東京の少子化は江戸時代から続く都市の構造的な問題 日本全体が都市化すれば全国的な少子化が進むのは必然

東京の少子化がいつから始まったかというと江戸時代だという

東京の少子化は江戸時代から始まったのか?

  • **江戸時代の江戸(現在の東京)でも未婚率が高く、出生率が低い傾向があったことは事実です。**現代と同様に、都市部では独身者が多く、子どもを持たずに亡くなる人が多いという現象が見られました。

例えば幕末の江戸と現代の東京を比較してみると、未婚率がほとんど変わらないどころか、むしろ、地域によっては江戸の方が高い場合もあります。「まったく! これだから東京の若もんは! 未婚率は高いし! 出生率も日本で最低だし! まったくけしからん!」という人もいますが、実はそれ、江戸の頃から変わってないのです。

  • ただし、**江戸時代の江戸で出生率が低かったにもかかわらず、当時の日本全体の人口は農村部が維持していました。**江戸の人口は地方からの流入で補われており、都市部の少子化がすぐに日本全体の少子化に直結する状況ではありませんでした。

都市の成り立ちと少子化の関係

  • 都市は経済活動や労働集約型の産業に特化して発展するため、独身者や単身赴任者が多く、結婚や子育ての環境が整いにくい傾向があります。また、都市部では結婚年齢が高くなりやすく、出生率が低くなる要因が複合的に存在します。

日本全体の都市化と少子化の必然性

  • **現代の日本では都市化が全国的に進み、地方の農村部でも人口減少と少子化が進行しています。**都市部に人口が集中し、農村部の人口が減少することで、かつて農村が担っていた人口維持機能が失われ、日本全体で少子化が加速する構造となっています。

まとめ

  • 江戸時代の江戸(東京)でも未婚率・出生率の低さは現代と同様だった。
  • 当時は農村部が人口維持を担っていたため、都市部の少子化が全国的な少子化には直結しなかった。
  • 現代は日本全体が都市化し、農村部の人口維持機能が低下したため、全国的に少子化が不可避となっている。
  • 都市の成り立ち自体が、独身者や子どもを持たない人を多く生み出す構造を持っている。

このように、「東京の少子化は江戸時代から続く都市の構造的な問題であり、日本全体が都市化すれば全国的な少子化が進むのは必然」という見方は、歴史的・社会的に根拠があると言えます。

まちがいだらけの少子化対策: 激減する婚姻数になぜ向き合わないのか
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本書の主なポイント

1. 少子化の本質的な要因は「婚姻数の激減」

  • 日本の出生数は過去半世紀で約6割も減少しているが、夫婦あたりの子どもの数は大きく減っていない。
  • 少子化の主因は「未婚化」、すなわち結婚する人自体が大きく減っている点にある。
  • 「初婚同士のカップル成立なくして、出生なし」という根本を直視し、未婚化対策が不可欠であると指摘。

2. 子育て支援偏重への批判

  • 現行の少子化対策は、既婚者向けの子育て支援に予算が集中しているが、未婚化が進む現状では根本的な解決にならない。
  • 統計的にも、既婚者への支援だけで出生数の減少は止められないと警鐘を鳴らす。

3. アンコンシャス・バイアスと古い価値観

  • 社会に蔓延する「結婚や子育ては女性の役割」といった無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)が、政策や世論に影響し、対策の的を外している。

4. シルバー民主主義の弊害

  • 高齢者層の意向が政治や予算配分に強く反映され、若年層の価値観やニーズが軽視される「シルバー民主主義」が少子化問題の深刻化を招いている。

5. 地方の人口流出と統計の誤解

  • 地方では結婚適齢期前の人口流出が加速し、出生率比較も人流を無視して行われているため、実態を正確に捉えられていない。

目次(抜粋)

  1. 少子化が進む本当の理由
  2. 古い価値観が招くアンコンシャス・バイアスの蔓延
  3. 統計的誤解がもたらす地方少子化加速の罠
  4. 地方から流出する結婚適齢期前人口
  5. 「シルバー民主主義」がもたらすリスク
  6. 「子育て支援」最優先国家が苦しめるのは誰なのか
  7. 世界からみた「異次元ぶり」への対策こそが少子化対策

本書の意義と提言

  • 少子化対策は「結婚したカップルへの子育て支援」だけでなく、「未婚化対策」こそが急務であると主張。
  • 若年層の結婚や家族観の変化、経済格差、男女の未婚化など、現代日本の実態をエビデンスに基づき分析し、政策の抜本的見直しを提案している。

「カップルなくして出生なしであるにもかかわらず、カップル成立後の既婚者政策ばかりに大きな予算が少子化対策として割かれてきた。」

まとめ

  • 天野馨南子氏は、少子化の本質的な原因が「婚姻数の激減=未婚化」にあることを統計データとともに明らかにし、現行の子育て支援偏重政策や社会の無意識的偏見、シルバー民主主義の弊害を批判。若年層の価値観や未婚化への具体的な対策こそが、真の少子化対策であると強調している。