AIの活用が物理的なインフラや重工業へとシフト

ゴールドマン・サックスのバンカーらが語る、AIブームの次の舞台は「物理経済(実物経済)」

  • Goldman bankers say the next AI boom is in the physical economy

ゴールドマン・サックスが独占入手した報告書によると、人工知能(AI)の導入と投資の次の波は、ソフトウェアやクラウドの枠を超え、工場、鉱山、公共インフラ、石油掘削基地といった「物理経済(実物経済)」の分野へ拡大していると指摘しています。これまで投資家の関心は先端AI研究所(フロンティア・ラボ)に集中していましたが、今後は現実世界の産業基盤にAIを実装・展開する取引や投資が主導する見込みです。

物理経済への移行とその背景

AIの活用が物理的なインフラや重工業へとシフトしている背景には、AIの進化に伴う構造的な変化と、現実的な制約が存在します。

  • 自律型AI(エージェントAI)への進化
    従来の対話型AIに比べ、自律的に判断して業務を遂行する「AIエージェント」は、60倍から130倍もの電力を消費します。これにより、データセンターの増設だけでなく、送電網や電力インフラそのものの再構築が必要になっています。
  • 莫大なインフラ投資
    2026年から2031年にかけてのAI関連の累積設備投資額(CapEx)は、約7.6兆ドルに達すると試算されています。これらは新型チップの購入だけでなく、産業用液体冷却システム、高圧送電設備、専用の発電施設などの物理的基盤の構築に充てられます。
  • リソースの制約というボトルネック
    AIの拡大において、もはや資金の不足ではなく、電力、土地、そして銅やリチウムといった「重要鉱物(クリティカル・ミネラル)」の供給不足が最大の制約となっています。データセンターの電力需要は2030年までに2023年比で160%増加する見通しであり、既存の送電網では対応しきれない状況です。

投資機会のシフト

ゴールドマン・サックスのアナリストは、投資の収益プールが「上流」から「下流」へと移行しつつあると分析しています。

  • 従来の構造
    これまでは、AIの利益の約90%が半導体(チップ)、メモリ、およびその製造企業に集中していました。
  • 今後の構造
    今後は、物理的な制約を解決する「ツルハシとシャベル(周辺ビジネス)」に該当する企業へ投資機会が移ります。具体的には、データセンターの設計・建設、高度な冷却技術、グリッド接続型発電、高電圧コンポーネント、そして送電インフラを支える熟練労働者を提供するサービス分野です。

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