NASAやIPCCの見解
「今の温暖化は太陽の異常活動が原因であり、NASAを含む天文界隈がそれを認めている」という主張は、事実ではありません。
- 科学的コンセンサスとして、近年の地球温暖化の主な原因は「人間活動による温室効果ガスの増加」であるとされています。これはNASAやIPCC(気候変動に関する政府間パネル)、国立環境研究所などの国際的な科学機関の見解です。
- 太陽活動(黒点数やフレアなど)は地球の気温に影響を及ぼす要因の一つですが、過去100年ほど太陽から地球に届くエネルギー量はほとんど変化していません。20世紀半ば以降、太陽活動は横ばいか減少傾向であり、温暖化の主要な原因とは考えられていません。
- NASAも2021年の発表で「人類による活動が地球のエネルギー収支を改変している」と明言しており、太陽活動ではなく温室効果ガス排出が主因であるとしています。
「太陽活動が近年の温暖化の主要な原因であるとは考えられません。CO2をはじめとする温室効果ガスの増加を考えなければ、20世紀半ば以降に観測された温暖化を定性的にも定量的にも説明できないことが明らかになっています。」
まとめ
- 太陽活動が気温に影響することは事実ですが、近年の急激な温暖化は太陽活動では説明できず、NASAを含む主要な科学機関は「人間活動による温室効果ガスの増加が主因」としています。
- 「天文界隈が太陽活動説を認めている」という事実はありません。
- 地球温暖化をめぐるさまざまな疑問に対し、100年以上にわたる観測データと最新の科学的知見をもとに分析・考察した内容となっています。
本書の特徴・内容は以下の通りです。
- 地球温暖化の進行速度や観測の正確性、気候変動の悪影響・好影響、テクノロジーの役割、気候シミュレーションの限界など、素朴で根本的な疑問にデータを用いて答えを探る。
- IPCC報告書や筆者独自の検証、さまざまな文献データを引用し、学際的な視点で地球温暖化を読み解く。
- 構成は論文に近く、第1章「地球温暖化とヒートアイランド」から第9章「科学技術で環境問題は解決するのか」まで、幅広いテーマを扱う。
本書は、地球温暖化の科学的理解を深めたい人、現状の知識や議論の限界を知りたい人にとって、データに基づいた客観的な視点を提供する一冊です。