昨年日本入国、高級ホテル転々 逮捕の国際犯罪組織幹部
カンボジアを拠点とする中国系国際犯罪組織「プリンス・グループ」の幹部とみられる中国出身の男が、日本の「高度専門職」という在留資格を悪用して入国し、虚偽の転入届を提出した容疑で警視庁に逮捕されました。
この事件は、高度な能力を持つ外国人を受け入れるための優遇制度が、国際犯罪組織の潜伏や活動に悪用された可能性を示しており、警察や入国管理当局による経営実態の解明が進められています。
事件の概要と逮捕の容疑
逮捕されたのは、中国出身で「プリンス・グループ」幹部とみられるフー・シー容疑者(44歳)と、同じく中国籍の李垠宏容疑者(31歳)です。
フー容疑者は、2025年10月に日本に入国した後、都内の高級ホテルなどを転々としていました。
その後、2026年4月20日に東京都中央区役所へ虚偽の転入届を提出したとして、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで警視庁に逮捕されました。
フー容疑者が代表取締役を務める会社の従業員は、「今までに容疑者の姿を見たことがない」と証言しており、会社の経営実態がないペーパーカンパニーである疑いが持たれています。
悪用された「高度専門職」在留資格
今回の事件で最も注目されているのは、日本の入国管理制度である「高度専門職」の在留資格が国際犯罪組織の幹部に付与されていた点です。
高度専門職の在留資格は、学歴、職歴、年収などの項目をポイント化し、一定の基準を超えた「優秀な人材」を優遇して受け入れる制度です。
フー容疑者は、企業経営者などに適用される「高度専門職1号(ハ)」を取得していました。
共に逮捕された李容疑者は、研究機関等での専門知識や技術を活用する「高度専門職1号(ロ)」を取得していました。
実態のない会社を設立するなどの手法により、審査の網をくぐり抜けてこれらの優遇資格が不正に取得された可能性が高く、制度の形骸化や審査体制の不備が懸念されています。
背景にある国際犯罪組織「プリンス・グループ」
プリンス・グループは、カンボジアのプノンペンに本社を置いていた中国系の巨大組織です。
表向きは不動産、金融、観光などの合法的なビジネスを展開していますが、裏ではオンラインカジノ、詐欺、人身売買、マネーロンダリング(資金洗浄)などの国際犯罪に関与しているとされています。
アジア最大級の犯罪集団として、米英政府から経済制裁の対象に指定されている組織です。
警視庁は、逮捕された容疑者らの日本国内における資金流動の実態や、組織的な潜伏拠点の構築計画がなかったかについて、慎重に捜査を進めています。
Hu Shi
中国出身でキプロス国籍の胡石(フー・シー)容疑者(44)
中国出身でキプロス国籍の胡石(フー・シー)容疑者(44)は、カンボジアを拠点とするアジア最大級の国際犯罪組織「プリンス・グループ(太子集団)」の最高幹部とみられる人物です。日本の入管制度を悪用して取得した在留資格で昨年10月に入国し、高級ホテルを転々としながら日本国内での活動を行っていたところを警視庁に逮捕されました。
逮捕の経緯と容疑
- 逮捕容疑:
4月20日頃、東京都中央区に転居したとする虚偽の住民異動届を区役所に提出したとして、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで警視庁に逮捕されました。 - 逮捕日:
2026年6月14日 - 在留資格:
経営者などに与えられる「高度専門職1号(ハ)」の在留資格で日本に滞在していたことが確認されています。
プリンス・グループについて
- 組織の実態:
カンボジアの首都プノンペンを拠点とする同国屈指の巨大企業グループですが、その裏では高額報酬をうたう偽求人や詐欺センターを運営する「アジア最大級の国際犯罪組織」として国際的に認知されています。 - 国際的対応:
詐欺やマネーロンダリングへの関与が指摘されており、アメリカやイギリス両政府から経済制裁の対象に指定されています。
Li Yinhong
中国籍の李垠宏(リー・インホン)容疑者(31)
中国籍の李垠宏容疑者(31・東京都世田谷区)は、アジア最大級の国際詐欺組織の幹部として、虚偽の住民異動届を提出した電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で2026年6月に警視庁に逮捕されました。
李容疑者に関する事件の主な詳細は以下の通りです。
- 事件の概要:
4月20日、実際の居住実態がないにもかかわらず東京都中央区に転居したとする虚偽の住民異動届を提出した疑い。 - 在留資格:
「高度専門職1号(ロ)」を取得しており、研究機関などで専門知識や技術を扱う資格で日本に入国していた。 - 組織の実態:
主導したキプロス国籍の男らとともに、世界各地で数千億円規模の特殊詐欺や暗号資産(仮想通貨)詐欺に関与した「アジア最大級の犯罪組織」の幹部と見られている。
