アメリカ国内に巣くう中国人スパイ 根絶目指すトランプ政権
背景と脅威認識
- トランプ政権下のアメリカでは、中国によるスパイ活動が国家安全保障上の重大な脅威として認識されており、特に産業スパイや学術分野での情報窃取、さらには生物病原体の密輸といった多様な手口が問題視されています。2025年6月、ミシガン州東部地区連邦検事局は、2人の中国人が小麦やトウモロコシなどの農作物に深刻な病気をもたらす危険な生物病原体を米国に密輸したと発表しました。これらの病原体は摂取すると健康被害をもたらす恐れがあり、農業や食の安全保障にも直結する事件です。
トランプ政権の主な対策
- 「チャイナ・イニシアチブ」創設・・・2018年、トランプ政権は司法省とFBIによる「チャイナ・イニシアチブ」を立ち上げ、中国による産業スパイや経済スパイ、技術窃取への取り締まりを強化しました。FBI長官は「全米50州で中国による産業スパイ事件の捜査を進めている」と明言しています。
- ビザ発給の厳格化・・・航空やロボットなど先端技術を専攻する中国人大学院生へのビザ有効期間を5年から1年に短縮し、学術スパイの封じ込めを図りました。
- 中国人留学生・研究者の追放検討・・・中国人民解放軍との関係が疑われる中国人大学院生や研究者のビザを取り消し、追放する計画も検討されました。
- ハニートラップ対策の強化・・・米国大使館員やその家族に対し、中国国民との恋愛や性的関係を禁止するなど、諜報活動への対策も冷戦時代並みに強化されています。
成果と課題
- トランプ政権発足後2年間で、中国関連の産業スパイ事件で摘発された中国人やアメリカ人は少なくとも37人に上っています。ただし、「チャイナ・イニシアチブ」の運用には批判もあり、経済スパイ事件以外にも幅広い事案が対象となり、起訴された被告人の有罪判決率は約4分の1にとどまっています。
中国側の対応と法的背景
- 中国では2017年に「国家情報法」が施行され、市民や組織に国家の情報活動への協力を義務付けています。これにより、米国の捜査当局は大学や研究機関に所属する中国人への警戒を強めています。
まとめ
- トランプ政権は中国人スパイの根絶を目指し、司法・外交・入国管理など多方面で厳格な対策を講じてきました。しかし、制度運用の課題や人権・差別問題への懸念も指摘されており、米中間の安全保障・外交的緊張の一因となっています。
米国土安全保障省長官による中国人留学生への警告の要約
概要
- アメリカ国土安全保障省のクリスティ・ノーム長官は、中国共産党(中共)のスパイ行為に関与する中国人留学生に対し、国外退去の可能性を警告した。
- ノーム長官は、アメリカの技術情報の窃盗や人権活動の監視・妨害など、中共のためにスパイ活動を行う学生はアメリカ滞在を許可しないと明言。これらの行為はアメリカ社会の安全を脅かすものであり、厳しく対処する姿勢を示した。
- ハーバード大学などアメリカの大学が中国から多額の資金を受け取っていることにも懸念を表明。具体的な金額は不明だが「数億ドル規模」と見ており、学費や奨学金、プロジェクトへの資金提供が含まれると指摘した。
- 米国政府は、中国共産党と関係のある中国人留学生や、アメリカの重要分野を学ぶ学生のビザを積極的に取り消す措置を進めている。
- 今後は中国本土や香港からの全てのビザ申請者に対して安全審査を強化する方針も示されている。
- 議会では、中共と中国国民を明確に区別する制度設計や、ビザ制度のさらなる厳格化を求める声が高まっている。
背景
- 米中関係の緊張や、アメリカの安全保障上の懸念が高まる中で、アメリカ国内の大学における中国人留学生への規制が強化されている。
- 一部の中国人留学生が機密情報の収集や敏感な研究への関与を通じてアメリカの安全保障に脅威をもたらしているとの認識が広がっている。
まとめ
- アメリカ国土安全保障省は、中国共産党のスパイ行為に関与する中国人留学生に対し、国外退去やビザ取り消しを含む厳しい措置を警告。さらに、米国内の大学と中国との資金関係にも強い懸念を示し、ビザ制度の厳格化や安全審査の強化を進めている。
キリスト教でたどるアメリカ史
概要
- アメリカ史をキリスト教というフィルターを通して読み解く一冊です。アメリカ大陸の「発見」から現代の反知性主義や陰謀論が渦巻く混沌まで、アメリカ社会を一貫して動かしてきた理念としてのキリスト教の役割を、神学・宗教学の視点から解説しています。
主な内容と特徴
- アメリカの建国以前から、ピューリタンの時代、独立革命、南北戦争、世界大戦、現代に至るまで、キリスト教がどのようにアメリカの価値観や社会構造、政治、教育、文化に影響を与えてきたかを論じています。
- 各宗派(ピューリタン、カトリック、バプテスト、メソジスト、モルモン教、エホバの証人など)の伸展と変容、信仰復興運動(リバイバル)、奴隷制や女性の権利、先住民問題、禁酒法や進化論論争なども扱われています。
- アメリカの「自由」「寛容」「狂信」「傲慢」など、相反する価値観がせめぎ合う中で、宗教国家としてのアメリカの軌跡を一冊で俯瞰できます。
- 著者は自身の信仰的立場に偏らず、学者として公正な視点で論じており、宗教に詳しくない読者や無神論者でも安心して読める誠実な歴史書との評価があります。
目次例
- 「アメリカ」の始まり
- ニューイングランドの建設
- ピューリタンの信仰と生活
- 大覚醒
- 独立革命期
- 諸教会の伸展と変容
- アンテベラム時代
- 新しい信仰の諸形態
- 南北戦争期
- アメリカの膨張
- 二つの世界大戦
- 戦後から現代へ
評価・おすすめポイント
- 日本では珍しい「アメリカのキリスト教」に焦点を当てた通史であり、アメリカ研究や宗教社会学、現代アメリカ理解の入門書としても高い評価を受けています。
- アメリカの反知性主義やトランプ現象、中央部の白人大衆層の理解にも役立つ内容です。
まとめ
- 『キリスト教でたどるアメリカ史』は、アメリカ社会の根底に流れるキリスト教の影響を多角的に解説した、アメリカ史・宗教史の基本書です。アメリカの歴史や現代社会を深く理解したい人におすすめです。