2024年02月21日 【ウクライナ戦争丸2年】もうホンネの話をしようよ~アメリカの「10の諸悪」
塩原俊彦氏は、ウクライナ戦争が始まって2年を迎えるにあたり、日本や欧米のマスメディアがアメリカに追従する偏向報道を続け、「ウクライナ=善、ロシア=悪」という単純な構図を植え付けていると批判している。彼によれば、戦争が長期化している背景にはアメリカの介入主義と軍産複合体の利害があり、和平交渉の機会は意図的に潰されてきたという。
また、ジャニー喜多川問題に触れ、日本のメディアが長年その「悪」を隠してきたのと同じように、アメリカの帝国主義的「悪」も隠蔽していると指摘。アメリカは「民主主義の輸出」という名目で世界に介入し、実際には資本の利潤追求のために各地で紛争を生み、数千万人規模の被害を発生させてきたとしている。
ウクライナをめぐっては、2004年のオレンジ革命以降、アメリカは民主化運動への介入、2014年のクーデター支援、軍事支援によるウクライナの軍備増強、さらにはバイデン一家の利権まで深く関与してきたとされる。ミンスク合意による和平の道があったにもかかわらず、それを妨害したのもアメリカであり、戦争を止めない大きな要因になっていると論じられている。
塩原氏は、アメリカの「10の諸悪」として以下を挙げている。
- 民主主義輸出を口実にしたクーデター工作
- ウクライナのナショナリズム煽動
- 2014年ヤヌコヴィッチ追放クーデター支援
- CIAによるウクライナへの巨額支出
- 国連平和維持軍の妨害
- ミンスク合意妨害と軍事化支援
- ヌーランド登用による戦争路線強化
- 和平機運を潰す介入(ボリス・ジョンソン訪問)
- ノルドストリーム爆破工作
- 和平交渉の芽を無視
結論として、同氏は「日本のメディアに騙されるな」と強調し、アメリカ帝国主義の現実を知り、情報操作の実態に気づくことが必要だと警告している。無批判の報道に流され続ければ、日本もアメリカや中国の帝国主義的戦争に巻き込まれる危険があると強調している。
要するに、この記事は「アメリカがウクライナ戦争を続けさせる最大の要因であり、日本や欧米のメディアはその事実を隠し、国民を欺いている」という問題提起になっている。
ウクライナ戦争 アメリカの「10の諸悪」
- 民主主義輸出を口実にしたクーデター工作
2004年から2005年にかけて、全米民主主義基金(National Endowment for Democracy, NED)などのアメリカの組織がウクライナに対して露骨な「民主主義の輸出」工作を実施した。このオレンジ革命の段階で、プーチンはアメリカによるクーデターが既にあったと語っている。彼にとってオレンジ革命は、自身の大戦略の中核である旧ソ連圏におけるロシアの特権的な勢力圏の喪失を意味し、大きな脅威であった。アメリカによる政権転覆の影響で親欧米派が台頭し、親ロシア的なヤヌコヴィッチが追放されたと認識している。 - ウクライナのナショナリズム煽動
2010年代前半のウクライナ西部におけるナショナリズムについて、アメリカ政府がそれを煽動したという指摘がある。具体的には、アメリカの全米民主主義基金(NED)などがウクライナでの民主主義推進工作を行い、地域のナショナリズムを擁護・助長していたことが報告されている。また、2014年のヤヌコヴィッチ大統領追放のクーデターにもアメリカが深く関わり、結果的にウクライナの軍事化やナショナリズムの拡大につながったとされる。これらの動きは、アメリカがロシアの影響力拡大を防ぐ意図をもって行われたと見られている。 - 2014年ヤヌコヴィッチ追放クーデター支援
2014年2月21日から22日にかけて、当時のウクライナ大統領ヴィクトル・ヤヌコヴィッチを武力で追い出すクーデターが起きました。このクーデターに対してアメリカ政府は全面的に支援し、暫定政権の人事にも干渉していたことが明らかになっています。特に、当時の国務省次官補であったヴィクトリア・ヌーランドが暫定政権の人事に強く関与しました。彼女は駐ウクライナ米国大使と電話で次期政権の計画を話し合い、欧州側の躊躇を払拭しようとしていたとされます。これらの事実は、アメリカ政府がヤヌコヴィッチ政権打倒に積極的に関与した証拠とされています。 - CIAによるウクライナへの巨額支出
2015年以来、CIAはウクライナのソビエト組織をモスクワに対抗する強力な同盟国に変えるために数千万ドルを費やしてきたとワシントンポスト(WP)が報じています。この取り組みは、ウクライナをロシアに対抗する戦略的パートナーへと育て上げる一環であり、アメリカのウクライナ支援の一部として位置づけられます。 - 国連平和維持軍の妨害
アメリカ政府は国連平和維持軍のドンバス駐留を妨害したという指摘がある。具体的には、アメリカはドンバス紛争の解決に向けた国連平和維持軍の駐留を妨害し、紛争の時間稼ぎやウクライナの軍事化支援を行ったと伝えられている。これは、アメリカがミンスク合意の履行を妨害し、軍事支援を強化したという背景の一環として語られている。 - ミンスク合意妨害と軍事化支援
アメリカ政府はドンバス紛争の解決であるミンスク合意の履行を妨害しつつ、時間を稼ぎながらウクライナの軍事化を支援してきた。2014年から2021年の間に、アメリカによるウクライナへの軍事支援総額は28億ドルに達している。この政策は、ウクライナの自衛能力強化やNATOとの相互運用性向上を目的として行われたものとしている。こうした支援は、ドンバス紛争やクリミア情勢などの背景と絡み、米国とロシアの対立の一環と見なされている。 - ヌーランド登用による戦争路線強化
2014年のウクライナのクーデターに深く関与していたとされるヴィクトリア・ヌーランドは、2021年05月にアメリカ国務省次官(政治担当)に就任した。この人事を受けてバイデン政権は、ロシアが奪ったクリミアとドンバス地域の奪還に力を入れる政策に舵を切った。一方で、2021年1月にトランプが再任されていれば、ウクライナ戦争は100%起きなかっただろうという見方がある。これはトランプが戦争の早期終結を主張し、ウクライナ支援政策に違いがあったためとされる。 - 和平機運を潰す介入(ボリス・ジョンソン訪問)
2022年2月末のウクライナ戦争緒戦でウクライナ側が勝利したにもかかわらず、イギリスのボリス・ジョンソン首相(当時)は2022年04月9日にキーウを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領に戦争継続を促しました。ジョンソンはウクライナに対して軍事援助と経済支援を約束し、「ともかく戦おう」と強く呼びかけました。この動きの背後には、バイデン米大統領が控えており、米英はウクライナ戦争継続で利害が一致していたのです。ゼレンスキー大統領も戦争継続が大統領としての権力を安定させることに繋がり、和平協定を結ばない理由を求めるような状況にありました。このことはウクライナ側の代表者の証言などから明らかになっています - ノルドストリーム爆破工作
ノルドストリームはバルト海を経由してロシアからドイツへ天然ガスを送る海底パイプラインのシステムで、4本のパイプラインで構成されています。そのうち2022年09月にバルト海のデンマーク沖合で爆発が起き、3本が破壊されました。この爆破事件は何者かによる破壊工作とされ、西側諸国を含めて調査が行われています。
ただし、この爆破について、アメリカ政府はノルドストリーム破壊に関与したとの公式な認めはなく、報道で「バイデン大統領の命令で米軍がノルウェー軍と協力して爆破した」という事実を示す信頼できる公的情報は確認されていません。ドイツ検察は事件に関与した疑いでウクライナ国籍の男性を逮捕しており、犯人については明確な確証が得られていない状況です。
つまり、ノルドストリームの爆破は大規模な破壊工作事件であるが、バイデン大統領の命令による米軍とノルウェー軍の関与を示す確かな証拠は公表されていません。 - 和平交渉の芽を無視
2022年秋、ウクライナ軍はハリキウ(ハルキウ)やヘルソンの主要な地域を奪還することに成功した。この時期は和平交渉に向かう好機とされていたが、当時の米統合参謀本部議長マーク・A・ミリー元帥は和平に向かうべきだとの提案を行ったにもかかわらず、バイデン大統領はこれを無視したとされている。ウクライナの反攻が進む一方で、米政権は戦争継続を推し進める立場を取っていたため、この和平提案は実現しなかった
プーチンがウクライナ侵攻の理由として掲げた「ウクライナの非ナチ化」や、東西ウクライナの地政学的対立がなぜ生まれたのかを歴史的背景から解説する内容です。