2025年10月03日 反日宣伝よりも消費欲 中国の大型連休で訪日需要が拡大
- この記事は、中国の10月大型連休における旅行動向を伝えており、政治的な反日宣伝と実際の消費行動の乖離を示しています。要点は以下の通りです。
中国の政治宣伝と反日感情
- 中国共産党は「抗日戦争勝利80周年」を国内で大々的に宣伝し、731部隊を題材にした映画などで反日感情を煽る動きを続けている。
- 狙いは、景気減速や不動産不況、若年層の失業率上昇といった構造的問題に対する不満を、歴史問題に転嫁して国民の不満を和らげること。
一方で拡大する訪日観光需要
- 中国人の旅行需要は官製宣伝とは逆の方向に動いており、訪日観光は依然として人気。
- 大手旅行サイト携程網(シートリップ)のデータによると、2025年10月の大型連休における海外旅行先ランキングは「大阪1位、東京2位、ソウル3位」。
- 円安が追い風となり、日本旅行は定番人気からさらに上昇。大阪では食べ歩きやショッピングが中心で、予約は前年比20%以上増加。
庶民意識と実際の行動
- 多くの旅行者は「個人旅行であり政治とは関係ない。楽しみたいから日本に行く」と語っており、イデオロギーよりも消費欲望や娯楽が優先されている。
- 政権の対外プロパガンダと庶民の旅行嗜好の落差は、中国社会の現実を象徴するものとされている。
つまり、中国では政権側が反日を煽っても、庶民は円安や観光魅力を理由に日本を選び続けており、経済的な消費欲が政治的宣伝を凌駕している状況です。
中国共産党は「反日感情」をいかに刷り込み政治利用してきたのか?
中国共産党は反日感情を政治的に利用するために、
1970年代後半から意図的に反日感情を人工的に作り上げてきた。
もともと毛沢東時代は反日感情は強くなく、マルクス主義の階級論に基づき敵は資本家・地主であり、日本人労働者は連帯の対象だった。しかし鄧小平が社会主義市場経済の導入を進める中で、共産党独裁の正当化のために反日を民族主義の道具として使い始めた。
1985年には「南京虐殺」記念館が建設され、
1989年の天安門事件後は反日を「愛国教育」の柱として強化。
1994年には「愛国主義教育実施綱要」を発表
し、学校やメディアを通じて反日プロパガンダが体系的に行われるようになった。
江沢民時代には「日本に対して永遠に歴史問題を言い続けよ」という指示
も出ている。
こうした反日は共産党独裁体制の正統性を高め、内政の不満の矛先を外に向ける効果を狙ったもので、日本の謝罪や経済支援に対しても反論せず謝罪を繰り返す日本政府の対応に不満を持つ声もある。
近年では中国の経済低迷による国民の不満を逸らすため
に反日プロパガンダがさらに強化され、子どもたちへの歴史教育や映画、メディアでの反日宣伝が盛んに行われている。在日中国人の証言によれば、こうした刷り込みが独裁政治の危うさを示すとも語られている。
中国の世論工作と他国の手法の違い
- 厳格な国内言論統制との結合
中国共産党は国内において思想統制と言論統制を極めて強化している。西側諸国の「普遍的価値」やリベラル思想を排除し、共産党の権威と中国独自の価値観を強調する政治思想教育を徹底している。この国内統制の枠組みのもとで、国際世論操作も党の指導の下に行われる。 - 国際的にはイデオロギー色を抑制しつつ影響力拡大
中国は国際的な話語空間の中で自国の正当化を目指すが、あまりにイデオロギー色が強いと国際的な受容性が落ちるため、「話語体系」のイデオロギー化は抑制するというジレンマを抱えている。 - 組織的かつシステム的なネット世論操作
中国政府はIT企業と連携し、SNSのアカウント乗っ取りを含む大規模な世論操作システムを構築している。国家による管理が明確に存在し、動的かつ統制された世論誘導を行う仕組みをもつ。 - 他国との比較
他国の世論工作は概して多様で、民主的な国々では世論の自由度が高いが、中国は国家権力が強力に介入し、情報操作の範囲と手法が非常に一元管理されている点が特異である。西側諸国のプロパガンダや情報戦は対抗手段が複数存在し、政府が全面的に言論を管理するスタイルではない。
つまり、中国の世論工作は強力な独裁体制と情報統制を背景に、国内外両方で徹底的に管理・操作される特徴を持つ一方、他国は多様な政治環境や言論自由度の違いにより、より分散的で多元的な世論工作が行われているという違いがある。