受け止めた業界関係者も多かったのではないだろうか。6月末、第三次植物工場ブームを牽引するトップ集団の農業ベンチャー・みらいが東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請して倒産した。帝国データバンクによれば、負債額は約10億9200万円だという。同社は04年、植物工場・水耕栽培装置の研究開発と、植物工場での野菜生産・販売を目的に設立された。創業者の嶋村茂治元社長は千葉大学大学院で蔬菜園芸学を専攻し、大手企業との共同開発などを経て、大学発ベンチャーとしてみらいを設立した。設立後、水耕栽培装置を全国の10都道府県12カ所に導入し、07年には南極の昭和基地に栽培技術システムを提供した。13年にはモンゴルに現地法人を設立して植物工場を稼働させるなど、実績を積みながら話題性も提供し、業界の広告塔的役割を果たしてきた。

その間の09年、農林水産省と経済産業省の共同プロジェクト「農商工連携研究会植物工場ワーキンググループ」が立ち上げられた。これを機に、千葉大学を拠点に9つのコンソーシアム(企業連合)が形成され、植物工場の第三次ブーム勃発のきっかけとなった。その際、同社はその中のひとつである「低コスト未来型人工光利用植物工場」コンソーシアムのリーダーになり、当時の麻生太郎首相が同社を視察に訪れたこともある。昨年6月、みらいの2つの植物工場が本格的に稼働した。ひとつは、経産省の補助事業として建設され、先のさんいちファーム同様に東日本大震災の復興のシンボルとなった、宮城県多賀城市の「みやぎ復興パーク」内のものだ。全面的にLED照明採用の植物工場としては世界最大規模で、日産1万株のレタスが収穫可能だ。もうひとつが、千葉大学の植物工場部門の拠点である環境健康フィールド科学センター近くに建設された「柏の葉第2グリーンルーム」だ。こちらも、レタスなど日産1万株を誇る。

みらいは、この2つの工場の稼働で足場を築き、産官学の期待を背に、未来の都市農業に向かって大きく羽ばたこうとしていた。しかし、その矢先の倒産劇である。帝国データバンクによると、同社は業容拡大を見越して前述のように14年中に2工場を増設したが、野菜の生産が当初の予定通りに安定せず、売り上げが想定を下回り、大幅な営業赤字を計上した。そして、設備投資資金などの返済期限が迫り、6月末の決済資金のめどが立たずに倒産した。順風満帆のはずの同社に、何が起きたのだろうか。残念ながら、詳細は不明だが、あらためて同社の会社概要を見ると実に興味深い。例えば、以下のような文言が並んでいる。

「弊社代表の嶋村茂治は、日本を代表する植物工場の研究者」

「世界最先端の科学技術によって、進化し続ける株式会社みらい」

「みらいの植物工場は、構造、機能、栽培システム、栽培ソフト、衛生管理、これらの技術をすべて自社開発しました」

「植物の生育に必要な温度・光・水・養分などの環境を、最適に制御して栽培することを可能にした施設です」

それならば、「野菜の生産が当初の予定通りに安定しなかった」という事態は起こり得なかったはずだが……。もちろん、情報が少ない中で速断はできない。しかし、さんいちファームのような幼稚園児クラスも、みらいのようなベテランの大学教授クラスも失敗してしまうのが、植物工場ということだろう。

赤字が普通で、撤退や倒産も珍しくない植物工場ビジネス

実は、植物工場の撤退や倒産は珍しいことではない。複数のレポートによると、参入企業のうち60~70%が高コストなどによる赤字であり、撤退や倒産がしばしば起きているという。例えば、オムロン(01年撤退)やユニクロ(04年撤退)、エコファーム・マルシェ(10年解散)、田園倶楽部奥出雲(11年倒産)、シーシーエス(12年撤退)などが挙げられる。「週刊エコノミスト」(毎日(悔日)新聞出版)での筆者の取材に対し、植物工場の動向に詳しい千葉大学の古在豊樹名誉教授(NPO法人植物工場研究会理事長)は、以下のように語っている。「現在、植物工場に参入している企業は200社弱で、うち黒字が確実なのは15%で、黒字化しつつある(単年度では黒字だが、工場建設の減価償却はまだ)のが10%。残りの75%は赤字です」

植物工場の3つの課題

さまざまな情報を整理すると、植物工場の経営を難しくしている要因のひとつが、コストの高さだ。農水省と経産省の報告書では、植物工場と施設生産(ビニールハウスでのホウレンソウなどの養液栽培。養液栽培は土壌ではなく、養分を溶かした養液で栽培する。水耕栽培と同じ)の10アール当たりのコストを比較している。それによると、設置コストは施設生産の1800万円に対し、植物工場は約17倍の3億1000万円だ。運営コスト(光熱費)は施設生産の40万円に対し、植物工場は約47倍の1860万円となっている。これだけコスト差があると、いくら植物工場をうまく稼働させて、高品質の野菜を効率的かつ安定的に大量生産したとしても、採算を取り続けるのは難しい。単価の高い果物や花などならまだしも、野菜は単価が安いからだ。だからこそ、植物工場は補助金頼みになる。第三次ブームが起きた09年以降、農水省と経産省だけで約500億円の補助金が出されているという。

第二の課題が、植物工場における野菜などの栽培方法と、植物工場の管理・経営ノウハウが確立されていない点だ。植物工場は光や温度、養液などをコントロールして光合成を促し、効率的かつ安定的に野菜を成長させるが、植物は生き物だ。工業製品のように、すべてを施設や設備任せにはできない。日々観察し、微調整を行い、対応する必要がある。そのため、植物の生理などに関する基礎的および体系的な知識が欠かせないが、それらが不足している。

第三の課題が、野菜のマーケティングと販路の拡大だ。種まきから収穫までの生産工程管理をきちんとコントロールできれば、栄養成分や形・大きさ・重さなど、野菜の品質・規格を一定にすることが可能だ。加えて、土壌や空気を介した雑菌汚染が少ないため無農薬栽培が可能で、傷みや品質低下が軽減されるので、「収穫後の日持ちが良い」「水で洗わずに食べられる」といった付加価値がつく。消費者からは、それなりの支持も得られそうだ。経産省の消費者調査には、以下のような内容がある。「植物工場野菜をすでに購入・利用している理由」として、「安心・安全(農薬・害虫の心配がない)」がトップ(29%)で、次いで「規格・品質が安定している(味・色・形など)」(17%)、「新鮮」(15%)などが続く。

植物工場の未来は、特殊用途にこそあり?

しかし、円安で食品の値上げが続く中、野菜の購入や選択における消費者の目は厳しくなっている。植物工場産の野菜は割高なため、一般の野菜との価格競争は厳しくなるばかりだ。そういった価格競争に巻き込まれることなく、存在感をアピールできるような植物工場産野菜は、どれだけあるのだろうか。実に心もとないといわざるを得ない。これらの事情を鑑みると、植物工場の野菜ビジネスには、根本的に無理があるのではないかと思う。では、逆に植物工場にとって無理のない分野はなんだろうか。倒産したみらいが行っていた事業に、その答えがある。前述した、昭和基地とモンゴルだ。この2つの場所には、農業不適地という共通点がある。農業不適地での野菜栽培というのは、いわば特殊用途だ。そして、スーパーマーケットなどへの流通という一般用途ではなく、そういった特殊用途にこそ、植物工場野菜の本領が発揮されるのではないだろうか。特殊用途といえば、砂漠や高地、被災地、放射能汚染地、巡視船など公的な大型船舶、宇宙空間、そして野菜や植物の生理研究用の特殊実験などがある。このような公共的要素の強い特殊用途ならば、植物工場は存在価値がある。たとえ高コストで、それを補助金でカバーするかたちであっても、国民の理解を得られるのではないだろうか。植物工場の未来は、そこにあるような気がしてならない。