アメリカで麻薬使用者が多い理由
以下のような複数の要因が複雑に絡み合っています。
- 依存性の高いオピオイド系鎮痛剤(例:オキシコンチン)が1990年代から「常習性が低く安全」と広く宣伝され、医師の処方も簡単になったことで、多くの人が合法的な薬として手軽に入手・使用し、依存に陥る人が急増した。
- 製薬会社が売上を優先し、薬の危険性を十分に知らせずに市場拡大を図ったことで、社会的なオピオイド危機が発生した。
- 貧困、格差、社会的孤立やストレス(特にコロナ禍のような社会不安)が、薬物使用を助長しやすい環境を生み出している。
- アメリカ社会では、薬物依存者を犯罪者として扱う厳罰的な政策が長年主流で、その結果「仕事や住居を得にくい」「社会から孤立する」など、再依存を防げない悪循環が起きている。
- 家族や学校、地域などの社会的ネットワークが弱い場合、薬物問題から抜け出しにくい傾向も指摘されている。
- 医師の処方がきっかけになりやすく、「普通の高校生」や若いスポーツ選手が痛み止めからドラッグに依存する例が多発している。
- 強力な合成麻薬(例:フェンタニル)が広まり、極わずかな量でも命を落とすリスクが高い現状が深刻化している。
このように、医療・製薬業界の構造、社会的格差・孤独、規制や政策の問題、そして薬物自体の危険性が複雑に連動して、アメリカでは薬物使用者が極めて多い状況になっています。
アメリカの麻薬対策
以下のような多角的な取り組みが行われています。
主な内容
- オピオイド危機への対応
近年、医療用鎮痛剤であるオピオイド(フェンタニルなど)の過剰摂取による死亡が大きな社会問題となり、バイデン政権は各州への助成金(2022年は15億ドル)や、薬物中毒者への回復支援、過剰摂取防止教育、救急部門人員の増員などに多額の予算を投じています。 - 2016年包括的依存症回復法(CARA)
この法律により、薬物依存症治療や回復支援、薬物取り締まり、医療従事者や初動対応者への啓発・研修、薬物回収プログラムなど多数の補助金プログラムが制度化されています。 - 取り締まりと国際協力
フェンタニルなどの合成麻薬流入阻止のため、密輸・密売組織の資金流通を断つ対策や、軍事力を含めた「禁圧対策」も強化。2023年には米中首脳の合意により、フェンタニル対策で中国と連携し、資金遮断や流通防止で協力しています。 - 社会啓発・非犯罪化の議論
過去には「Just Say No」(薬物にNoと言おう)などの啓発運動も行われてきました。また、薬物使用の非犯罪化(犯罪として罰するのではなく治療や教育へシフト)を提案する専門家も増えています。
現状と課題
- オピオイドによる経済損失は2020年で1兆5,000億ドルと推計されており、依然として過剰摂取や依存症による死者数の減少には十分至っていません。
- 若年層の薬物事件増加や、フェンタニル流行による新たなリスクが続いています。
このようにアメリカの麻薬対策は、治療・回復支援、取り締まり、国際連携、啓発の組み合わせで進められていますが、依然として深刻な社会問題として継続的な対応が求められています。
- 現代の情報過多な社会において、いかに「知的生活」を能動的かつ創造的に送るべきか、というテーマで書かれた新書です。「知的生活」は、ただ本を読んで勉強するだけのクールなものではなく、日々わくわくしながら自らのクリエイティビティを発揮し、好奇心を加速させるホットな営みであると説かれています。
本書の主なポイント:
- 受け身に情報を消費するだけではなく、知的生活を能動的に楽しむことが重要。スマホやSNSに流されるだけではなく、日々に刺激を取り入れ、成長の喜びを感じるようにすべき。
- 持って生まれた遺伝子よりも「教養=身につけた知識」に重きを置く生き方を勧めています。どんな環境にいても学びを重ねることで人生を切り拓けるとする。
- 不遇な時期や孤独な時間も、将来への糧となる。失敗や逆境を経験値として自分の中に蓄積する重要性を強調。
- 自らの「精神の王国」を持つことで、どんな状況でも心を豊かに保てる。これは趣味や知的関心、深い読書経験などを通じて築かれる。
- ひととの縁が偶然のチャンスをもたらし、人格も磨かれる。「インプット」と「アウトプット」を常に循環させることで、学びと成長が加速するといいます。
全体を通して、知的生活を営む意義と、そのための具体的な技法や視点(例えば美術やユーモアも知性で味わえること、孤独や逆境の活用法、知の応用力など)が紹介されています。齋藤孝らしい分かりやすく実践的な語り口で、モチベーションを高めてくれる内容です。