欧米のマダニ対策 欧米では野生獣をどのように管理しているか。日本との比較

寄生虫

 

市町村レベルでの対応が異なる日本。科学的に調整するヨーロッパ

欧米では野生獣をどのように管理しているか。日本との比較

欧米と日本の野生獣管理には制度や運用面でいくつかの違いがあります。

まず、日本では「鳥獣保護管理法」(2014年改正により成立)が基盤で、野生鳥獣の保護と管理を地方自治体に権限委譲しつつ、狩猟と被害防止の許可捕獲による個体数管理を行っています。市町村レベルでの対応が異なるため、境界を越えた野生獣の扱いに地域差が出ているのが課題です。狩猟による捕獲は総捕獲数の約3割にとどまり、残りは許可捕獲(被害対策等)が多いという特徴もあります。

一方、欧米、特にヨーロッパやアメリカでは、個体数管理がさらに体系的に行われています。ヨーロッパでは狩猟区域(猟区)制度があり、管理ユニットごとに捕獲割り当てを設けて科学的に調整し、被害補償制度も発達しています。国立公園や国有林では公務員ハンターが狩猟担当し、私有地はボランティアやリクレーションハンターが管理に関わる体制が一般的です。アメリカでは連邦政府が渡り鳥類や絶滅危惧種を管理し、州政府が狩猟鳥獣の管理および狩猟制度の運営を行う二層構造で、土地所有者や管理者による有害鳥獣捕獲・個体数調整も重視されています。

両者の比較ポイントは以下の通りです:

項 目 日     本 欧米(米国・ヨーロッパ)
法制度 鳥獣保護管理法
(都道府県・市町村へ権限委譲)
狩猟区域や管理ユニット設定、
捕獲割当制
個体数管理方法 許可捕獲と狩猟
(狩猟は捕獲の3割程度)
捕獲割当・猟区制度に基づく科学的管理
管理主体 主に自治体、
市町村レベル
連邦政府・州政府、
公務員ハンター、
ボランティア狩猟者
被害対策 市町村の判断により対応が異なる 被害補償制度が発達、
農家・土地所有者による自己防衛も促進
対象区域 自由に狩猟禁止区域や
制限区域の設定有り
国立公園・国有林は公務員が管理、
私有地は住民・狩猟者が管理

日本は狩猟免許制度と許可捕獲に大きく依存し、地域や自治体ごとの管理にばらつきがあるのに対し、欧米はより科学的に管理区画ごとで捕獲数を割り当て、個体数の過剰乱獲防止と被害軽減の両立を図っている点が特徴的です。また欧米では動物福祉や環境保護の意識も高く、野生動物管理とともに倫理的配慮が強調されています。

以上の点から、欧米の野生獣管理は法制度の明確な分担と科学的管理、被害補償や自治体間調整の制度化が進んでいる一方で、日本は自治体間の対応差や管理手法の分散化が課題といえます。

 

 

欧米のマダニ対策

主に以下の方法が推奨されています。

  1. 服装の工夫:
    肌の露出を極力避け、長袖・長ズボンを着用し、ズボンの裾は靴下や長靴に入れる。明るい色の服装がマダニの発見を容易にするため推奨されます。
  2. 虫よけ剤の使用:
    DEETなどの忌避剤(虫よけスプレー)を衣服や露出部に使用し、効果が持続するようこまめに塗り直す。虫よけは日焼け止めの後に塗るのが効果的。
  3. マダニの物理的除去:
    庭や生活空間を清潔に保つために掃除機の使用や防ダニスプレーを駆使し、特殊な布団カバーを使うこともあります。
  4. 定期的な体のチェックと入浴:
    野外活動後はシャワーや入浴でマダニが付着していないか確認し、早期発見・除去を心掛けます。
  5. ワクチン接種:
    特にヨーロッパではダニ媒介性脳炎(TBE)の予防にワクチン接種が一般的で、オーストリアなどではワクチン導入後に症例数が大幅に減少しています。
  6. ペットの予防:
    犬や猫にはマダニ駆除薬を定期的に投与し、ペットからのマダニ感染を防ぐ対策も行われています。

これらの対策を組み合わせることで、欧米ではマダニによる感染症リスクを効果的に低減しています。特にワクチンの利用は欧州での大きな特徴であり、マダニ媒介性脳炎の予防に貢献しています。日本でも虫よけ剤の使用や服装での対策が推奨されていますが、欧米ほどワクチン普及は進んでいません。

 

 

それでもなぜ、トランプは支持されるのか―アメリカ地殻変動の思想史
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ドナルド・トランプ現象を単なるポピュリズムや異端政治として批判するのではなく、アメリカ社会の深層にある構造的な問題と歴史的な保守思想の地殻変動として捉え、トランプ支持の根源を探る著作です。

本書によれば、トランプが支持される理由の核心は、彼がアメリカ社会の「病状」であり、「病因」ではない点にあると指摘します。つまり、トランプという破壊的で異例の政治家の登場は、アメリカに存在する経済的格差や社会不平等、白人労働者層の没落や不満などの社会的病理の「結果」であり、それらの構造的問題が解決されない限り彼のような政治現象は繰り返されるだろうという視点です。

また、トランプの支持基盤は従来の共和党(東海岸の資本家層を中心としたWASP支配の保守政党)とは異なり、産業構造の変化で打撃を受けた白人労働者の中間層を中心とし、移民排斥や「アメリカ第一主義」を掲げるポピュリズムが支持を集めています。トランプは政治的正しさや多文化主義に対する強い反発を内包し、彼を「アメリカの亡霊」として、繰り返し戻ってくる「怒りと怨嗟のゴジラ」のような存在だと比喩的に捉えています。

本書はアメリカの地殻変動という言葉を使い、内戦の可能性や国際秩序の変化(日米安保のあり方など)とも関連づけてトランプ現象を分析し、単なる一過性の政治現象ではなく、アメリカの歴史的・社会的文脈に根ざした現象として読み解いています。

要点まとめ:

  • トランプ支持は社会構造の病理(経済格差・白人労働者の没落)の「結果」。
  • 従来の共和党支持層とは異なる中間層の白人労働者を代表する政治現象。
  • ポリティカル・コレクトネスへの反発、移民排斥、アメリカ第一主義を掲げたポピュリズム。
  • トランプは繰り返し出現する「亡霊」として社会の怒りを象徴。
  • アメリカの地殻変動という歴史的政治変動の一側面として理解すべき。

このように会田弘継は、トランプ現象を深く歴史的・思想的に読み解くことで、なぜアメリカで彼のような破壊的存在が支持されるのか、その背景と理由を提示しています。

 

 

 

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