インドネシアで赤ちゃんを売買。行き先はシンガポール等で偽造書類で養子縁組

インドネシアで赤ちゃん売買組織の19人に有罪判決……子どもたちはどうなるのか

  • 救出された子ども(保護中の8人)
    西ジャワ州の社会福祉政府機関の保護下に置かれており、今後は正規の養子縁組手続きや適性調査などを通じて処遇が決定される見通しです。
  • すでに引き渡された子ども(シンガポール等)
    偽造書類で養子縁組が完了しているケースが多く、実親に送り返すのか、現地の養親のもとに残すのかについて、捜査や法的手続きが継続中でいまだ明確な結論が出ていません。

被害に遭った子どもたちの現状と課題

有罪判決が出たものの、被害に遭った少なくとも34人の子どもたちの今後の処遇には大きな課題が残されています。

警察に保護された子どもたち

摘発時に保護された8人の赤ちゃんについては、西ジャワ州の福祉機関に引き渡されました。専門家からは、実親の親権取り消しの検討や、福祉当局・ソーシャルワーカーの観察のもとで適正な養子縁組プロセスをやり直すべきだという指摘が出ています。

海外(シンガポールなど)へ渡った子どもたち

すでに取引が完了し、シンガポールの家庭などに引き渡された少なくとも12人の子どもについては、対応が非常に難航しています。

  • 仲介業者が実母の振りをしたり書類を偽造したりしていたため、追跡や実態把握が困難になっています。
  • 養親側が違法な売買であることを知らずに正規の手続きだと信じて引き取っていたケースもあり、引き離すことが子どもの福祉にとって最善かどうかも含め、両国当局による捜査と法的検討が続けられています。

実親が自発的に手放したケースが多いことや、国境を越えた法手続きの複雑さが影響し、子どもたちの最終的な帰属や法的地位の確定にはまだ時間がかかる見込みです。

 

 

問題が表に出るようになったとして喜ぶべき事なのでは。これまでは事件化出来ず、ニュースにすらならなかった。まず欧米で批判が高まり対策され、他の国にも良い意味で波及してきた

これまでは事件化出来ず、ニュースにすらならなかった

  • 問題の表面化と司法の着手は前進
    闇に葬られていた人身売買が摘発され、報道によって社会的認知や法改正、国際的な法執行の連携が進む点においては明確な前進です。
  • 解決における最大の葛藤
    犯人の処罰が進む一方で、すでに違法な枠組みで暮らしている子どもの環境をどう保護するかという「子どもの最善の利益」の確保には、表に出たからこそ直面する非常に複雑な難題が残ります。

問題表面化の意義と残された課題

水面下で行われていた人身売買が摘発され、公の場で議論されるようになること自体は、悪質な組織を解体し、同様の犯罪を未然に防ぐ仕組み(法整備や養子縁組手続きの厳格化)を作る上で非常に重要です。

欧米や国際社会での人身売買に対する批判や条約(ハーグ条約など)の広がりが、途上国や近隣国の法整備・摘発体制の強化につながったという構造的な広がりも指摘できます。

しかし、事件が表に出たことで新たに直面する課題もあります。

「すでに渡ってしまった子ども」の生活と利益

犯人が逮捕された後、違法に引き渡された子どもを「どう扱うか」という問題です。

  • 法律上の正しさ(違法取引の無効化・実親への返還や保護施設への収容)を優先するのか。
  • 育成環境上の安定(違法とは知らずに育てていた養親のもとで定着している生活の維持)を優先するのか。

事件化されたことで、子ども自身が行政や司法の判断によって既存の生活環境から引き離されるなど、二次的な影響を受けるリスクが生じます。

構造的な要因へのアプローチ

摘発や有罪判決は犯罪組織への打撃となりますが、売買の背景にある「貧困」「未婚の母に対する社会的孤立」「複雑すぎる正規の養子縁組制度」といった根本的な要因が残っている限り、表面化していない別のルートに潜伏する危険性も存在します。

事件化と報道は問題解決に向けた第一歩ですが、そこから生じる子どもの法的地位の確定や救済措置までを包括的に整えることが次の課題となります。

 

 

日本のベビーライフ事件

ベビーライフ事件は、東京都で特別養子縁組のあっせんを行っていた一般社団法人「ベビーライフ」が、2020年7月に突如事業を停止し、代表者が失踪・音信不通となった問題です。

約300万〜500万円という比較的高額な手数料を徴収して海外への養子縁組(国際養子縁組)を数多く推進していた点や、事業停止後に引き継がれた養子縁組関連文書の不足により、渡航した多くの子どもたちの安否や出自確認が困難になっている点が深刻視されています。

団体の設立と突然の事業停止

2009年に設立されたベビーライフは、特別養子縁組のあっせん事業者として約400件の仲介を行っていました。しかし、2020年7月に事前予告なく事業を停止し、代表者との連絡が取れない状態に陥りました。

国際養子縁組と高額な費用構造

同団体が手掛けたあっせんのうち半分以上(約半数〜200件以上)が、アメリカやカナダなど海外の養親への国際養子縁組でした。国内の他団体と比較して手数料が高額(一件あたり数百万円規模)であったことや、国内あっせんよりも海外渡航案件に傾斜していた実態が元スタッフらの証言で指摘されています。

個人情報・個人履歴の散逸と出自を知る権利

事業停止時、団体側は関係書類の一部を段ボールで東京都に送付したものの、必要なデータが網羅されておらず、十分な引き継ぎが行われませんでした。その結果、渡航した子どもたちの安否確認や、将来子どもが自分の出生やルーツを知る「出自を知る権利」の保障が危ぶまれる事態となりました。

行政側の制度的課題と対応

本件を通じて、以下の行政的・法律的課題が明確になりました。

  • 民間あっせん団体が破綻した際に養子情報を保護・一元管理する公的なデータベース(情報バンク)が存在しなかったこと
  • 国際養子縁組に関する出入国管理や実態把握において、省庁間(厚労省・外務省・法務省・自治体)の連携や法律上の規定が不十分であったこと

2018年施行の「養子縁組あっせん法」による許可制導入や、その後の法整備の動きへつながる契機となりました。

 

 

ベビーライフの代表者 篠塚 康智

ベビーライフの代表者の名前は、篠塚 康智(しのづか やすとも)氏です。

補足

事業停止後、篠塚氏は関係者や行政との連絡を絶ち、音信不通となったことで問題が大きくなりました。その後、団体のウェブサイト上で病気療養などを理由とするコメントを発表したものの、あっせん事業に関する十分な説明や必要な書類の引き継ぎがなされないままとなったことが批判されています。

一般社団法人ベビーライフは2009年に設立され、予期せぬ妊娠に悩む生みの親の相談や、特別養子縁組のあっせん事業を展開していました。代表理事の篠塚康智氏は「施設養護に代わる家庭養護」の推進を掲げ、日本こども縁組協会の設立にも関わるなど活動を行っていました。

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