ブリッジウォーター 中国株中心の投資スタンスから、アメリカのハイテク集中型に移行

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レイ・ダリオ

2025年08月19日 ブリッジウォーターとレイ・ダリオの見解とは大きく異ってきた

世界最大のヘッジファンド Bridgewater(ブリッジウォーター・アソシエイツ) が、創業者レイ・ダリオ氏が「割高」と語っていた米国ハイテク株(NVIDIA、Microsoft、Alphabetなど)を大きく買い増ししていることが明らかになった。これはダリオ氏の発言と真逆の行動に見えるが、その背景には経営体制の変化がある。

主要ポイント

1. ダリオ氏の見解

  • AI関連の成長株(特に「マグニフィセントセブン」)は、楽観的な将来利益予測を考慮しても「かなり割高」と評価。
  • 代表例としてNVIDIAやMicrosoftを名指しで懸念していた。

2. Bridgewaterの保有銘柄(2025年06月末時点)株式ETFを除く上位は以下の通り:

  • NVIDIA:約11億ドル
  • Alphabet:約10億ドル
  • Microsoft:約9億ドル
  • Meta:約6億ドル
  • Salesforce:約4億ドル

AI関連の巨大テック企業が軒並みトップに。

3. ダリオ氏と経営陣の対立

  • ダリオ氏は2022年に引退後、経営陣と意見対立。
  • 運用成績悪化を受け、経営権回復を試みたが、CEOや共同CIOらに拒否された。
  • 最終的にBridgewater株をすべて売却し、完全に経営から退いた。

4. 新生Bridgewaterの戦略

  • ダリオ氏の意向が反映されなくなり、チーム主導での銘柄選択へ移行。
  • 2025年04月の米株安で下落したタイミングを狙ってハイテク株を買い増しした可能性が高い。
  • 経済合理性に基づく「短期戦術的な買い増し」と見られる。

5. 中国株の縮小

  • ダリオ氏は長年中国株強気論者だったが、今回の開示ではAlibabaやBaiduといった保有がほぼ消失。
  • 「ポスト・ダリオ時代」のBridgewaterは米国株寄りの戦略へシフトしている。

結論

  • Bridgewaterの現在の投資方針はダリオ氏の見解とは大きく異なり、経営陣の判断が前面に出始めている。ハイテク株の買い増しは、株価調整時に合理的なリスクテイクを行った結果と見られる。一方で、中国株中心の投資スタンスは大幅に後退し、米国ハイテク集中型に移行した。

 

 

2024年04月23日 ダリオ氏考案の戦略が失速、成績低迷で投資家離反-かつての人気暗転 ダリオ氏考案「リスクパリティ」戦略の失速と投資家離反

  • レイ・ダリオ氏が率いたブリッジウォーター・アソシエーツの「リスクパリティ」戦略は、リーマンショック後のリスク回避志向やコロナ後の経済動乱を追い風に人気を集め、機関投資家から多額の資金を集めてきました。しかし、ここ数年でその戦略のリターンが著しく低迷し、多くの投資家が資金を引き揚げる事態となっています。

主な事象と背景

  1. リーマンショック後のブーム
    2008年以降、「リスクを資産ごとに均等化し、分散投資によって安定的なリターンを目指す」とする売り文句で急速に残高を増やしました。
  2. 直近5年の成績低迷
    ここ5年間、株式60%・債券40%の伝統的な「60/40ファンド」に後れを取り続けており、長年の支持者や大口機関投資家の中にも失望・離脱が相次いでいます。ファンド残高はコロナ禍直後のピーク時(約1600億ドル)から2023年末には約900億ドルへと大きく減少しました。

リスクパリティ戦略の特徴と課題

  1. 戦略の核
    各資産(株式、債券、コモディティなど)に対し、リスク(ボラティリティ)の寄与度が均等になるよう分散し、リバレッジ(借り入れ)も活用。
    市場急変時のダウンサイドリスクへの耐性を理論的にアピール。
  2. 構造的な弱点
    過去データ重視のモデルに依存しやすく、相関関係や市場環境が急変した際はモデルが後手に回るリスクがある。
    特に22年の米国債下落(債券価格下落+金利上昇)時、ほとんどのリスクパリティ型ファンドが大幅な損失を計上。
    レバレッジ使用に伴うダウンサイド拡大の懸念も指摘されている。

主な投資家の動向

  • ニューメキシコ・オレゴン・オハイオ等の州年金基金など、米大口機関投資家が投資を停止もしくは大幅減額。
  • 特に、オレゴン州投資評議会は2022年の年間6%程度の損失を受け、リスクパリティ戦略への新規投資を停止。
  • 制度投資家やファンド業界関係者の声として、

「金融危機の時だけは成功したが、それ以後は期待ほどでなかった」(年金ファンド関係者)

ファンド運用会社側の見解と今後の展望

  • ブリッジウォーターやAQRなどリスクパリティ主要運用会社は、足元の低迷は一時的な環境要因であり、長期目線では引き続き優れたリターンが期待できると強調。
  • 一方で、マクロ市場の構造変化やモデルの見直し、技術革新などに追従する必要性がかつてなく高まっている。

まとめ

  • リスクパリティ戦略は、一時は魅力的な分散投資アプローチとして絶大な人気を誇りましたが、市場環境の大変動や金利上昇局面での実績低迷を背景に、資金流出や評価の見直しが進んでいます。今後も市場・マクロ環境との相性や、設計・実装の巧拙が一層問われる状況です。

 

 

2025年04月09日 ダリオ氏、世界は「一生に一度」の経済・政治秩序の大崩壊に直面

  • レイ・ダリオ氏が警告する「一生に一度」の世界秩序崩壊

背景

  • ヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」創業者のレイ・ダリオ氏は、トランプ政権による新たな関税政策や米国の急激な債務拡大が、世界経済や金融、政治秩序にかつてない大混乱をもたらすと強く警鐘を鳴らしています。

ダリオ氏の主張の要点

  1. 関税だけに注目するな
    投資家や政策担当者が関税問題に目を奪われるあまり、「一生に一度しか起きないかもしれない」ほどの経済・金融・政治・地政学的な秩序の崩壊リスクに十分な注意を払っていないことをダリオ氏は危惧しています。
  2. 根本的な要因は“米国発の過剰債務”
    米国は過剰な財政支出と新たな借入れで生活水準や経済を維持しようとしています。一方、主に中国などの債権国は米国のような債務国への輸出およびドル依存に頼らざるを得ない状況です。
    この「債務国・債権国の構図」が、大きな貿易・資本不均衡を生み、やがて修正圧力が爆発的に高まるだろうと予想されます。
  3. 米中の相互依存の終焉と世界の再編
    トランプ関税の拡大や米国の“アメリカ・ファースト”政策により、米中を中心とした経済圏が分断―脱グローバル化が本格化しています。
    輸入業者や輸出国はすでにアメリカ依存からの脱却・新たな貿易・決済ネットワークの模索を始めており、これは国際通貨体制や貿易秩序の大再編につながる可能性が高いという見解です。

具体的な変化の兆候

  • 経済・通貨秩序 米国の債務は持続不能、不均衡の是正圧力でドル体制が揺らぐ
  • 貿易・グローバル化 関税導入・相互依存縮小でデカップリングが進行
  • 政治・社会 国内外で所得や価値の格差拡大、民主主義の弱体化・独裁の台頭
  • 地政学的秩序 米国主導の多国間協調は後退し、単独行動主義が台頭

歴史的文脈と今後への警告

  • このような国家的な経済・金融秩序の循環的崩壊は、歴史的にも世界恐慌前後の1930年代や、1970年代のスタグフレーション時代などと類似しているとし、過去の教訓を軽視すべきでないと強調しています。
  • 「どのような通貨政策や金融政策が打ち出されても、根本的な不均衡を無視したままでは混乱から逃れられない」とし、ビットコインや金など“ハードマネー資産”へのシフトを推奨している発言もあります。

まとめ

  • ダリオ氏は、関税の論点を超越した根源的な経済・金融・社会システムの断層に注視する必要を訴えています。
  • 「もし現状の根本的な不均衡や格差、資本・貿易不均衡を是正しないままでいれば、想定外の大混乱が世界経済・政体・国際秩序を襲う」との警告が、今まさに現実化しつつあることを示唆しています。

 

 

2024年01月24日 ダリオ氏のブリッジウォーター、中国株に強気-長期の売りで割安感

  • ブリッジウォーターの中国株・債券投資戦略と現状

概要と最新動向

  • レイ・ダリオ氏率いるブリッジウォーター・アソシエイツは、長期低迷による中国株のバリュエーション(割安感)を「魅力的」と評価し、引き続き「中程度に強気」なスタンスを維持しています。
  • 2024年1月、同社の中国プライベートファンド運用部門は現地投資家向けロードショーで、「株式は保有する価値がある」と説明。特に長期の下落によって相対的な割安感が増していることを強調しました。
  • 同時に、中国債券についても「中程度に強気」とし、経済成長支援のための金融緩和政策や金利低下の余地がリターンに貢献しうる点を指摘しています。

市場環境と直近の動き

  • 直近(2024年1月)の中国株は、大幅下落(CSI300指数が5年ぶり安値)を記録し、失望売りや投信閉鎖の急増など投資家心理も悪化しました。
  • その直後、中国政府による大規模な市場救済案(約2780億ドル)や、李強首相による株価安定指示が報道され、市場は一時的に持ち直しています。ただし根本的な回復にはまだ懐疑的な見方が強いです。

戦略とリターン

  • ブリッジウォーターの「オール・ウェザー・プラス」戦略(株式・債券・コモディティ等の複数資産クラスで分散運用)は、2023年に手数料前で10.8%のプラスリターンを記録しました。
    • 株式部分は3.1%のマイナス寄与でしたが、債券とコモディティ(商品)からのリターンが全体を押し上げました。
    • チームによるアクティブ運用部分も0.9%の収益。
  • コモディティには「中程度に弱気」。不動産セクターのレバレッジ縮小(負債圧縮)により、工業用金属等への価格圧力が継続している点が理由です。
  • オンショア運用資産は**約400億元(約8300億円)**に拡大。近年の好成績が投資規模の拡大に寄与しています。

参考情報および補足

  • 株式スタンス 「中程度に強気」:割安感・長期的下落後のバリューに注目
  • 債券スタンス 「中程度に強気」:成長支援・金融緩和と政策金利低下期待
  • コモディティ 「中程度に弱気」:不動産のレバレッジ縮小で工業用金属などに逆風
  • 運用資産規模 2024年時点で約400億元(約8300億円)、中国最大級ヘッジファンド
  • 主な運用戦略 マルチアセット型全天候型戦略、「割安に注目した選別投資」

全体評価

  • ブリッジウォーターは中国景気の不確実性や政策リスクを認識しつつ、「割安に選別して投資する」態度を見せています。
  • 株式の大規模買い増し(例:アリババ株を2025年第1四半期に大幅増)など、リスクを取りつつ強気姿勢を崩していません。
  • マクロ環境によってはポジションを調整する柔軟性もあり、従来の分散・リスク管理重視の姿勢を維持しています。

 

 

2023年02月21日 ダリオ氏引退、世界最大ファンドが数十億ドルの支払い保証-報道

概要

  • 世界最大のヘッジファンド運営会社、ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者であるレイモンド・ダリオ氏が、数カ月に及ぶ交渉を経て引退を決断した背景には、会社から数十億ドル規模の支払い保証があったことが報じられています。

引退の経緯と背景

  • ダリオ氏は1975年にブリッジウォーターを創業し、長年にわたり最高経営者や最高投資責任者などの役職を歴任してきましたが、2022年までに経営の一線から段階的に身を引き、2023年に正式に経営権を譲渡しました。
  • 報道によると、ダリオ氏の退任をめぐる交渉は6カ月以上にわたり、支払額について激しいやりとりが続いたとされています。
  • 合意の下、ダリオ氏はブリッジウォーターの重要な決定権を完全に手放す一方で、今後数年間にわたり特別クラス株式を通じた定期的な支払いを受け取ることとなりました。

支払い内容

  • ダリオ氏の資産規模はおよそ190億ドル(約2兆5500億円)とされ、支払われる金額も数十億ドル規模になる可能性があると報じられています。
  • この合意内容については、公にすることで訴訟リスクがあるため、関係者の匿名証言として伝えられています。

経営陣と組織改革

  • ダリオ氏の退任後、経営は取締役会主導となり、現在は共同CEO体制のもとで新しい方針が進められています。
  • ブリッジウォーターは、今後のさらなる収益性向上やコスト削減など、組織改革にも着手しています。

引退の要因

  • 交渉による支払い保証に加え、中国の人権状況を巡る発言が一因となり、退任決定に至ったと一部報道で伝えられています。

まとめ

  • レイ・ダリオ氏の完全引退は、事実上、経営権移譲のために数十億ドル規模の定期支払いが保証されたことによるものでした。
  • ブリッジウォーターはこの転換点を機にAI導入や分野拡大など新戦略を打ち出しています。

今後のブリッジウォーターの動向とダリオ氏の影響力には引き続き注目が集まっています。

 

 

2023年02月15日 レイ・ダリオ氏、中国は米国との貿易戦争に勝利しつつある

発言の要点

  • ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者のレイ・ダリオ氏は、2023年2月の会議で「中国は米国との貿易戦争に勝利しつつある」と述べました。
  • ダリオ氏は中国人民元の国際貿易での利用増加を指摘し、世界貿易における中国のシェア拡大が「貿易戦争の勝利」を示していると評価しました。
  • 「真の勝者は米国と中国の両方と関係を持てる国・人だ」という考えを示しています。

米中関係の現状とリスク

  • ダリオ氏は、米中両国が依然としてさまざまな分野で対立しており、「危険なほど戦争に近づいている」と警告しています。
  • ただし、「まだ戦争が実際に起きたわけではなく、うまくいけば武力衝突は避けられる」との見解も示しています。

米国の内政問題への懸念

  • ダリオ氏は「米国にとって最大の脅威は国内にある」と主張しています。
  • インフラや教育、リーダーシップの劣化、政治の分断、オピオイド危機、所得格差拡大が米国衰退の象徴であるとし、「内側が強ければ外側の問題にも耐えられる」と述べています。

補足情報

  • 米中貿易摩擦は依然続いていますが、中国側は他国との貿易を多角化し、米国の関税に対して即座に対応することで大きなダメージを回避しています。
  • 米国側では関税政策が国内経済や政治の混乱と直結し始めており、グローバルな経済システム全体の再編につながっているとの指摘もあります。

まとめ:

  • レイ・ダリオは「データを見るかぎり中国は貿易戦争で優勢」と評価しており、米中対立の激化は続くものの、最も警戒すべきは米国の国内問題だと指摘しています。

 

 

30分で判る 経済の仕組み Ray Dalio

 

 

「Principles For Success(成功の原則)」レイ・ダリオ著(30分版)

  1. 成功の原則 苦痛+反省=成功
  2. 現実を受け入れ、それに対処する
  3. 5段階のプロセス 目標 問題 診断 計画 実行
  4. 奈落の底
  5. すべては機械である
  6. 2つの障壁 エゴ 盲点
  7. 徹底的にオープンマインドになる
  8. 奮闘する

 

 

 

PRINCIPLES FOR SUCCESS 成功の原則
B08TBTC2DL

  • ヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」創業者レイ・ダリオが、自身の経験から導き出した成功の原則をまとめた書籍です。ダリオは人生と仕事の両面で多くの試練を乗り越え、明文化された原則に基づいて判断と行動を繰り返すことで、結果を出してきました。

主な内容は以下の通りです。

  • まず現実をありのままに認識し受け入れること(ハイパーリアリズム)
  • 明確な目標設定と、問題を直視し根本原因を診断、計画を立て、実行する5段階プロセス
  • 頭を柔らかくし、他者の意見も受け入れる「ラディカル・オープンマインドネス」
  • 人それぞれの性質や思考パターンを理解し活かすこと
  • 論理と事実に基づいた効果的な意思決定

組織運営においても、透明性のある文化の確立、間違いを恐れず学ぶ姿勢、信頼に基づく公平な評価と人材配置など、多くの原則が展開されます。

この書では、原則を自分のものとして書き留めて継続的に改善することが成功への鍵と説かれており、人生や仕事の計画や困難への対処法として幅広く応用可能な普遍的な教えが提示されています。成功の土台となる真理や仕組みを体系的に理解したい人に向いています。

 

 

目次
自分の人生に100パーセント責任を持つ
できると信じる
自分の欲しいものを決める
自分の存在意義を明確にする
ポジティブな信念を持つ
目標設定の力を活用する
ブレーキを解除する
欲しいものを見て、それを手に入れる
リハーサルする
第一歩を踏み出す
恐怖心と向き合う
進んで代償を払う
助けを求める
拒絶をはねのける
フィードバックを活用して前進する
七面鳥とつき合わず、ワシとともに飛躍する
成功を積み重ねる
褒美に狙いを定めて粘り抜く
最高の自分になるためにベストを尽くす
今すぐに始める

 

 

 

レイ・ダリオ著 「変わりゆく世界秩序」

 

 

 

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