ウソは歴史が証明するだろう。「ソ連が崩壊するまで公表されていたGDP(国民所得)の統計が、実際よりも大幅に水増しされていた」
ウソは歴史が証明するだろう
ソ連のGDP水増しと統計の不透明性
歴史が証明している通り、かつてのソ連(ソビエト連邦)が公表していた経済統計は、実際の経済状況を反映していない大規模な水増しが行われていたことが分かっています。
ソ連崩壊後、旧ソ連の機密文書や詳細な経済データが精査された結果、西側諸国が推計していた以上にその経済規模は小さく、成長率も低かったことが明らかになりました。
統計が歪められた構造的要因
ソ連において統計が歪められた背景には、中央集権的な計画経済特有の構造的問題がありました。
第一に、ノルマの達成が絶対視されていた点です。各企業や地方政府の指導者は、計画された生産目標を達成できなければ厳しい処分を受ける可能性があったため、実績を過大に報告するインセンティブが常に働いていました。
第二に、価格体系の歪みです。市場価格が存在しないため、軍事費や重工業への投資が過大に評価される一方で、消費財の質や不足が経済指標に反映されにくい仕組みになっていました。
現代の統計分析への教訓
このソ連の事例は、現在の中国経済を分析する際にも、多くの専門家が参照する歴史的教訓となっています。
公式発表のGDP成長率が、電力消費量や貨物輸送量といった「ごまかしにくい」実体経済のデータと乖離していないかを検証する手法(李克強指数など)は、まさにこのソ連時代の経験から発展したものです。
当時のCIAなどの外部機関もソ連の経済力を過大評価していた側面があり、閉鎖的な体制下での統計をいかに正確に読み解くかは、現代においても重要な分析課題であり続けています。
統計で中国のウソを語る方法。GDPや失業率にまつわる話はどこまでほんとうか
統計で中国のウソを語る方法の要約
ご提示いただいたスクリプトは、中国の統計データにまつわる誤解や歪曲を、統計学的な視点から検証する内容です。
以下に、主なトピックを要約します。
iPhone部品の統計における誤解
報道番組などで「iPhone部品の半分以上が日本製」と紹介されることがありますが、これは部品の「個数」を基準にした統計のマジックです。
実際には、日本製部品の多くは積層セラミックコンデンサという小さな汎用部品であり、1台のiPhoneに900個以上使用されているため、個数ベースではシェアが高く見えます。
しかし、サプライヤーの拠点数や付加価値(金額ベース)で見ると、中国への依存度は依然として高く、また米国企業の知的財産権が大きな割合を占めているのが実態です。
統計データの信憑性と検証項目
中国の経済状況を判断する際に引用される以下のデータについても、その妥当性が検証の対象となっています。
- 新エネルギー車の販売動向の急変。
- 「独身の日」セールの売上成長率の解釈。
- 若年失業率が実際には46.5%に達しているという研究者の指摘。
- 「李克強指数」に代表される、GDP統計に対する不信感。
- ロジウム・グループなどの外部機関による、実際のGDP成長率の試算。
統計を見る際の基本姿勢
ダレル・ハフの『統計でウソをつく方法』を引用し、平均値と中央値の違いやサンプルの歪み、グラフによる錯覚などを理解することの重要性が説かれています。
他国の状況を日本の尺度だけで測るのではなく、習慣や感覚の違いを考慮した上で、統計データの裏側にある意図を冷静に分析する必要があると結論づけています。
中国の新エネルギー車(NEV)統計に見る「急落」と「歪曲」のメカニズム
中国のNEV市場において「突然売れなくなる」「不自然な成長」といった現象が起きるのは、統計の裏側に補助金政策による需要の先食いと販売実績の偽装という2つの大きなカラクリが存在するためです。
1.補助金打ち切り前の「駆け込み需要」と反動
中国政府は2025年末をもってNEVの購入税全額免除措置を終了し、2026年からは「半額減免」へと段階的に縮小することを決定しています。
統計上の動き: 2025年末にかけて販売台数が爆発的に伸びますが、これは「安いうちに買っておこう」という駆け込み需要です。
カラクリ: 2026年に入った瞬間に販売台数が激減するのは、需要が消失したのではなく、前倒しで消費されただけです。これをメディアが「中国EVの終焉」とセンセーショナルに報じることがありますが、実際には政策変更に伴う統計上の調整期間に過ぎない側面があります。
2.販売台数偽装(自社登録と在庫の積み上げ)
メーカーが政府からの補助金や「クレジット(排出権)」を獲得するために、統計上の販売台数を水増しする手法が常態化しています。
- 手法:
メーカーが自社の系列ディーラーやレンタカー会社、あるいはペーパーカンパニーに対して「販売」したことにし、車両登録(ナンバープレート取得)を済ませます。 - 統計への影響:
これにより、消費者が購入していないにもかかわらず、統計上は「販売済み」として計上されます。 - 実態:
中国各地で見られる「EVの墓場」と呼ばれる広大な空き地に放置された新車群は、この統計操作の結果です。書類上は売れたことになっていますが、実体経済には寄与していません。
3.「内巻(ネイファン)」による市場の共食い
統計上は成長していても、個々の企業の利益が伴わない「内巻(過酷な生存競争)」という現象が起きています。
- 価格戦の歪み:
補助金獲得のために販売シェアを維持しようと、原価割れの価格で販売を競います。 - 統計の罠:
販売台数や普及率は右肩上がりに見えますが、その裏ではメーカーの収益が悪化し、ゾンビ企業化が進んでいます。
専門家としての分析
中国のNEV統計を見る際に最も注意すべきは、「登録台数=消費者の需要」ではないという点です。補助金の獲得や地方政府のノルマ達成という「政治的動機」が数字を押し上げているため、物理的な電力消費量や中古車市場での残価率(値落ちの激しさ)を併せて見なければ、市場の真の健全性は評価できません。
短期的には、政府による財政出動や金融緩和が下支え。将来不安が解消されない限り、消費の本格回復は難しい
中国経済の現状と先行きを分析して
2026年現在の中国経済は、構造的な転換点にあり、成長の質を重視する姿勢を強める一方で、内需の停滞とデフレ圧力という深刻な課題に直面しています。
主要な分析機関の予測と、現在の経済指標に基づく現状と先行きを整理します。
2026年の実質GDP成長率の見通し
多くの専門家や金融機関は、2026年の実質GDP成長率を「4.1%から4.8%」の間と予測しています。
- 大和総研:
4.4%程度(内需減速と補助金効果の一巡を懸念) - ゴールドマン・サックス:
4.8%(輸出の粘り強さと不動産市場の底打ち期待) - みずほリサーチ&テクノロジーズ:
4.4%(補助金反動とインフラ投資減少) - UBS:
4.5%(輸出減速と不動産市場の長期調整)
政府目標(2025年は5%前後)に対し、2026年はより緩やかな減速を容認する「質の高い成長」へのシフトが鮮明になると見られています。
内需を阻む3つの壁
現在の中国経済が抱える「重石」は以下の3点に集約されます。
- 不動産不況の長期化
新築住宅の販売面積は2026年も前年比で数%減少する見込みです。地方都市を中心に在庫の山が積み上がっており、不動産開発投資の減少が経済全体へのマイナス寄与(ドラッグ)となっています。 - 消費補助金効果の剥落
2024年から2025年にかけて実施された家電や電気自動車(EV)の買い替え促進策が一巡し、2026年はその反動減が予想されています。これにより、消費の力強さが欠ける展開が続くでしょう。 - 慢性的なデフレ圧力
消費者物価指数(CPI)の上昇率は政府目標の2%に届かず、0%台から1%程度の低空飛行が続くと見られています。豚肉価格の下落や、過剰生産能力による「内巻(過酷な価格競争)」が物価を押し下げています。
先行きの鍵を握る「第15次5カ年計画」
2026年は中国の「第15次5カ年計画(十五五)」の初年度にあたります。習近平指導部は、単なる規模の拡大ではなく、以下の分野への投資を加速させることで活路を見出そうとしています。
- 技術的自立(AI・半導体):
国産AIチップの生産拡大や、高度な製造業へのシフトを最優先課題としています。 - 産業の高度化:
不動産依存からの脱却を目指し、ハイテク製造業を新たな成長エンジンに据えています。 - 全方位の輸出戦略:
米国の関税障壁を回避するため、ASEANや中東、中南米など「グローバルサウス」への輸出や現地生産を強化しています。
専門家としての分析まとめ
2026年の中国経済は「底堅い輸出」と「冷え込む内需」の二極化がさらに進むでしょう。
短期的には、政府による財政出動(国債発行など)や金融緩和が下支えとなりますが、家計の将来不安が解消されない限り、消費の本格回復は難しいと考えられます。投資家や企業にとっては、公表されるGDPの数字以上に、電力消費量や実質的な雇用情勢など、実体経済を反映する「補完的指標」の注視が必要なフェーズが続きます。
2026年の実質GDP成長率を「4.1%から4.8%」との見方は「過去のGDPが中国政府の発表が正しい」という前提での算出では?「中国政府の発表するGDPは水増しされている」という説を考慮するとゼロ成長の可能性
中国がマイナス成長に陥っている可能性すらある
中国GDP統計の「水増し」を考慮した実態分析
あなたが指摘するように、多くの国際機関が発表する4%台の予測値は、中国国家統計局(NBS)が公表する過去のデータを起点とした推計に基づいています。
もし「公表値に数パーセントの水増しがある」という仮説(実態は2%〜3%程度であるという説)に立つならば、2026年の実態経済がゼロ成長、あるいはマイナス成長に陥っている可能性は十分に議論の対象となります。
この問題を専門的な視点で深掘りします。
1.「水増し」を考慮した実質的な成長率
米国の調査会社ロジウム・グループや、フィンランド銀行(BOFIT)などの独立系分析機関は、中国の公式GDPは実態の約半分であるという試算を繰り返し提示しています。
ロジウム・グループの試算: 2025年の公式発表が5%前後であっても、実態は2.5%〜3.0%程度であったと分析しています。
2026年のリスク: この「実態ベース」で2026年を予測すると、不動産不況のさらなる悪化や消費の冷え込みが重なれば、実質的な経済活動が停滞(ゼロ成長)するシナリオは否定できません。
2.ゼロ成長を示唆する「物理的指標」の乖離
統計の歪みを排除するために、物理的な数字(李克強指数に近い指標)で見ると、より厳しい現状が見えてきます。
名目GDPと実質GDPの逆転: 2024年から2025年にかけて、物価変動を含まない「名目GDP」が「実質GDP」を下回る現象(GDPデフレーターのマイナス)が続いています。これは経済全体がデフレに陥っている証拠であり、企業の利益や個人の所得が「額面通り」に増えていない、つまり体感的にはゼロ成長に近い状態であることを示しています。
電力消費と貨物輸送: 生産現場の稼働を示す電力消費量の伸びが鈍化し、鉄道貨物輸送量が停滞している場合、GDPだけが4%伸びることは物理的に不自然です。
3.なぜ「ゼロ」と言われないのか
専門家がゼロ成長という言葉を慎重に避けるのには、いくつかの理由があります。
新産業の埋め合わせ: 不動産という「旧経済」がマイナス5%の影響を与えていても、EVや半導体などの「新経済」がそれをプラスで補っているという計算です。
財政出動による下支え: 中国政府は地方債務の肩代わりや国債の発行により、無理やりにでも投資(インフラ建設など)を積み増します。この「政府支出」がGDPの数字を物理的に底上げするため、統計上でゼロにするのはむしろ難しいという側面があります。
専門家としての分析まとめ
もし中国が「日本と同じ統計基準」で算出していたなら、現在の不動産バブル崩壊の規模からして、2026年は実質ゼロ成長、あるいは深刻な景気後退と判定されていてもおかしくない局面です。
公式発表の4%台という数字は、あくまで「中国政府がコントロール可能な範囲での着地目標」と捉えるのが、投資やビジネスの実務においては賢明です。

コメント