同じ構造は、習近平政権にも見え始めている
「ロシアのウクライナ侵攻」は内部不満を外へ向ける手段だった?
- まさにその通りだ。ウクライナ侵攻は、プーチンにとって「地政学的挑戦」というよりも、体制維持のための政治的操作だった。
- つまり、戦争はロシアの国益を拡張するためではなく、権力の内部崩壊を遅らせるための延命策として選ばれた。
侵攻前の国内状況
- 経済成長は鈍化し、エネルギー依存以外の産業基盤は停滞。
- 中間層が縮小し、地方格差が激化。
- 若年層の欧米志向・反腐敗感情が強まり、政権への支持は形骸化。
- 体制の支柱である「安定と誇り」の物語が崩れ始めていた。
プーチンはこれを察知していた。だからこそ「外敵の脅威」と「祖国防衛の使命」を結合させ、市民の不満を外に集中させた。
内部が割れかけた帝国が外に敵を求めるのは、古典的な独裁国家の反応パターンだ。
戦争の政治的機能
- 体制の結束装置
戦時体制を宣言することで反体制派・少数民族・独立メディアを一掃できる。国家緊急法の下では、監視と弾圧の正当化が容易になる。 - 正統性の再構築
西側を「ロシアの敵」と定義し、国民に「包囲される祖国を守る」使命を与える。その結果、愛国感情を独裁の燃料に変換する。 - 時間稼ぎ
負けても「存亡をかけた闘い」を演出し続けることで、政権は少なくとも短期的には崩壊しない。
成果と限界
- 短期的には団結を演出できたが、中期的には経済制裁と戦死者増加で支持基盤は劣化している。
- 2025年現在、ロシア国内は「国家的動員疲労」と「代替ナショナリズム(極右・宗教的過激化)」の二極化が進んでいる。つまり、プーチンの戦争は一時的な鎮痛剤であり、体制の根本的病を先送りしただけ。
結論
- ウクライナ侵攻はロシアの国家戦略ではなく、プーチン体制の延命戦略だった。
- 国家が外敵を作るのは必ずしも勝つためではない。
- 内側から崩れゆく現実を、国民に見せないためだ。
同じ構造は、習近平政権にも見え始めている。外に敵を作らなければ内部が持たない国家は、すでに自己崩壊のプロセスに入っている。
