2025年10月12日 麻薬ケタミンを混ぜたたばこの葉を密輸疑い 沖縄税関に告発された台湾籍の男「ケタミンが入っていると知らず」
2025年9月22日、台湾籍の27歳の男性が麻薬成分のケタミンを混ぜたたばこの葉約17グラムを那覇空港に密輸しようとした疑いで、沖縄地区税関に関税法違反の疑いで告発されました。容疑者は入国時にリュックサック内のたばこケース2箱の中からケタミンを含む植物片が発見され、那覇地検に送致されています。容疑者は「ケタミンが入っているとは知らなかった」と容疑を否認しているとのことです。なお、訪日の目的は観光と見られています。
ケタミンの歴史
ケタミンの歴史は1960年代初頭に遡ります。1962年にアメリカのパーク・デービス社が、当時麻酔薬として使われていたフェンサイクリジン(PCP)の代用物として合成しました。その後、1964年にミシガン大学のEdward F. Domino博士らによって健常者(囚人)を対象に最初の実験投与が行われました。ケタミンは呼吸抑制が少なく血圧低下も起こしにくいという特徴から解離性麻酔薬と命名され、1969年に「ケタラール」の商品名で医療用麻酔薬として承認されました。
しかし、1970年代後半からは幻覚や精神病様症状を伴う乱用が米国で社会問題化し、日本でも2007年に麻薬に指定されました。一方で2000年代に入ると、うつ病患者への抗うつ効果が明らかになり、即効性の抗うつ薬として精神医学領域で大きな注目を浴びています。ケタミンは従来の抗うつ薬と異なり、数時間以内に症状を改善することが実証され、治療抵抗性うつ病や自殺念慮の軽減に効果があるとされています。
このように、ケタミンは当初は麻酔薬として開発され、その後乱用問題と抗うつ効果の発見という二つの側面で歴史が展開してきました
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