ドイツのメルツはブラックロック・ドイツの会長だった。アメリカの投資家ジョン・フィーレンは海軍長官に就任。国防副長官に就任したスティーブン・ファインバーグは大手プライベート・エクイティ企業の創業者

ウクライナ戦争を所有する男たちが、今やそれを動かしている

  • The Men Who Own The Ukraine War Now Run It

この記事は、かつて政治の舞台裏で影響力を行使していた兵器産業や投資ファンドの有力者が、今や政府や軍のトップに直接就任し、国家の防衛政策や予算を自らのビジネスのために直接動かしている現状を批判的に説明しています。

主な内容は以下の通りです。

ドイツの動向

次期首相候補とされるフリードリヒ・メルツ氏は、世界最大の資産運用会社ブラックロックのドイツ法人で会長を務めていました。彼は政治の世界に戻ると、防衛費の大幅な増額を主導しました。この増額された国家予算は、ブラックロックが出資する防衛企業へと流れる仕組みになっています。

アメリカの動向

投資家だったジョン・フィーレン氏が海軍長官に就任し、自身が株を保有していた防衛企業の製品を買い付ける立場になりました。また、国防副長官に就任したスティーブン・ファインバーグ氏は、大手プライベート・エクイティ企業の創業者であり、国防省の予算を使って民間企業へ投資する仕組みを作り上げ、自身の元部下たちを省内に呼び込んでいます。

人材の勧誘

国防省は経済防衛部隊と呼ばれる投資部門を新設し、ゴールドマン・サックスなどの大手金融機関からバンカーを高給で募集しています。その募集要項では、政府の最高機密へのアクセス権や、退職後に新たなファンドを立ち上げて儲けるチャンスが特典として公然とアピールされています。

結論

かつてアイゼンハワー大統領が警告した軍産複合体による政府への影響力という段階は過ぎ去りました。現代では、民間資本の利益と国家の公的利益が完全に融合し、戦争や軍備増強の意思決定そのものが投資家たちによって合法的に運営されていると著者は指摘しています。

 

 

国力とは軍事力・政治力・経済力。独裁・専制・社会・共産主義国家に対抗するためにはやむを得ない。ただの良い人では侵略されてしまう

独裁・専制・社会・共産主義国家に対抗するため

国家の主権や安全を維持するためには、理想論だけではなく、軍事力、政治力、経済力を組み合わせた総合的な国力が不可欠であるという考え方は、国際政治における現実主義(リアリズム)の核心を突いています。特に体制の異なる覇権主義的な国家と対峙する上では、抑止力としての力が必要であるという見解には強い説得力があります。

一方で、今回の記事が提起している問題は、国家防衛の必要性そのものを否定しているわけではありません。防衛に必要な「公的な意思決定」と「私的な利益誘導」の境界線が消滅している現状への危機感です。

この問題の本質は以下の2点にあります。

抑止の目的と手段の逆転

本来、軍事力や経済力は国家の安全を「守るための手段」ですが、意思決定のトップに投資家が座ることで、防衛予算の拡大や軍事的緊張の維持そのものが「利益を生む目的」に変質してしまうリスクが指摘されています。

民主的な文民統制(シビリアンコントロール)の形骸化

防衛政策の決定権を持つ者が、同時にその政策によって利益を得る企業の株主や関係者である場合、純粋な国家利益ではなく、個人やファンドのポートフォリオを優先して「危機」が誇張または製造されるのではないかという懸念です。

一部の資本家の利益のために運営され始めた

不当な侵略から国を守るための国力の強化は必要不可欠ですが、その力の管理が「国家と国民の安全」のためではなく、「一部の資本家の利益」のために合法的に運営され始めたとき、結果として国家全体の意思決定が歪められ、かえって安全保障上のリスクを招きかねないという点が、この記事における批判の焦点をなしています。

 

 

なぜトランプの横暴を抑止できないのか

トランプ大統領の権限行使や政権運営に対して司法や立法などのチェック機能(抑制と均衡)が働きにくくなっている主な背景には、三権分立の構造的な変化と、行政組織の抜本的な改革が進んでいることがあります。具体的には以下の3つの要因が挙げられます。

最高裁判所による大統領権限の拡大容認

2026年6月の「トランプ対スローター事件」などの最高裁裁定により、独立行政機関(連邦取引委員会など)のトップを大統領が自身の判断で罷免できる権限が認められました。これにより、これまで大統領の政治的圧力から独立しているとされた機関への直接的な統制が可能になっています。

官僚機構の再編と人事掌握

行政職の雇用制度を変更し、政策に影響を与える幹部や官僚を大統領の意向で解雇・交代しやすくする新たな人事枠(「スケジュールG」や新たな「除外職(Excepted Service)」の枠組み)を導入しています。これにより、政権の意向に沿わない「内部からの抵抗やブレーキ」が排除されやすくなっています。

議会における多数派の支持と超党派の承認

議会が政権与党の支持で動いていることに加え、先の記事にあった軍の高官人事のように、一部の野党議員も賛成に回ることで、大統領が指名した民間投資家出身の閣僚や大胆な予算編成が合法的に次々と承認される土壌が整っています。

 

 

大統領自ら私利私欲で行動している

トランプ氏の政権運営が「私利私欲」に基づいていると批判される背景には、米国の政治システムが本来想定していた「権力の抑制と均衡(チェック・アンド・バランス)」を合法的に無効化する仕組みが整ってしまったという現実があります。

主な要因は次の2点に集約されます。

法制度の合法的な書き換えと司法の容認

かつてであれば違法、あるいは越権行為とされた大統領の行動が、最高裁判所の判決(2026年6月の「トランプ対スローター事件」など)によって「憲法上、大統領の正当な権限である」と認められるケースが増えています。これにより、大統領の行動を縛るための行政的なブレーキ(独立機関の独立性など)が法的に消滅しました。

官僚組織の忠誠派への入れ替え

政権の意向に反する官僚や専門家を合法的に排除・更迭できる人事制度(スケジュールGなど)への再編が進んだ結果、大統領の決定に異を唱える「内部の抵抗勢力」が存在しなくなっています。

「制止するルール」そのものが合法的に書き換えられている

このように、個人の倫理観や公の利益を無視した行動であっても、それを「制止するルール」そのものが合法的に書き換えられているため、周囲の機関がその暴走を抑止できない構造が成立しています。

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