ベラルーシ選手、競売にメダル出品 同じ境遇の選手支援
東京五輪陸上女子のベラルーシ代表で、政権による弾圧を恐れて隣国ポーランドに亡命したクリスツィナ・ツィマノウスカヤ選手(24)が8日、2019年のヨーロッパ競技大会で獲得した銀メダルを、米国のネットオークション「eBay(イーベイ)」に出品した。収益は、自身と同じように政治の圧力を受けているスポーツ選手の支援に充てるという。
9日、自身のインスタグラムで明らかにした。同日は、大規模な反政権デモのきっかけとなった昨夏のベラルーシ大統領選からちょうど1年。ツィマノウスカヤ選手は、「(昨年)8月9日以降、多くの選手が苦しんできた。だから、私にとってとても大切なメダルを、自分の立場や意見が原因で苦しむ選手を支えるために出品すると決めた」と表明した。
イーベイのサイトによると、入札は5千ドルからスタートし、日本時間の9日午後9時時点で2万ドルを超えている。オークションは18日まで。
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ベラルーシ選手から深夜のSOS 駐日ポーランド大使が明かした舞台裏
東京五輪陸上女子ベラルーシ代表のクリスツィナ・ツィマノウスカヤ選手が、政権の弾圧を恐れて日本から隣国のポーランドに逃れた。出国直前に警察に助けを求めてからわずか3日の脱出劇。選手を一時保護したパベウ・ミレフスキ駐日ポーランド大使が8日までに朝日新聞の取材に応じ、その経緯を明かした。
ツィマノウスカヤ選手は専門外の女子1600メートルリレー予選のメンバーに不本意に入れられたとして、コーチ陣をSNSで批判。帰国を強制され、1日に羽田空港での搭乗手続き後、警察に保護された。一連の問題の背景には、「欧州最後の独裁者」と呼ばれるベラルーシのルカシェンコ大統領によるアスリートへの圧力があるとして、国際的な批判が起きている。
ミレフスキ大使によると、1日深夜、ツィマノウスカヤ選手からポーランド大使館の領事に電話が入った。「私を助けてくれませんか」と求める声に、すぐに領事は人道ビザの発給と、亡命を受け入れる準備があると伝えた。
2日朝、ミレフスキ大使は日本の外務省などと連絡を取りつつ、午後にツィマノウスカヤ選手が大使館に来られるよう調整。午後5時に警察の車両で大使館に到着した。
「彼女は自身が置かれた状況に怖がり、やつれきっていた」。玄関で出迎えた大使はこう振り返る。ツィマノウスカヤ選手は、前夜は一睡もできず、食事もとれなかったのだという。
「ここでは誰もあなたを傷つけない。いつでも人道ビザを出すから安心してほしい」と伝えると、すぐに笑顔を見せ、感謝の言葉を口にしたという。
翌朝、コーチ陣を批判した理由を尋ねた。ツィマノウスカヤ選手はまっすぐ大使を見つめて答えた。
「たとえ政府からの指示であっても、私は短距離以上の距離を走る訓練はしていないので走れない。アスリートとして自分の尊厳を守りたいだけだった」
ツィマノウスカヤ選手は4日朝、成田空港を出発。オーストリア経由でポーランドへと渡り、同じくベラルーシを逃れた夫と合流した。
人道ビザ発給、1年で15万件超
大使によると、昨年8月の大統領選後、ポーランドがベラルーシ人に発給した人道ビザは15万件を超える。不正疑惑をめぐってベラルーシで反政府デモが始まり、政府が激しく弾圧したためだ。多くのベラルーシ人がいることが、選手がポーランドを亡命先に選ぶ一因になった。
ミレフスキ大使はツィマノウスカヤ選手について、「純粋に競技に打ち込むアスリートで、自分の意思を示せる勇敢な人物。彼女を助けることができて、外交官として幸いだった」と語った。また、「日本の外務省や警察の協力がなければ選手の身を守ることはできなかった」と日本政府の対応にも感謝を示した。(笠原真)
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亡命のベラルーシ選手、空港の警察官に翻訳アプリで助けを求めていた
ポーランドへ亡命した東京五輪の陸上女子ベラルーシ代表のクリスツィナ・ツィマノウスカヤ選手(24)が、空港で助けを求めた際に使ったのは、スマホの翻訳アプリだった。
CNNなどによると、ツィマノウスカヤ選手は、代表チームのコーチ陣の不手際を批判する内容をインスタグラムに投稿。その内容がベラルーシメディアに取り上げられた8月1日に、代表団はツィマノウスカヤ選手の精神状態などを理由に、選手の意に反して急きょ、競技日程を切り上げて帰国させようとしたという。
ANNによると、ツィマノウスカヤ選手は同日、ベラルーシ代表団の関係者らに付き添われて行った羽田空港で、帰国便への搭乗を拒否。
Wi-Fiをつなぎ「強制的に出国させられる」と助けを求める文章を翻訳アプリで日本語に翻訳し、空港内にいた警察官に見せた。居合わせた東京五輪の大会スタッフも手伝ったという。
同行した代表団関係者から、「なぜ(警察官に)話しかけた」と問われたツィマノウスカヤ選手は、「選手村で荷物を失った」と答えたが、「うそだ」と言われたという。
ツィマノウスカヤ選手は、祖国に戻れば強権体制を続けるルカシェンコ政権の弾圧に遭うと訴えた。
その後、ベラルーシの隣国ポーランドが亡命を受け入れて人道ビザを発給。
8月4日に成田空港から出国し、同日ポーランドのワルシャワに到着した。
ロイター通信によると、5日にワルシャワで会見したツィマノウスカヤ選手は「今はほっとして、安全だと感じているし、多くの人が助けてくれる」と話し、今後はベラルーシを出国して合流した夫とともにポーランドでスポーツ選手としてのキャリアを積みたいと語った。
また、ツィマノウスカヤ選手の一件をめぐり、国際オリンピック委員会(IOC)は8月6日、ベラルーシ代表団コーチ2人の認証を5日に取り消し、選手村から退去させたことを明らかにした。