中国の消費者は「爆買い」から「理性的・価値重視」へ

激変する中国 爆買いの勢いはどこに

“熱狂”は戻らず 「618商戦」に見る中国消費の変化

  • かつて“爆買いの祭典”として熱狂的な盛り上がりを見せた中国の「618商戦」ですが、2025年の現場ではその熱気が明らかに後退しています。

取引総額は過去最高、だが熱狂は戻らず

  • 2025年の「618商戦」は、史上最長の39日間に拡大され、取引総額は前年比15.2%増の8,556億元(約17兆円)と過去最高を記録しました。
  • しかし、現場の雰囲気はかつてのような熱狂から大きく変化。ライブ配信の視聴数や人気配信者の登場は減少し、物流現場も静かで「残業はほとんどなかった」と語る配達員も多いという報道があります。

消費者心理の変化と背景

  • 消費者の間では雇用不安や賃金の伸び悩みが広がり、積極的な消費意欲が低下しています。
  • これまでの「割引で爆買い」から、Z世代を中心に「タイパ(時間対効果)」「コスパ(費用対効果)」重視の計画的・理性的な消費行動へとシフト。
  • 日用品の計画購入や、環境配慮・循環経済を意識した「価値ある消費」への関心も高まっています。

セール手法・販促戦略の多様化

  • 各ECプラットフォームは、即時割引やVIPクーポン、価格保証制度など割引方法を多様化。
  • セール期間が長期化し、テーマ型セールや旅行・観光分野との連携など、販促の幅も広がっています。
  • かつて売上を牽引したライブコマースも、視聴数低迷や人気配信者の減少で勢いが鈍化しています。

今後の展望

  • 「618商戦」は依然として中国最大級のECイベントであり、取引総額は右肩上がりを維持しています。
  • しかし、消費者の購買行動は“爆買い”から「計画的・価値志向」へと大きく変化しており、従来の熱狂的な盛り上がりは戻っていません。
  • 「618セールはもはや割引の祭典にとどまらない。環境配慮や循環経済を軸とした『価値ある消費』のあり方を提示し始めている」

まとめ

  • 取引総額の拡大は続く一方で、消費者の熱狂や現場の盛り上がりは大きく後退。
  • 中国消費市場は「爆買い」から「理性的・価値重視」への転換期を迎えています。