アメリカとベトナムの関係強化 トランプ・インターナショナル・フンイエン

トランプ・オーガニゼーションのフンイエン1.5億ドルプロジェクト概要

プロジェクトの基本情報

  • 名称:トランプ・インターナショナル・フンイエン(Trump International Hung Yen)
  • 総投資額:約15億米ドル(約3兆9,800億ベトナムドン)
  • 面積:約990ヘクタール
  • 所在地:フンイエン省コアイチャウ郡の7つのコミューン(トゥダン、タンチャウ、ドンケット、ドンニン、ダイタップ、リエンケ、チミン)
  • 開発主体:トランプ・オーガニゼーション(米国トランプ元大統領の家族企業)とキンバック都市開発公社(KBC)傘下のフンイエン・ホスピタリティ

プロジェクトの内容

  • 都市複合施設(住宅、商業、サービスエリア)
  • エコツーリズムリゾート
  • 高級ゴルフコース(54ホール、36ホール+18ホール、総面積240ヘクタール超)
  • 高級ヴィラ、リゾート施設
  • 7.3ヘクタールの社会住宅用地
  • 99ヘクタールのテーマパーク
  • 総人口規模:約35,000人(複数のサブエリアに分割)
  • 意義・背景

トランプ・ブランドとしてはベトナム初のプロジェクト

  • ベトナムと米国の経済・外交関係深化の象徴
  • ファム・ミン・チン首相は「米国を含む外国投資家のベトナムへの信頼の証」と発言
  • 2027年APECベトナム開催に向け、2年以内の完成を目指す

今後の展望

  • トランプ・オーガニゼーション副社長エリック・トランプ氏は「世界が羨むゴルフコースを目指す」とコメントし、2年以内の完成を明言
  • KBC側も「アジアを代表するゴルフとライフスタイルの目的地となる可能性」と評価
  • ベトナムの観光・不動産・国際協力の新たなランドマークとなることを目指している

まとめ

トランプ・オーガニゼーションとベトナムのキンバック都市開発公社(KBC)が戦略的に提携し、フンイエン省で約15億ドル規模の大規模都市・リゾート・ゴルフ複合施設「トランプ・インターナショナル・フンイエン」を開発します。これはベトナム初のトランプ・ブランド案件であり、米越関係の深化とベトナムの国際的地位向上の象徴的プロジェクトです。完成は2027年APEC開催前を目標とし、地域経済や観光の発展に大きく寄与することが期待されています。

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誰が出資している?

フンイエン省のトランプ・インターナショナル・フンイエン(約15億ドル)プロジェクトの主な出資者は、以下の通りです。

  • トランプ・オーガニゼーション(The Trump Organization)・・・ドナルド・トランプ元米大統領の家族が経営する米国の企業で、本プロジェクトのブランドおよび主要な出資者の一つです。
  • キンバック都市開発公社(Kinh Bac City Group, KBC)・・・ベトナムの大手工業団地・都市開発企業で、プロジェクトの現地パートナーです。KBCの子会社であるフンイエン・ホテルサービス社(またはフンイエン・ホスピタリティ、Hung Yen Hospitality)が実務を担います。
  • アメリカの投資ファンド(IDG Capital、Horitusなど)・・・プロジェクトの覚書締結時には、米国の投資ファンドであるIDG CapitalやHoritusも参画しており、資本面での協力が示されています。

このように、プロジェクトはトランプ・オーガニゼーションとKBCグループ(およびその子会社)、さらに米国の投資ファンドが共同で出資・推進する形となっています。

プロジェクトの検討が始まったきっかけは何だったのか

フンイエン省のトランプ・インターナショナル・フンイエン・プロジェクトの検討が始まったきっかけは、現地パートナーであるキンバックシティーグループ(KBC)の子会社フンイエン投資開発(Hung Yen Group)が、トランプ・オーガニゼーション側に事業提案を行ったことです。この提案を受けてトランプ・オーガニゼーションの幹部がフンイエン省を訪問し、同省のトップと会談を実施。会談では、トランプ・オーガニゼーションがホテルやゴルフ場、娯楽施設など自社の強みを活かせる分野で投資したい意向を表明しました。

また、フンイエン省側は同省の潜在力やインフラ計画を紹介し、事業推進への協力姿勢を示しています。このように、現地パートナーからの提案とそれに対するトランプ・オーガニゼーションの関心、そしてフンイエン省政府の積極的な支援が、プロジェクト検討開始の直接的なきっかけとなりました。

トランプ・オーガニゼーションがフンイエンに投資する理由は何か

トランプ・オーガニゼーションがフンイエン省に投資する理由は、主に以下の3点に集約されます。

  1. 事業分野での強みの発揮・・・トランプ・オーガニゼーションは、ホテル、ゴルフ場、娯楽施設などの開発・運営に強みを持っています。フンイエン省のプロジェクトは、これらの分野で同社の専門性とブランド力を活かせる内容であり、同社が積極的に投資したい意向を表明しています。
  2. 市場としての成長性・潜在力・・・エリック・トランプ副社長は「ベトナムは世界で最も活力があり、潜在力のある市場の一つ」と述べており、今後の経済成長や観光需要の拡大を見込んで、ベトナム市場への進出を決断しています。
  3. ベトナム政府・現地パートナーの積極的な誘致と協力・・・フンイエン省側は、同省の潜在力や交通インフラ整備、長期開発計画をアピールし、トランプ・オーガニゼーションの事業展開に便宜を図ることを約束しています。また、現地の大手デベロッパーであるキンバックシティーグループ(KBC)からの提案や協力も、投資決定の大きな後押しとなりました。
  4. 米越関係の強化という戦略的意義・・・トランプ・オーガニゼーション側は、今回の投資が米越間の協力関係の強化にも貢献するとの見解を示しており、経済的な利益だけでなく、両国関係の深化という戦略的な意義も重視しています。

まとめると、トランプ・オーガニゼーションは自社の強みを活かせる事業内容、ベトナム市場の成長性、現地政府とパートナーの積極的な支援、そして米越関係強化という複合的な理由からフンイエン省への投資を決めています。

中国からの生産移転先として脚光を浴びたベトナムが今、大打撃

背景

  • 米中対立が激化する中、中国から生産拠点を移す「チャイナ・プラスワン」戦略で注目されたベトナムが、今大きな打撃を受けている。
  • ベトナムに進出した中国系企業の経営者たちは、厳しい経営環境に直面し、工場建設や投資が中断・凍結されている。

米国の新たな関税政策

  • 2025年4月、米国トランプ大統領(再登場)が「相互関税」政策を発表し、中国だけでなく、ベトナムなど中国企業が生産拠点を移した国にも高関税を課す方針を示した。
  • ベトナムからの一部製品に最大46%の懲罰的関税が発表され、中国企業の「原産地ロンダリング(抜け道)」も厳しく取り締まる姿勢。

中国系企業の苦境

  • ベトナムに進出した中国系企業は、工場建設契約の中止や投資の凍結が相次ぐ。
  • 設備投資を始めた企業も、政策変更で損失を被っている。
  • ベトナムの港湾(ハイフォン港)では、米国発表直後に出荷量が30%減少、その後、緩和措置(90日間の猶予期間)で一時的に出荷が急増。

米国の狙いと専門家の見解

  • 米国の狙いは、中国のサプライチェーンを世界から排除し、国際貿易秩序を再構築すること。
  • 今回の関税戦争は「国対国」ではなく、中国が関与するすべての製品が制裁対象になる可能性がある。
  • ベトナムの対米依存の深さも浮き彫りに。

米国内外の反応・問題提起

  • 中国のWTO加盟以降、世界は安価な製品を享受したが、貿易不均衡、雇用喪失、知財窃盗、産業空洞化など深刻な問題も発生。
  • 米国の一部識者は「中国をWTOから排除し、自由主義国家中心の新たな貿易秩序を築くべき」と主張。

まとめ

  • 米中対立の激化により、ベトナムに進出した中国系企業が大きな打撃を受けている。
  • 米国は中国のサプライチェーンを徹底的に排除しようとしており、ベトナムもその余波を受けている。
  • 今後の国際貿易秩序の再編成や、ベトナム経済への影響が注目される。