超富裕層に対する「富裕税」導入を主張
アップロードされた画像は、米国の下院議員ロー・カンナ(Ro Khanna)氏のSubstack記事(rokhannausa.substack.com)の一部とみられます。
この文章では、超富裕層に対する「富裕税(Wealth Tax)」の導入を強く主張しており、主な要点は以下の通りです。
5,000万ドル(約80億円)以上の資産への課税
- 富裕税はビリオネア(総資産10億ドル以上)だけでなく、センチミリオンネア(総資産1億ドル前後、ここでは5,000万ドル以上の資産家)にも適用すべきだと主張しています。
- 著者は「超富裕層税法案(Ultra-Millionaire Tax Act)」の共同提案者であり、この法案では5,000万ドルを超える資産に対して年2%の課税を行うとしています。
- 租税回避手段として使われやすい「不可逆信託(irrevocable trusts)」の内部にある資金にも課税を及ぼし、信託を設定した委託者(grantor)に課税する仕組みを強調しています。信託に資産を移しても富裕税の対象外にはできない、としています。
「現代の道徳的試練」としての富裕税
- カリフォルニア州におけるこの戦いを、現代の「逆・提案13号(reverse Proposition 13)」と呼んでいます。
- 補足:1978年のカリフォルニア州「提案13号」は、固定資産税に上限を設けた減税運動で、その後のロナルド・レーガン大統領誕生への足がかりとなった保守派の歴史的転換点です。
- 今回の動きはその「逆」であり、固定資産税を制限するのではなく、トップの極端な富に課税するという哲学的な戦いであり、カリフォルニアが全米の試金石(テストケース)になると述べています。
政治的な問いかけと格差への危機感
- 「医療を失いかけている300万人のカリフォルニア市民の側に立つのか、それとも目を背けてほしいと願うビリオネア階級の側に立つのか」という二者択一を迫っています。
- 民主党として「労働者の党(FDR:フランクリン・ルーズベルト大統領の時代のような党)に戻るのか、それとも大口寄付者(ドナー階級)の望む通りにし続けるのか」を問いかけています。
- 最後に、「938人の富裕層が1年で1.5兆ドルも富を増やす一方で、私の選挙区の教師が家賃を払うために副業をしなければならないような国であってはならない」と、具体的な格差の現状を挙げて締めくくっています。
世界大戦後に貧富の格差は縮小。その後は拡大し続けている
世界大戦の直後は、戦災による資産の破壊や高率の財産税、インフレなどによって、世界的に貧富の格差が大きく縮小しました。しかし、1980年代以降はグローバル化や規制緩和、デジタル技術の進歩などが進み、富が一部に集中する形で格差は再び拡大し続けています。
大戦直後の格差縮小の要因
第二次世界大戦の直後は、歴史上最も格差が縮小した時期の一つです。この縮小にはいくつかの決定的な理由があります。
第一に、戦争そのものによる物理的な資産の破壊です。富裕層が所有していた工場や土地、企業価値が戦争によって失われました。
第二に、戦費調達や戦後復興のために、各国で超高率の所得税や財産税が導入されたことです。最高税率が90%を超える国もあり、これが富の強制的な再分配として機能しました。
第三に、戦後の激しいインフレです。インフレは現預金や債権の価値を目減りさせるため、大量の資産を持つ富裕層に大きな打撃を与え、相対的に格差を縮めました。
1980年代からの格差再拡大
1970年代まで比較的平等な状態が続きましたが、1980年代を境にトレンドが完全に反転します。
アメリカのレーガン政権やイギリスのサッチャー政権に代表される「新自由主義」的な政策により、所得税の最高税率引き下げや金融市場の規制緩和が行われました。これにより、資本を持つ者がさらに富を増やしやすい環境が整いました。
また、製造業の拠点が新興国へ移転するグローバル化が進んだことで、先進国の製造業労働者の賃金が伸び悩む一方、国際的に展開する大企業の経営者や株主の利益は爆発的に増加しました。
現代における格差の構造
現代の格差拡大は、単に賃金の差だけでなく、資産から得られる収益の差によって駆動しています。
経済学者のトマ・ピケティが指摘したように、投資や不動産から得られる利益の割合(資本収益率)は、働いて得る給与の伸び率(経済成長率)を長期的に上回り続けています。そのため、資産を持つ人はより速く富を増やし、持たない人との差は開く一方です。
さらに、ITやAIなどのデジタル技術の進歩は「勝者総取り」の市場を作り出し、特定のプラットフォーム企業や技術者に莫大な富が集中する構造を加速させています。
アメリカは、政策により富裕層の税負担は減っている
アメリカでは、過去数十年の長期的な税制改正(特に1980年代以降の改革や2017年の税制カット&ジョブズ法など)により、富裕層の最高世帯や企業の税率が引き下げられ、結果として最富裕層の実効税負担率は低下傾向にあります。
アメリカの税制変化と富裕層の税負担
アメリカの連邦所得税における最高限界税率は、歴史的に見ると大幅に引き下げられてきました。1940年代から1960年代にかけては90%を超える時期もあり、1970年代まで70%台を維持していましたが、1980年代のレーガン政権下の改革で大幅に引き下げられました。その後は30%から40%の間で推移しており、現在の最高限界税率は37%となっています。
また、2017年に導入された税制カット&ジョブズ法(TCJA)では、最高税率の引き下げ(39.6%から37%)に加えて、連邦法人税率が35%から21%へと大きく引き下げられました。富裕層が所有する事業や株式からの収入に対する税負担が軽減されたため、実効税率(実際に所得に対して支払った税金の割合)で見ると、最富裕層(上位1%やトップ400家など)の税負担率はここ数十年で減少していることが多くの経済研究で指摘されています。
資産の性質による税負担の差
アメリカの税制では、労働による「給与所得」よりも、株式の売却益などの「キャピタルゲイン(譲渡益)」に対する税率の方が低く設定されています。超富裕層の資産や収入の大部分は株式や事業投資に由来するため、一般的な給与所得者よりも全体的な実効税率が低くなるケースが生じています。
こうした背景から、近年ではカリフォルニア州などの一部の州レベルにおいて、超富裕層に対する独自の追加課税(ミリオネア税など)を導入する動きも見られますが、連邦レベルにおける富裕層の税負担軽減のトレンドは、長期的な格差拡大の要因の一つとして議論が続けられています。

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