中国不動産バブル崩壊が進行すれば、さらに多くの中国・香港資本が日本不動産に流入

一方で、中国本土の経済悪化が深刻化しすぎると、逆に日本不動産の売却圧力が高まり、価格下落リスクも

中国の不動産不況と円安 香港・中国資本が日本の高級住宅に大量流入

中国不動産の低迷で 香港資本が日本に殺到

  • 中国本土の不動産市場は恒大集団など大手デベロッパーの経営危機以降、深刻な不況が続いています。販売額の落ち込みや住宅在庫の積み上がりが顕著で、回復の兆しは見えていません。この影響で中国国内の投資リターンは大幅に低下し、投資家は資金の運用先を海外に求めるようになっています。
  • 特に香港や中国本土の富裕層は、円安と日本の不動産価格の割安感を背景に、日本の高級住宅や不動産市場への投資を加速させています。東京の高級物件では2億円超の物件が即日完売する事例も珍しくありません。

投資規模と動向

  • 2025年第1四半期、グローバル投資家は日本の住宅市場に112億ドル(約1兆6千億円)を投資し、過去5年平均を6%上回りました。投資元の上位3地域はアメリカ、シンガポール、香港であり、中国本土の投資家も約10億ドル(約1500億円)を日本の住宅市場に投資しています。これは過去5年平均の2倍以上という急増ぶりです。

なぜ日本不動産が選ばれるのか

  • 円安により日本の不動産が相対的に割安
  • 日本市場の安定性と4~5%の高い利回り
  • 中国本土の不動産不況による資金逃避先としての魅力
  • 日本への渡航規制緩和で現地視察や購入が容易になった

今後の見通しとリスク

  • 中国不動産バブル崩壊が進行すれば、さらに多くの中国・香港資本が日本不動産に流入する可能性があります。一方で、中国本土の経済悪化が深刻化しすぎると、逆に日本不動産の売却圧力が高まり、価格下落リスクも指摘されています。

まとめ

  • 中国本土の不動産不況と円安を背景に、香港や中国本土の資本が日本の不動産市場、特に高級住宅に大量流入しています。今後もこの傾向は続く見通しですが、中国経済の動向次第で日本市場にもリスクが及ぶ可能性があるため、注意が必要です。

中国の主要都市(上海・北京など)で商業エリアの活気が急速に失われた

商業の灯が消える街 上海・北京で見え始めた空洞化

  • 中国一線都市で進行する「商業の灯が消える」現象の実態

概要

  • 近年、中国の主要都市(上海・北京など)で商業エリアの活気が急速に失われ、かつての賑わいが消えつつある現象が各所で報告されています。この背景には経済成長の鈍化、人口減少、国際情勢の変化、不動産市場の冷え込みなど、複合的な要因が絡んでいます。

主要な現象とその背景

1. 商業エリアの閑散化

  • 上海の淮海路や南京路など、かつて人で溢れていた繁華街でも、昼夜を問わず人通りが激減し、多くの店舗が閉店しています。
  • 北京の有名商業施設でも9割の店舗が閉店するなど、空洞化が顕著です。
  • 新しく建設されたショッピングモールも十分な集客ができず、開業直後から閑古鳥が鳴くケースが増えています。

2. 不動産・オフィス市場の冷え込み

  • オフィスビル市場では賃料の大幅な下落と空室率の上昇が進行。高級オフィスビルでも買い手がつかない状況が続いています。
  • 住宅市場も買い手市場となり、中心部の古い住宅は30%以上値下がりするなど、価格下落が顕著です。

3. 経済・人口構造の変化

  • 中国経済の成長鈍化と人口減少が根本的な要因。上海の人口は歴史的な減少に転じ、地方からの流入も減っています。
  • 外資系企業の撤退や投資減少が顕著で、2024年の外資流入は前年比90%減というデータもあります。

4. 国際情勢とサプライチェーンの変化

  • 米中対立や関税強化、サプライチェーンの再編により、外資や中国企業の東南アジア移転が加速。沿海部の製造業都市でも工場稼働率が低下し、経済活動の停滞が目立っています。

背景要因のまとめ(主な要因・・・具体的現象・影響)

  • 経済成長の鈍化・・・消費マインドの低下、実店舗利用の減少
  • 人口減少・・・都市人口の流入減・転出増、需要縮小
  • 不動産過剰供給・・・空室率上昇、賃料下落、投資回収困難
  • 国際情勢悪化・・・外資撤退、輸出減少、サプライチェーン移転
  • ネット通販普及・・・実店舗売上減、卸売市場のネット化

現地の声と今後の展望

  • 市民や経営者からは「今の上海はもはやかつての上海ではない」との声が上がり、実体経済の衰退を実感する人が増えています。
  • ネットショッピングや郊外への消費分散も一因ですが、根本的には構造的な経済縮小が主因とみられます。
  • 今後も都市部の商業空洞化と不動産市場の調整が続く可能性が高いと考えられます。

「上海の常住人口は2400万人を超えると言われていますが、巨大なショッピングセンターを作りすぎた結果の過当競争の一部を切り取っただけの現象とも言える」

結論

  • 上海・北京など中国一線都市で見られる「商業の灯が消える」現象は、経済成長の鈍化、人口減少、外資撤退、不動産過剰供給、国際情勢悪化など多層的要因が絡み合った構造的な問題です。今後もこの傾向が続く可能性が高く、都市の商業・不動産の再編が避けられない状況となっています。

急速な人口減少 都市部への人口流入の停止・逆流 高齢化と死亡率の上昇

北京・上海・広州・深センの人々はどこへ行ったのか?

都市の閑散化が進む現状

  • 近年、中国の主要都市である北京、上海、広州、深センでは、かつて賑わっていた商業地や街角が著しく閑散とし、「無人村」と呼ばれる現象がネット上で話題になっています。ショッピングモールや公共交通機関も利用者が激減し、街中で人影がほとんど見られない状況が続いています。

人口減少の実態と背景

  • 公式統計によれば、2024年末時点で中国本土の人口は14億828万人とされていますが、前年より139万人減少しており、3年連続で人口減少が続いています。一方で、現場の体感やネット上の声では、実際の人口減少は統計以上に深刻で、「せいぜい7~8億人しかいないのでは」といった推計や疑念も出ています。2022年には上海市公安局のデータベース流出事件があり、そこに含まれていた個人情報が10億人分しかなかったことも、こうした疑念を後押ししています。
  • AIによる推計や消費データの分析では、パンデミックの3年間で中国の人口が1.5億~2億人減少した可能性が指摘されており、食塩消費量などから8億~10億人程度にまで減少したという見方もあります。

人口減少の主な要因

  • 少子化:合計特殊出生率は1を下回り、2025年には0.9になるとの予測もあります。
  • 非婚化・晩婚化:婚姻数はピーク時の半分以下に激減し、若者の間で結婚や出産を望まない傾向が拡大しています。
  • 死亡率の上昇:高齢化の進行や、コロナ禍での超過死亡が指摘されており、特に農村部では若年層の死亡も増えています。
  • 経済的要因:都市部の住宅費や教育費の高騰、雇用不安、経済成長の鈍化などにより、都市生活の魅力が低下しています。

都市から人が消えた理由

  • 都市部の人口流入が止まり、地方出身の出稼ぎ労働者が都市を離れるケースが増加。
  • 工場の閉鎖や倒産、雇用機会の減少で都市部にとどまるメリットが薄れた。
  • 住宅や商業施設の空室率が上昇し、家賃も下落傾向。
  • 公式統計では人口増加が報告されている都市でも、現実には人が減っている体感が強い。

農村部や地方の状況

  • 都市だけでなく、地方都市や農村でも人口減少・高齢化が進み、学校の生徒数減少や過疎化が深刻化しています。

結論

  • 北京・上海・広州・深センの人々が「どこへ行ったのか」という問いに対し、現時点で明確な一つの答えはありませんが、主な要因は「急速な人口減少」と「都市部への人口流入の停止・逆流」、そして「高齢化と死亡率の上昇」によるものです。都市から地方や農村に人が移動したというより、全体的な人口そのものが減少し、都市・地方を問わず「人がいない」現象が広がっているのが実態です。

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