中国共産党は技術の進歩を遂げる一方で、国際的な特許ルールを無視し、特許料の支払いを回避している

中国共産党が特許料の支払いを拒否=米元駐中国大使

記事の要点まとめ

中国共産党による特許料支払い回避の問題

  • 元駐中国米大使ゲイリー・フェイ・ロック氏は、中国共産党(中共)が技術進歩を推進する一方で、西側諸国の先進技術に対する特許料(特に標準必須特許:SEP)の支払いを様々な手段で回避していると指摘した。
  • 中共は自国企業が支払うSEPライセンス料率を一方的に引き下げ、国際的な秩序を混乱させている。2023年には中国の裁判所がノキア(Nokia)の特許ライセンス料率を61%以上削減する判決を出し、これに対しEUは世界貿易機関(WTO)に提訴した。
  • このような中国の姿勢により、中国企業は特許ライセンス料をほとんど支払わず、法的な挑戦を待つだけの状況に陥っている。特に中国の自動車産業で顕著であり、5Gなどの標準化特許技術のライセンス料は1台あたり約30ドルと、ガソリン1タンクよりも安価だが、中国メーカーはさらに割引を求めている。

国際社会への影響と警鐘

  • ロック氏は、こうした特許料支払い回避が短期的には中国企業にコスト面での不公平な優位をもたらすものの、国際規範に反する行為が他国による中国車両の輸入阻止の理由となり、長期的には中国企業が利益の大きい新市場を失うことになると警告している。
  • また、中国が国際社会でより多くの尊重を得たいのであれば、国際規範を無視する「貧しい発展途上国」のような振る舞いを改めるべきだと強調した。

比喩的な説明

  • ロック氏は、中国の行動を「高給で高能力のウォール街の銀行家たちが、レストランの料金が高すぎると集団で決め、食事を終えた後に代金を払わずに立ち去り、誰かが行動を起こすのを待っているようなもの」と例えている。

まとめ

  • 中国共産党は技術の進歩を遂げる一方で、国際的な特許ルールを無視し、特許料の支払いを回避する姿勢を強めている。これは中国企業に短期的な利益をもたらすが、国際社会との摩擦や市場喪失など長期的なリスクを伴うと、元駐中国米大使ロック氏は警鐘を鳴らしている。

もしロシアがウクライナに勝ったら
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概要

  • ドイツ連邦軍大学国際政治学教授で軍事・安全保障の専門家カルロ・マサラによる書籍です。2025年6月17日に早川書房から日本語版が緊急刊行されます。本書は、ウクライナ戦争でロシアが勝利した場合に世界がどう変化するかを、シナリオ思考を用いてリアルにシミュレートしたものです。

主なシナリオと内容

  • 2025年にロシアとウクライナが停戦合意に至るものの、2028年にロシアがバルト三国(エストニアの都市ナルヴァとヒーウマー島)への侵攻を開始し、NATOの集団的自衛権が問われる事態が発生します。
  • ロシアの勝利がヨーロッパだけでなく、アメリカや中国にも波及し、アメリカはアジア重視へと舵を切り、中国は南沙諸島への侵攻を開始するなど、世界的な安全保障環境の激変が描かれています。
  • インドや中国の支援を受けてロシアがハイテク兵器を開発するシナリオも盛り込まれており、各国の思惑が複雑に絡み合います。

日本への示唆

  • 南クリル諸島(北方四島)をめぐる問題や、中国による尖閣諸島への動きなど、アジアでも「パンドラの箱」が開く可能性が示唆されており、日本にとっても対岸の火事ではないと強調されています。
  • 地政学の専門家・奥山真司氏による解説も収録予定で、日本への影響についても論じられています。

著者について

  • カルロ・マサラは1968年生まれの政治学者・軍事専門家で、ドイツ連邦軍大学教授。NATO防衛大学校やドイツ連邦安全保障政策アカデミーの科学諮問委員会のメンバーも務め、ロシアのウクライナ侵攻に関する専門家としても知られています。