「日露戦争の死者の大半が森鴎外のせい」という主張については、正確とは言えません。
まず日露戦争の日本側の死者は約8万5千人~8万8千人とされています。このうち脚気(ビタミンB1欠乏症)による死者は2万7千~2万8千人にのぼり、戦死者の中でかなり高い割合を占めていました。脚気は「白米中心の食事」が主因とされ、実際、海軍は高木兼寛の麦飯導入で脚気死者ゼロに抑えましたが、陸軍は脚気の原因を細菌説ととらえ続け、対応が遅れました。
森鴎外(森林太郎)は陸軍軍医であり、脚気の原因について高木兼寛の「栄養欠乏説」に反対し「細菌説」を支持しました。このため彼の姿勢が結果的に多くの兵士を脚気で失わせた責任として批判されることがあり、「2万8000人は森鴎外のせい」と言われることもあります。
しかし実際には
- 森鴎外は日露戦争当時、軍医総監(陸軍軍医トップ)ではなかったため、最終的な食糧政策決定の当事者ではありません。
- 陸軍内には他にも細菌説を主張する上層部(例:石黒忠悳)や、組織的な意思決定体制がありました。
- 森鴎外の誤った見解や抵抗が犠牲拡大に寄与した事実は否定できませんが、原因を彼一人に帰することは専門的にも公平とは言えません。
日露戦争の死者の大半が森鴎外「個人のせい」という俗説は、事実を単純化しすぎています。脚気問題の責任は陸軍医療全体と、その意思決定構造にありますが、森鴎外への批判が目立つのは有名人ゆえの「有名税」である、という指摘も複数の資料でみられます。
- 著者が食道がんとの闘病中、「余命3カ月」と宣告された中で渾身の力を込めて書き上げた最後の書き下ろし作品です。この本は、大学に合格した息子に宛てた実際の手紙を基に、お金・仕事・人生・幸せについて、自身の体験と深い洞察をもとにまとめられています。
主な内容・特徴:
- 「お金」とどう向き合い、効率よく稼ぎ、正しく増やし、気持ち良く使うかという基本姿勢が語られています。
- 「仕事」「転職」「自分の市場価値」「リスクとサンクコスト」といったキャリア選択の本質的なアドバイスが具体的に書かれています。
- 金融機関やマーケティング、怪しい投資話にだまされないための辛口でユーモラスな警告も多数盛り込まれています。
- 必ずしも親の期待通りに生きる必要はなく、「自分のやりたいことをやる」「元気で生きてくれるだけで十分」という親としての率直なメッセージが描かれています。
幸福についての考察:
- 幸せは「自分が承認されているという感覚」でほぼ決まる、という著者の結論が語られます。
- 「モテない男は幸せそうに見えない」といったユニークな持論も展開されており、幸福を感じるための実践的なアドバイスも散りばめられています。
- 自分の嬉しいことを言語化することや、居場所(コミュニティ)を複数もつことの重要性も強調されています。
読みどころ:
- 単なる経済本ではなく、「明るい人生のマニュアル」として全世代に向けて書かれており、実際に役立つ知恵と温かいまなざしが詰まっています。
- 実際の手紙の原文も収録されており、山崎元の実直な人生観・幸福観が詰まった一冊です。
この本は、山崎氏自身の経験に裏打ちされた「人生をより自由に、気分良く生きるため」の具体的かつ本質的なアドバイスが、息子だけでなく、これから社会に出る若者、そして多くの大人にとっても一読の価値がある内容になっています。
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