トランプ氏の移民送還、備え急ぐ「ドリーマー」
トランプ氏の移民政策の強化
- ドナルド・トランプ氏は、2025年の大統領選挙を経て移民規制の強化を公約し、就任初日から大統領令による厳格な取り締まりを進める方針を示しています。米移民税関捜査局(ICE)は、トランプ氏の就任から100日間で6万5,000人以上の外国人を強制送還したと発表しており、これは過去最多の水準です。また、強制退去を最終的に命じられた移民は140万人に上るとされ、今後も大規模な送還が続く見通しです。
「ドリーマー」への影響
- 「ドリーマー」とは、子どもの頃に親に連れられて米国に入国し、不法滞在となった若者たちを指します。オバマ政権下で導入されたDACA(Deferred Action for Childhood Arrivals)制度によって、彼らは強制送還を猶予され、就労や通学が認められてきました。しかし、トランプ政権はこのDACA制度の撤廃を進めており、約80万人の「ドリーマー」が影響を受ける可能性があります。
- DACA撤廃後、「ドリーマー」たちは滞在資格を失い、強制送還のリスクに直面しています。米国内では、民主・共和両党の一部議員が「ドリーマー」保護法案の早期成立を訴えていますが、議会での合意には至っていません。
学生や若者の対応と不安
- トランプ氏の政策強化を受け、留学生や「ドリーマー」たちは自身の権利について学び直し、必要があれば潜伏計画を立てるなど、身を守るための行動を始めています。また、強制送還となった場合に備え、ほとんど記憶にない母国の親戚と連絡を取るケースも増えています。米大学も学生に対し、「渡航やビザ手続きに影響を及ぼす大統領令」が出る可能性を警告し、トラブル回避のために早めの帰国や慎重な行動を呼びかけています。
今後の見通し
- トランプ氏は一方で、米国の大学を卒業した外国人に永住権を与える案も示唆していますが、対象は「最もスキルを持つ卒業生」に限られるとされており、「ドリーマー」や一般の留学生が広く救済される保証はありません。
- 現状、トランプ氏の移民政策強化により、「ドリーマー」を含む多くの若い移民や留学生が国外退去のリスクにさらされ、将来への不安を強めています。
米国の中国人留学生、一時帰国巡る不安広がる
中国当局と米大学の警告
- 中国当局は、米国の大学に留学している中国人学生に対し、休暇中の一時帰国を再考するよう促しています。これは、米国のビザ政策が厳格化するとの懸念が高まっているためです。
- 複数の米国大学も、同様に「休暇中の帰国を控え、トランプ次期大統領の就任式前には米国に戻っておくべき」と学生に警告しています。
- 在シカゴ中国総領事館も「不要な国境をまたぐ移動は控えるよう努めるべき」と公式サイトで呼びかけました。
背景:ビザ政策の厳格化とその影響
- トランプ政権の復帰を前に、米国は中国共産党と関係のある中国人留学生や、重要分野(特に理工系)を専攻する学生のビザを積極的に取り消す方針を発表しています。
- これにより、約28万人の中国人留学生に影響が及ぶ可能性があり、学生たちはビザの規制強化や再入国の困難を懸念しています。
- 過去のトランプ政権下でも、中国人学生のビザ取り消しや入国拒否が相次ぎ、特にSTEM分野の学生が標的となっていました。
中国人留学生の対応と不安
- 多くの中国人学生は、休暇中の一時帰国を見合わせたり、帰国後の米国再入国に備えて渡航計画を前倒ししたりしています。
- 一部の学生は、ビザ規制がさらに厳しくなった場合に備え、ヨーロッパへの進学や就職など代替案も検討しています。
- 米国の大学側も、学生に対し移民当局の電子機器チェックやSNS利用に注意するよう指導しており、警戒感が高まっています。
まとめ
- 米中関係の緊張と米国の移民政策の強化を背景に、米国の中国人留学生の間で「一時帰国後に米国に戻れなくなるのでは」という不安が急速に広がっています。中国当局と米大学の双方が「不要な帰国を控えるよう」呼びかけており、学生たちは将来の進路や滞在計画の見直しを迫られています。