熟女デリヘル「生本番」で17億円の荒稼ぎ!
鶯谷のラブホ街は“コロナ禍の癒し”になっていた
「生本番、許容店です」
警視庁にかかってきた1本の匿名電話が、摘発のきっかけだった。
無店舗型デリヘル店に登録した女性をラブホテルに派遣し、売春行為をさせたとして、警視庁保安課は14日までに、東京都台東区の売春クラブ3店舗の経営者3人と、従業員の男女6人を売春防止法違反(周旋)の疑いで逮捕した。
JR鴬谷駅周辺に事務所を構える「主婦の火遊び」「パート妻」「見返り美人」の経営者と従業員は、客から電話を受けると女性にラブホテルに行くように指示し、本番行為をさせていた。2014年の開業以降、3店舗で17億円の売り上げがあった。
■3店舗の平均年齢は37歳~45歳
主婦の火遊びはHPで〈30代から40代の主婦とひと時だけの濃厚アバンチュールを提供する人妻専門店です〉と宣伝。パート妻のHPには〈人妻専門店。色白、敏感、巨乳、グラマー、ドエロ、美乳、清楚、M女〉の文字が並び、見返り美人のHPでは〈人妻デリヘル60分1万円。清楚系奥様、可憐系若妻、濃厚系人妻、30~40代の容姿端麗な素敵な人妻さんが多数在籍〉とうたっていた。
「在籍していた女性は21歳から60歳と年齢が幅広く、主婦の火遊びの風俗嬢の平均年齢は45歳、パート妻は平均37歳、見返り美人は平均44歳です。3店舗合わせて89人の女性が働いていて、かなり安い料金で売春させていた。女性の取り分は売り上げの約6割です。大人数で派手に商売をし、荒稼ぎしていたので、同業者からチクられたのでしょう」(捜査事情通)
8年間で17億円ということは、1年当たりの売り上げは2億1250万円。なぜそんなに稼げたのか。
「新型コロナの影響が大きかったのではないか」と風俗ライターの蛯名泰造氏がこう指摘する。
「鴬谷の特徴としては30代後半から40代と風俗嬢の年齢層が高い。年がいっている方が親切で人柄も良く、サービスもいいと評判です。不景気になって人の心が荒れると、癒やしを求めて鴬谷に足が向かうのです。風俗嬢に聞くと、男性客の中には、家に帰ると嫁に『男でしょう。しっかりしなさい』となじられ、『妻には弱みを見せられないから、あなたのところに見せに来た』と話す人もいるそうです」
コロナでつぶれそうになった飲食店や中小企業の経営者が、通いつめるケースもあるという。
■パートをクビになった美人妻が続々風俗嬢に
「いつどうなるか分からない不安を抱え、従業員の前では弱音を吐けないから風俗嬢に甘えるのです。おっぱいを吸ったままスヤスヤ眠る人も多いそうです。かつては利益が出ているデリヘル店でも年間売り上げが1億円でしたから、あの3店は完全な勝ち組です。秘訣は『癒やし』に徹したことだと思います。コロナで飲食店のパートをクビになり、風俗に流れた人妻もかなりいます。友達同士で情報を交換する主婦ネットワークで質の高い女性が集まるようになり、ルックスも性格もサービスも格段にレベルが上がりました。きれいで気立てのいい女性が揃っていれば、リピーターも増えます」(蛯名泰造氏)
コロナ禍で、鴬谷のラブホテルはさまざまな事情を抱える中年男女が癒やしを求め、与える場になっていた。
「主婦の火遊び」そんな名前の“違法店舗”が摘発
総売上18億円 9人逮捕のキッカケは「匿名通報」だった
女性従業員に売春をさせた疑いで、東京・鶯谷の派遣型風俗店3店舗の経営者ら男女9人が、警視庁保安課などに逮捕された。驚いたことに、3つの店舗で、およそ18億円を売り上げていたという。
摘発のキッカケは匿名通報
事件のキッカケは、警視庁に寄せられた匿名の情報提供だった。内容は「『本番行為』の強要店です。客が強要する。店も、集客のために黙認しています」というもの。名指しされたのは、鶯谷地区を拠点とする、いわゆる『デリヘル』だった。
3つの店舗は、いずれも「無店舗型性風俗特殊営業」として、東京都公安委員会に届け出ていた。しかし、情報提供によれば、「本番行為」を売りにしていたとのこと。当然、警視庁保安課などが内偵捜査に乗り出すことになった。
3つの店の中で、最も”古くから”営業をしているのは、「主婦の火遊び」だ。この店の届け出は、2014年9月。登録している女性従業員は38人。女性たちの平均年齢は45歳だった。他の「パート妻(つま)」と「見返り美人」については、いずれも、2016年に営業の届け出が出されていた。
なお、「パート妻」には女性28人が登録し、平均年齢は37歳。「見返り美人」は23人が登録し、平均年齢は44歳だった。3つの店舗は、同じグループの系列店とみられている。このため、保安課などは、3店舗をまとめて捜査することになった。
”地道な”捜査で9人を逮捕
売春事件の摘発は、かなり「根気の要る」捜査とされている。なぜならば「本番行為」の有無を立証しなければならないからだ。女性従業員だけではなく、相手の男性客に対しても「本番行為」の有無を確認する必要がある。
内偵捜査を進めていることが、店側に伝われば、事件化は困難になる。このため捜査は慎重に進められるという。保安課などは、これら所要の捜査を遂げて、今月12日、3つの店舗の経営者・従業員の合わせて男女9人を、一斉に逮捕した。容疑は売春防止法の「売春の周旋」だ。
逮捕容疑の詳細だが、「主婦の火遊び」については、今年5月20日と27日、台東区根岸のラブホテルに、女性従業員を派遣し、男性客を相手に、売春をさせたとされるもの。「パート妻」については、5月23日と6月7日、6月11日の、「見返り美人」については、6月27日と7月1日の、それぞれの「売春の周旋」が逮捕容疑となった。
このように「売春」がなされた日付はバラバラだ。さらに、強制捜査の着手までに、数ヶ月を要している。改めて、売春事件の捜査の難しさを痛感した。ところで、保安課などが、どの段階で把握したのかは不明だが、この3店舗の売り上げが、凄まじかった。
3店舗の総売上18億円
3つの店舗ともに、”システム”は同じだったという。営業時間は、午前9時半~翌日の午前4時まで。料金体系は、(1)60分1万円、(2)80分1万5000円、(3)100分2万円、(4)120分2万5000円、(5)延長30分7000円だった。
女性従業員の”取り分”は、利用時間に応じて違った。上記と照らすと、(1)6000円(2)9000円(3)1万2000円(4)1万5000円(5)4000円だった。なお、派遣先は、主にラブホテルで、一部、ビジネスホテルも含まれていたとのこと。ホテル代は客の負担だ。
そして、その売り上げだが、「主婦の火遊び」が、1日およそ35万円。2014年9月~今年9月までで、およそ9億9700万円の売り上げがあったそうだ。「パート妻」は1日およそ20万円、2016年~今年におよそ4億2000万円を、「見返り美人」も、これまでにおよそ3億6000万円を売り上げていたという。
3つの店舗の売り上げを合わせると、およそ18億円にのぼるとされる。いずれの店舗も、女性従業員に「本番行為」を強要し、それを売りにしていたという。一方で、ポイントカードを導入、友達紹介キャンペーンを実施するなど、集客のために、”地道な”サービスも繰り広げていたようだ。
調べに対して9人の容疑者のうち8人は容疑を認めている。「私の営業方針でやっていた」「女の子が客と本番行為ができる店です」などと供述しているそうだ。なお、唯一、容疑を否認している56歳の女も、「売春していることについては、薄々、気づいていました」と話しているという。